おととし、熱海市で発生した土石流をめぐり犠牲者の遺族や被災者などが起こした裁判で、熱海市と県が裁判所から提出を求められている黒塗りのない公文書について、市は11日、任意の提出には応じない考えを明らかにしました。
一方、県は基本的には応じるとして、ことし3月までに提出する考えを示しました。
おととし7月に熱海市で起きた土石流の犠牲者の遺族や被災者などは、盛り土が造成された当時の土地の所有者や今の所有者などそれに県と熱海市に対してそれぞれ賠償を求める訴えを起こしています。
2つの裁判はあわせて審理されることになり、11日、静岡地方裁判所沼津支部で開かれた非公開の協議では初めてすべての当事者が一堂に会しました。
出席者によりますと、熱海市と県が裁判所から提出を求められている黒塗りのない公文書について、市はきょうの協議で、「事件と関連がない公文書が含まれる可能性を否定できず、文書の特定が不十分だ」などとして、任意の提出には応じない考えを明らかにしました。
その上で裁判所から提出を命じられた場合や、一部の公文書について個別に提出の要請があった場合には、応じるかどうか検討するとしています。
一方、県は、基本的には応じるとして、ことし3月までに提出する考えを示しました。
原告側の代理人の浅川拓也弁護士は、「熱海市には被害者を救済するという意思があるのであれば速やかにすべての証拠を開示してもらいたい。その上で議論を深めていきたい」と話していました。
11日の協議のあと熱海市の高橋勝敏総務課長は任意での公文書の提出に応じない考えを示したことについて、「黒塗りの大部分は個人情報に関わるので、行政としては法律的根拠がないと出しづらい。原告には協議させてもらいながら、出すことはできるという話をしている」と述べました。
一方、12月に開かれた1回目の審理に熱海市側が出廷しなかったことについては、「今後は誠心誠意出席し、原告の話を聞いていきたい」と話していました。
11日の協議のあと県経営管理部の天野朗彦参事は黒塗りのない公文書の提出について、「裁判所の要請を受けたので基本的には対応してまいりたい。裁判での立証に関わらない部分については黒塗りを維持しなければならない」と話していました。
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