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ともに支え合おう――。能登半島地震の被災者らを元気づけようとする場所が次々と生まれている。被災体験を語り合ったり、カフェでほっと一息ついてもらったり。「友達が増えて楽しい」との声も上がり、新たなコミュニティーが広がりつつある。
「かんぱーい」。避難所になっている石川県七尾市の田鶴浜体育館で声が響いた。「語ろう亭」と名付けられ、小部屋に被災した人たちが集まっている。
切り盛りするのは原島敬之(ひろゆき)さん(62)。バスケットボールBリーグ3部の金沢武士団(サムライズ)アドバイザーで、普段からこの体育館で練習してきた。
原島さんは七尾市内の自宅アパートで被災し、翌日から体育館で炊き出しを続けている。2週間たった頃、原島さんは避難所でビールの空き缶を見かけた。チームの運営会社社長を務める中野秀光さん(65)に話すと、「みんなが語り合える場を作ろう」。
体育館2階の小部屋が使えることになり、18日にオープン。営業は午後8時からの1時間限定だ。原島さん夫妻が炊き出しの合間に仕込んだ料理など3~4品が用意され、お酒を持ち込んだり、買ったりできる。
常連となった吉川昇さん(89)はお茶で乾杯。「友達が増えてうれしい」と笑顔だ。27日に初めて訪れた大森秀次さん(68)は3週間ぶりのビール。「同じ被災者同士で話しやすく前向きになれる」と語った。
原島さんは「不謹慎に思う人もいるかもしれないが、一息つける居場所は大切。せっかくできたコミュニティーなので、なるべく続けられたら」と話す。
大規模な火災が起きた輪島市河井町では、漆器製造販売の老舗「蔦屋漆器店」の大工佳子さん(62)が「復興カフェ」と命名し、地元の人たちを集めている。
大工さんは、夫素也(もとや)さん(62)と160年以上続く漆器店を経営。倒壊や火災は免れたが、再開のめどは立っていない。それでも、「前を向こう」と一念発起した。
自宅から炊飯器やトースターを引っ張りだし、車庫に簡易キッチンを作った。キャンプ用のテーブルや椅子を広げ、亡くなった親族との思い出や避難所での苦労、そして復興。さまざまな話題が飛び交う。
輪島塗職人の若い男性は「仕事を続けるか迷っている」と不安を打ち明けた。みんなで「がんばろかいね」と背中を押すと、男性は「久しぶりに楽しかった」と表情を緩めたという。
「うちだけが一軒残ってもだめ。輪島全体が一つの工房のようなものだから、みんなで良くならないと」。大工さんはふるさとを守っていこうと決意している。【柴山雄太、林みづき】
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からの記事と詳細 ( 被災者同士「一息つける居場所」を 居酒屋やカフェ、語らいの場続々 - 毎日新聞 )
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