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台風2号の接近に伴う豪雨災害で車が水没して使えなくなった被災者や支援団体に無償で車を貸し出します――。「日本カーシェアリング協会」(宮城県石巻市)は静岡県富士市の静岡支部を拠点にこんな活動を始めた。
同協会は東日本大震災をきっかけに2011年に発足した。代表理事の吉澤武彦さん(44)は「被災者の生活再建には車が不可欠。企業を回って車の寄付を募り、仮設団地でカーシェアリングを始めました」と話す。
免許返上や買い替えなどを機に寄付されて活用している車の数は現在約300台にのぼり、全国の災害被災地で「災害サポート・レンタカー」を実施している。
平時には地域の支え合いをめざし、コミュニティー活動や生活困窮者の生活再建などに格安で貸し出す「ソーシャル・カーリース」や、災害時の返却を条件に誰でも低額で貸し出す「災害時返却カーリース」といった事業にも取り組んでいる。
同協会は21年7月の熱海市の土石流災害で97件、昨年9月の台風15号の大雨被害では306件の貸し出しを実施した。しかし、支援拠点の確保や車の運搬に時間がかかり、台風15号では支援開始までに約20日間を要したという。
そこで東海地方の災害発生時に備え、全国3番目の支部として5月に静岡支部を設置した。支部には寄付で集めた軽自動車と普通車、軽トラックの計36台を用意した。
支部設置直後に起きた今回の大雨では、翌日の6月3日にスタッフを派遣。静岡支部の担当者と手分けして富士市や沼津市、磐田市のほか、愛知県豊橋市と豊川市で現地調査を実施し、5日から車の無償貸し出しを始めたという。
「自宅の車が水につかって使えなくなった」などと沼津市を中心に相談が寄せられ、現在9件の貸し出しが決まった。「静岡に支部を置いたおかげで、迅速な支援につながりました」と吉澤さん。
無償貸し出しの対象地域は静岡、愛知両県で期間は10月31日まで。乗用車は長期(1カ月ごとの更新)、軽トラックは短期(最長2日)で、期間中は何度でも利用できるという。
事前予約制で、希望者は電話(070・1140・5458、午前9時~午後5時)または同協会のHPで申し込む。静岡支部(富士市岩淵751―1)に車を取りに来る必要がある。車の寄付も常時受け付けている。問い合わせは0225・22・1453へ。(青山祥子)
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線状降水帯が発生するなど静岡県内が記録的な大雨に見舞われて、9日で1週間になる。被災地で復旧作業が進むなか、梅雨前線の影響で9日午前にかけて再び警報級の大雨になる見込みで、県は土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水による被害に警戒を呼びかけている。
県が8日正午現在でまとめた被害状況によると、人的被害は死者2人と軽傷者1人。住家は全壊5棟、半壊1棟、一部損壊8棟、断水8戸。敷地川の堤防が決壊した磐田市のほか、沼津、静岡、浜松3市など計724棟で浸水被害が確認された。
静岡地方気象台によると大雨警報を発表する可能性が高く、9日未明から午前にかけてところにより、1時間に最大60ミリ、24時間に100~200ミリの激しい降雨を予報している。
浜松市が一部地域に避難指示(警戒レベル4)を出したほか、沼津市や富士市、磐田市、湖西市が「高齢者等避難」(同レベル3)の避難情報を発表するなど、住民に早期の避難を促す市町が相次いだ。(床並浩一)
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