前回は往路を制した青山学院大がそのまま総合優勝に輝いた(写真は5区を走った飯田)【写真:松尾/アフロスポーツ】
1月2、3日に開催される第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(以下、箱根駅伝)に出場する全21チームの区間エントリーが12月29日に発表された。今大会から選手交代枠に関するルールが変更され、往路、復路ともに1日最大4人まで、合計6人まで当日の変更が認められている。直前の故障者や体調不良者が出た場合、その出場を回避し、大会が安全に運営されることが最大の目的だが、相手の出方をうかがう戦術的な意味合いで主力を補欠に入れている大学も多くある。すでに監督たちの心理戦は始まっている。
青山学院大はバランスの取れた布陣に?
今大会の優勝争いは「4強」の構図で語られることが多い。連覇を狙う青山学院大、2大会前の覇者・東海大、11月の全日本大学駅伝を制した駒澤大、そしてその全日本で上記「3強」の一角を崩して3位に入った明治大だ。まずはその区間エントリーを見ていこう。
青山学院大はエースの吉田圭太(4年)が2大会連続の1区。また2年ぶり3度目の山上りになる竹石尚人(4年)が5区に入り、前回9区区間賞の主将・神林勇太(4年)は補欠に回った。吉田に並ぶエースの神林は今大会、往路で高速レースへの対応を任される可能性が高い。一方、前回8区区間2位の岩見秀哉(4年)は今回も8区。前回5区区間2位の飯田貴之(3年)は補欠になっているが、今回は復路か。選手層の厚さを武器に、往路で攻めると同時に復路にも戦力を残す、バランスの取れた布陣となりそうだ。
前回、そして全日本と共に2位の東海大は「3本柱」の塩澤稀夕、名取燎太、西田壮志(いずれも4年)が軸。名取が2区、西田が3年連続の5区に入った。塩澤は補欠となっているが往路での起用はほぼ間違いないだろう。西田は前回の5区は故障や体調不良もあり区間7位だったが、力通りの走りをすれば区間賞争いに加わるはず。また、全日本4区で大幅に区間記録を更新して区間賞を取った1年生・石原翔太郎は補欠に入っているが、往路に来れば前半区間は強力な布陣となる。
駒澤大は1区加藤(写真)、2区田澤と実績のある選手を並べた【写真:西村尚己/アフロスポーツ】
駒澤大は全日本1区で区間3位と好走した加藤淳(4年)、そして10000mで27分46秒09の日本人学生歴代4位の記録を持つ大エース・田澤廉(2年)が2区に配された。2回の5区経験がある伊東颯汰(4年)は今大会は8区にエントリー。5区の候補者は複数いるが、1年生の鈴木芽吹もそのひとり。上りの適性が高く、10000mのスピードも持つだけに期待は高まる。1、2年生を中心にスピードランナーが多くそろうが、伊東や補欠に入っている小林歩(4年)を中心に脇を固める上級生も安定している点が強みだ。13年ぶり7度目の優勝を狙うに十分な戦力と言える。
明治大は1区が全日本でもスタート役として好走した1年生の児玉真輝、2区は前回もここを走った加藤大誠(2年)が入った。一方で小袖英人(4年)、鈴木聖人(3年)、手嶋杏丞(3年)、櫛田佳希(2年)が補欠となっている。小袖、手嶋は往路で流れを作る役割を担いそうだ。5区は順当に考えれば前回区間5位の鈴木だが、櫛田もそこを担える力があるだけに、どちらが起用されるか。6区には前回ここを好走している前田舜平(4年)がエントリーされた。「山」で計算できる選手のいる明治大は、10000m28分台が14人とスピードランナーも多くそろう。当日の区間変更でさまざまな組み合わせができそうだ。
また上位をうかがう大学では、早稲田大は10000m27分台の記録を持つ太田直希(3年)が2区に入った一方で、同じく27分台ランナー・中谷雄飛(3年)、今季好調の井川龍人(2年)が補欠。戦力は充実しており、「4強」に割って入る力がある。また、前回4位の帝京大がその時の1区から3区がそのままエントリー。東洋大は5区で前回区間新記録を出した宮下隼人(3年)が、今回も山を上る。また予選会トップ通過の順天堂大は、1区に予選会でハーフマラソンU20日本最高を出した三浦龍司(1年)が1区に入った。
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