海の哺乳類の中では、クジラよりイルカのほうに、より親近感を覚える人が多いのではないだろうか。クジラを実際に目にする機会はほとんどないが、イルカは水族館へ行けば会える。水族館によっては、イルカとふれ合うこともできる。 テレビの動物番組でも引っ張りだこだ。 水中から顔を出し、こちらに向けられるイルカの顔は、笑っているようにも見える。 イルカが笑うことを科学的に証明することは難しいが、じつはイルカの顔には、私たち人間と同じ「表情筋」と呼ばれる一連の筋肉がある。表情筋があることは哺乳類だ!という証の一つである。 とはいえ、表情筋の本来の機能は表情をつくることではなく、生まれたあと母親の乳首に吸いついて母乳を飲むための「ほっぺ」を形成したことで、その後、二義的に表情もつくることが可能となった。 そういうことでいえば、人間と同様に表情をつくる筋肉を持ち合わせているイルカにも、何らかの表情はあるのだろう。ただ、それが私たち人間のように「笑っている」「怒っている」「悲しんでいる」という表現と同じなのかどうかは現在のところわかっていない。 ダイビングをする人の話では、イルカの棲息している海域を何度か潜っていると、イルカのほうから寄ってきて、あたかも「一緒に遊ぼうよ」と誘ってくるような素振りを見せることがあるという。もちろん、餌は与えていない。 海にいる野生のイルカが、自分のほうから人間に近づいてくるなんて本当に不思議だ。しばらく一緒に遊泳し、ゆっくりどこかへ消えていくのだそうだ。誰に対してもそう振る舞うのかどうかはわからないが、ある一定の種がそうするようである。だとしたら、同じ哺乳類として人間に対して何かを感じているんじゃないか、と勝手に想像してしまいたくなる。 クジラにもイルカのように人に近づいてきたり、人が近づいても逃げない種がいる。 しかし、クジラは一緒に遊ぶには大き過ぎる。かりに笑っていたとしても、顔がデカ過ぎて表情を読み取ることはおそらくできないのが残念だ。 「そりゃあ、クジラとイルカは全然違う生き物だもの」と思う人もいるかもしれない。しかし、じつはイルカとクジラは、生物学的には同じである。 イルカは、クジラと同じ鯨偶蹄目に分類される「鯨類」の一種である。 歴史的に人間が「かわいい」「愛くるしい」と感じる種をイルカと呼び、雄大な姿に畏敬の念を覚える種をクジラと呼んできた。 簡単にいうと、イルカとは“小型のクジラ”を指すのである。 一般的には、体長4メートル以下のクジラをイルカ、それ以上の大きさになるとクジラと呼ぶ。しかし、これもあくまで一つの目安に過ぎない。 クジラは、ヒゲクジラ(ヒゲがあるクジラ)とハクジラ(歯があるクジラ)に大別できるが、イルカと呼ばれているのは、もっぱらハクジラの仲間だ。ハクジラの仲間は、マッコウクジラを除くと、小~中型サイズが主である。 実際に、水族館によくいるハンドウイルカ、カマイルカ、イロワケイルカ、マダライルカ、シワハイルカ、スナメリ(ネズミイルカの仲間)などは、すべてハクジラの一種である。 ※本記事は『海獣学者、クジラを解剖する。』(山と溪谷社)を一部掲載したものです。
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September 04, 2021 at 06:50AM
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イルカは「小型の〇〇〇」である!? 動物解剖学者が教える、イルカの意外すぎる正体(YAMAKEI ONLINE(ヤマケイオンライン)) - Yahoo!ニュース
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