戦争被災者4千人の街、77年後の消滅 息づいた自治、仙台中心部で:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

戦争被災者4千人の街、77年後の消滅 息づいた自治、仙台中心部で:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

04.32
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 【宮城】仙台市の中心街のほど近く、一つの街が今年、姿を消した。77年前、戦争被災者のための仮設住宅団地として生まれ、人々が共同体を築き、苦楽を共にした。だが行政は移転を迫り、最後の最後の1軒が2月、解体された。街の跡は観光客を呼び込む公園になった。

 仙台城跡と広瀬川にはさまれた同市青葉区・追廻(おいまわし)地区。その歴史と暮らしを振り返る展覧会「自治とバケツと、さいかちの実」が24日まで、同区のせんだいメディアテークで開催中だ。

 「リュック負いアジヤの果より辿(たど)りつき 隣人となりし三千の住民」「アヒル小屋スラム街よとののしるばかり 今尚(なお)政治の外におかるる」。展示は元住民・狩野兼雄さんのこんな短歌で始まる。

 追廻は戦前、旧陸軍の練兵場だった。敗戦翌年の1946年、国策でそこに約600戸のバラック長屋が「応急簡易住宅」として建てられる。アジア各地からの引き揚げ者や、空襲で焼け出された人たちが、着の身着のままで身を寄せた。

 追廻住宅を建てた住宅営団は、その後解散。住民は建物を買い取り、国に借地料を払って住み続けることにした。一方、仙台市は都市計画で公園にすることに決めていたため、インフラ整備を十分行わなかった。住民は資金を出し合い、自ら道路を舗装し、水道を引くなどした。

 最大約4千人が暮らした街では「自治」が確かに息づいていた。そのさまが、住民たちの記録や様々なエピソード、多数の写真で描かれる。

 市は、動物園や日本庭園の整備といった構想を打ち出しては、住民と移転の話し合いを続けた。追廻を去る人は次第に増え、宮城野区新田には、集団移転用の団地もつくられた。

 美術家の佐々瞬さん(37)は、元住民から追廻の思い出を聞き取り、移転を拒み続けた男性とも交流を続けてきた。会場では、最後の1軒の解体の様子が映像で紹介されている。

 展示は、観(み)る人にこう問いかけてくるようだ。街が終わるとは、どういうことだろう――。

 佐々さんと一緒に構成・制作を担った伊達伸明さん(59)は「この展示できれいに『終わり』にできるかというと、そうではない。物体としては終わったけれど、記憶の始まりなのかもしれない」と話す。

 思えば、東日本大震災でも多くの街が失われ、戻れない土地になった。その記憶をどうつなぐか、各地で模索が続く。そのことも想起される。

 追廻地区は青葉山公園に姿を変え、ビジターセンター「仙臺緑彩館」ができている。片隅に、街だったことを示す小さな「ふるさとの碑」が建てられている。(編集委員・石橋英昭

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瓦落ちる音、遺体安置所のにおい…被災者に聞き取った五感を書籍に - goo.ne.jp

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22.33
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瓦落ちる音、遺体安置所のにおい…被災者に聞き取った五感を書籍に

「五感でとらえなおす 阪神・淡路大震災の記憶」を出版した関西学院大の金菱清教授(左)のゼミ生ら=兵庫県西宮市上ケ原一番町で2023年11月28日午後0時10分、山本康介撮影

(毎日新聞)

 関西学院大(兵庫県西宮市)の学生14人が阪神大震災(1995年)の被災者らに聞き取りをした研究活動の成果を1冊の本にまとめた。書名は「五感でとらえなおす 阪神・淡路大震災の記憶」(関西学院大学出版会、税別1900円)。震災以降に生まれた世代が、今なお生々しく残る記憶や感情と向き合った。

 社会学部の金菱(かねびし)清教授(災害社会学)のゼミに所属する4年生がまとめた。2年ほど前から聞き取りを重ね、「記憶に残りやすいとされる視覚以外に着目した場合、記憶はどのように残っているのか」を問い直した。

 人間の五感に応じて6章で構成。「匂う」では、遺体安置所に広がる特有のにおいについて業務に携わった行政職員らの証言を基に、記憶の鮮明さに差があることを考察した。「聴く」では、犠牲者の声を参考に救命活動に従事した元救急隊員が今でも抱え続ける後悔や葛藤を取り上げた。

 4章の「見えない」をテーマに取り組んだ吉川友貴さん(22)は、視覚障害者4人の証言を参考に震災を振り返った。全盲の男性が残していた日記には、屋根から瓦が落ちたりガラスが割れたりする音が響き渡り、「私の命は終わったと思った」としたためられており、「実際に見えているかのように書かれていた」と振り返る。

 一方、別の視覚障害者は街並みを見ることができないため、周囲の人の声色の変化や、車に乗っている時の振動で路面が整備されているかどうかで復興の進み具合を感じていたという。吉川さんは「研究を通じて、晴眼者とは違う復興の感じ方を持っていることがわかった」と話す。

 7日には神戸市立盲学校を訪れ、聞き取りに協力した教員の長尾隆一郎さん(54)に著書を手渡した。長尾さんは「若い世代の人が知られる機会の少ない視覚障害者の視点に関心を持ってくれたことに感銘を受けた」と語った。

 金菱教授は「震災から29年という歳月がたっても、五感を通じることで記憶は色あせることなく立ち上がってくることに新たな発見があった」とゼミの活動を総括。「若い世代が今後起こり得る震災にどう向き合うか、この本から考えてほしい」と話した。【山本康介】

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被災者の思い出を元の姿に 益城町の中高生ら30人、大雨で汚れた写真を洗浄|熊本日日新聞社 - 熊本日日新聞

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20.32
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 7月上旬の大雨で泥水に漬かって汚れた写真を元の姿に戻そうと、益城町の中高生ら約30人が10日、益城町宮園の町復興まちづくりセンター「にじいろ」で被災した写真の洗浄を体験した。専門家の指導を受けながら、1枚ずつ丁寧に汚れを洗い落とし、被災者...

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瓦落ちる音、遺体安置所のにおい…被災者に聞き取った五感を書籍に - 毎日新聞

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15.31
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「五感でとらえなおす 阪神・淡路大震災の記憶」を出版した関西学院大の金菱清教授(左)のゼミ生ら=兵庫県西宮市上ケ原一番町で2023年11月28日午後0時10分、山本康介撮影 拡大
「五感でとらえなおす 阪神・淡路大震災の記憶」を出版した関西学院大の金菱清教授(左)のゼミ生ら=兵庫県西宮市上ケ原一番町で2023年11月28日午後0時10分、山本康介撮影

 関西学院大(兵庫県西宮市)の学生14人が阪神大震災(1995年)の被災者らに聞き取りをした研究活動の成果を1冊の本にまとめた。書名は「五感でとらえなおす 阪神・淡路大震災の記憶」(関西学院大学出版会、税別1900円)。震災以降に生まれた世代が、今なお生々しく残る記憶や感情と向き合った。

 社会学部の金菱(かねびし)清教授(災害社会学)のゼミに所属する4年生がまとめた。2年ほど前から聞き取りを重ね、「記憶に残りやすいとされる視覚以外に着目した場合、記憶はどのように残っているのか」を問い直した。

 人間の五感に応じて6章で構成。「匂う」では、遺体安置所に広がる特有のにおいについて業務に携わった行政職員らの証言を基に、記憶の鮮明さに差があることを考察した。「聴く」では、犠牲者の声を参考に救命活動に従事した元救急隊員が今でも抱え続ける後悔や葛藤を取り上げた。

研究に協力した長尾隆一郎さん(右)と会話を交わす関西学院大の吉川友貴さん=神戸市中央区東川崎町1の市立盲学校で2023年12月7日午後3時8分、山本康介撮影 拡大
研究に協力した長尾隆一郎さん(右)と会話を交わす関西学院大の吉川友貴さん=神戸市中央区東川崎町1の市立盲学校で2023年12月7日午後3時8分、山本康介撮影

 4章の「見えない」をテーマに取り組んだ吉川友貴さん(22)は、視覚障害者4人の証言を参考に震災を振り返った。全盲の男性が残していた日記には、屋根から瓦が落ちたりガラスが割れたりする音が響き渡り、「私の命は終わったと思った」としたためられており、「実際に見えているかのように書かれてきた」と振り返る。

 一方、別の視覚障害者は街並みを見ることができないため、周囲の人の声色の変化や、車に乗っている時の振動で路面が整備されているかどうかで復興の進み具合を感じていたという。吉川さんは「研究を通じて、晴眼者とは違う復興の感じ方を持っていることがわかった」と話す。

関西学院大の学生が出版した「五感でとらえなおす 阪神・淡路大震災の記憶」=神戸市中央区で2023年12月12日午後8時45分、山本康介撮影 拡大
関西学院大の学生が出版した「五感でとらえなおす 阪神・淡路大震災の記憶」=神戸市中央区で2023年12月12日午後8時45分、山本康介撮影

 7日には神戸市立盲学校を訪れ、聞き取りに協力した教員の長尾隆一郎さん(54)に著書を手渡した。長尾さんは「若い世代の人が知られる機会の少ない視覚障害者の視点に関心を持ってくれたことに感銘を受けた」と語った。

 金菱教授は「震災から29年という歳月がたっても、五感を通じることで記憶は色あせることなく立ち上がってくることに新たな発見があった」とゼミの活動を総括。「若い世代が今後起こり得る震災にどう向き合うか、この本から考えてほしい」と話した。【山本康介】

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議場で被災想定 避難行動を学ぶ 静岡市議会が勉強会|あなたの静岡新聞 - あなたの静岡新聞

議場で被災想定 避難行動を学ぶ 静岡市議会が勉強会|あなたの静岡新聞 - あなたの静岡新聞

12.32
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 静岡市議会は11日、議員対象の防災勉強会を市役所静岡庁舎で開いた。議員41人が参加し、議場で南海トラフ巨大地震に被災した際の避難行動について理解を深めた。

震災時、議場の天井材が落ちてきたことを想定し、重さを確かめる静岡市議ら=市役所静岡庁舎
震災時、議場の天井材が落ちてきたことを想定し、重さを確かめる静岡市議ら=市役所静岡庁舎

 学校や企業対象の防災教育に取り組むNPO法人減災教育普及協会(横浜市)の江夏猛史理事長が講師役を務めた。江夏理事長は過去の震災を踏まえ、議場のような大きな構造物では重さ数百キロにも及ぶ天井材が落下してくる恐れがあるとし、適切な避難行動として机の下に身を隠すのではなく、天井が低い通路など頑丈な構造の空間に移動する必要性を強調した。
 参加した議員は、用意された一般的な天井材の重さを確認し、下敷きになった場合に命に関わる大けがを負うと学んだほか、地震の揺れを再現するマットに乗り、四つんばいやほふく前進で移動する方法を確かめた。
 井上恒弥議長が企画し、参加自由の講座として開催した。

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前橋空襲被災者の遺品を市に寄贈 資料館に展示へ:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

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11.32
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杉浦達朗

 【群馬】前橋市は11日、前橋空襲の犠牲者の遺族から、当時の様子をうかがえる遺品の寄贈を受けた。遺品は、市が2024年度の設立を目指している前橋空襲を伝える資料館に展示される予定で、寄贈した樋田耕哉さん(67)は「多くの人の目に触れて、平和を考えるきっかけになって欲しい」と話す。

 1945年8月5日、前橋市国領町にあった平方実業女学校は、米軍機の爆撃で大きな被害を受けた。女学校に併設された寮で生活していた長野原町出身の樋田智恵子さん(当時15)ら4人が犠牲になった。

 今回寄贈された遺品は、智恵子さんの兄の子の耕哉さんが同町の自宅の蔵で見つけたもの。教科書や皆勤賞の賞状などのほか、名前しかわかっていなかった智恵子さんの写真もあり、資料館検討委員会の手島仁委員長は「犠牲者の人となりが伝わる貴重な資料。被害を語り継ぐ上で、重要になる」。

 遺品寄贈に併せ、智恵子さんと平方実業女学校の同級生だった富沢里子さん(93)から、市への寄付金もあった。富沢さんの長男の渉さん(69)は「母は恐ろしい空襲の話はしたがらないが、仲が良かった智恵子さんの名前は今でも出す。そんな思いが伝われば」と話した。(杉浦達朗)

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台風2度被災世帯 支援へ訪問調査 磐田市|あなたの静岡新聞 - あなたの静岡新聞

台風2度被災世帯 支援へ訪問調査 磐田市|あなたの静岡新聞 - あなたの静岡新聞

08.33
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 磐田市は11日、昨年9月と今年6月の台風に伴う豪雨で2度被災した世帯を対象に、訪問調査を実施した。生活再建が進む中、市は、現在の被災者の健康状態などを把握することで継続的な支援につなげる。

2度被災した世帯を対象に、心身の健康状態などを聞き取る市職員ら=磐田市敷地
2度被災した世帯を対象に、心身の健康状態などを聞き取る市職員ら=磐田市敷地

 市と市社会福祉協議会の職員が2人一組で被災宅を訪問し、心身の健康状態や困りごとについて聞き取った。自宅が2度浸水被害を受けた月花忠さん(80)=同市敷地=は「トタンや木などが自宅に流れ込んだ。当時は片付けに必死だったので、腰が痛くなり、2カ月ほど通院していた」と明かし、「雨が強く降ると不安になることがある。行政の方が様子を見に来てくれて心強い」と話した。
 同市では昨年の台風15号と今年の台風2号による大雨で敷地川が2度にわたって決壊し、周辺地域が甚大な浸水被害に見舞われた。市健康増進課によると、連続して被害に遭ったのは19世帯に上る。

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