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「被災者は我慢しがち」 派遣の職員、心の声に耳傾け 能登半島地震 - 毎日新聞
taritkar.blogspot.com能登半島地震の被災地支援で、三重県は石川県輪島市(人口約2万3000人)を担当している。名張市職員2人も1月中旬、避難所支援のため、派遣された。屋外仮設トイレの凍った段差や非常食が続いた時のしんどさ……。2人は書類を読むだけでは気付きにくい、被災者の心の声に耳を傾けたという。【久木田照子】
情報提供など 誰もが使える環境を
2人の派遣は総務省の応急派遣制度に基づくもの。1月15~19日、輪島市門前町の中心部にある門前公民館の避難所で運営支援をした。門前町は平成の大合併で、2006年に輪島市と合併した地区。07年の前回地震でも被災し、住民は自宅の再建や、高齢化するコミュニティーの維持に取り組んできた。今回、名張市から派遣された職員2人は、支援物資の仕分けと分配、各部屋のリーダーとの話し合い、感染症対策などに携わった。
「『支援してもらっているから、これ以上は希望を言いにくい』と被災者は我慢しがち」という印象を抱いたのは、名張市危機管理室の下垣内琢巳さん(32)。例えば、カップ麺続きの食事は若者でもつらい。県外支援者の炊き出しでは高齢者には量が多く、味が濃い場合も。遠慮する避難者の気持ちを聞き出し、せめて野菜ジュースを添えられるようにするなど、改善に心を砕いた。
また、高齢者には仮設トイレの段差もハードルに。雪が凍り付いた時は、滑らないように削り取った。入浴場所に行くのも歯磨きもおっくうな人に、動く気持ちになってもらうことにも苦心した。
名張市情報政策室統計担当室長の由川晃規さん(54)は、高齢者が多い避難所の運営の課題を整理した。給水や入浴、生活再建支援などの情報は、掲示板に書き込んだ。「スマートフォンで調べてください」と言われても、難しい人は多い。「進んで情報を届けなければ」との思いを強めた。被災直後から、感染症対策や、誰もが自然に使えるトイレを設ける重要性も痛感した。
職員の被災地支援経験は、将来、名張市で起きる災害でも生かされる。最初に直面する避難所運営について、下垣内さんは「自治体職員と被災住民のどちらかが動くだけでは成り立たない。双方のバランスをもっと考えなければならない」。由川さんは「派遣職員同士の引き継ぎも大切。事前知識・情報を把握できるように」と語った。
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名張市の職員が派遣されたのは輪島市の避難所支援のためだけではない。被災建築物応急危険度判定では、都市計画室の安部哲弘さん(46)が1月18日に石川県穴水町へ。7軒を判定した。古い住宅の被害だけでなく、新しい住宅でも隣家のブロック塀の倒壊があるなど、危険な状況があったという。「付近に住む女性から、この地域はだめでしょうか、と声をかけられたが、言葉を返せなかった。被災者に寄り添い、気持ちに応えられるようにしなければならない、と思った」と語った。
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名張市下水道部の山本卓さん(38)、日裏太樹さん(32)は6~9日、石川県南部の能美市で下水道管やマンホールを調べる。日裏さんは同県輪島市に旅行した経験があり、「名張市の旧市街地・旧町みたいな町並みが被害を受け、悲しい。被災地の復興を支援できたら」と話した。
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