BTOでこだわりのカスタマイズが可能、品質やケーブル処理はさすがサイコムといえる高いクオリティー
2020年09月30日 09時00分更新
文● 宮里圭介 編集●市川/ASCII
「Radiant VX2800B550AG」
GPUを内蔵したRyzenは、Ryzen 3000Gシリーズがすでに登場していたが、アーキテクチャーは第2世代となるZen+止まり。GPUはないものの、第3世代となるZen 2を採用したRyzen 3000シリーズと比べてしまうとどうしてもCPU性能、とくにシングルコア性能が見劣りしがちだった。
サイコムの「Radiant VX2800B550AG」が搭載するのは、このGPU内蔵Ryzenの中でも最新となるRyzen PRO 4000Gシリーズ。アーキテクチャーが第3世代となるZen 2へと進化しているだけでなくコア数も増加し、Ryzen 7 PRO 4750Gは8コア/16スレッド、Ryzen 5 PRO 4650Gは6コア/12スレッド、Ryzen 3 PRO 4350Gは4コア/8スレッドと、かなり強力なラインナップとなっている。従来の最上位となるRyzen 5 3400Gが4コア/8スレッドだったことを考えれば、驚くほどの進化といえるだろう。
GPUを内蔵しながら高いCPU性能が魅力のRyzen PRO 4000Gシリーズ。とくに最上位のRyzen 7 PRO 4750Gは8コア/16スレッドと強力だ
もちろんGPUを内蔵しているため、別途ビデオカードを用意することなくディスプレー出力が可能だ。そのため、価格を抑えたコスパモデルに向いているといえるだろう。
今回紹介するRadiant VX2800B550AGは、そんなRyzen PRO 4000Gシリーズを採用したコスパ重視のミニタワー型パソコンだ。
Radiant VX2800B550AGの基本構成の主なスペックは、Ryzen 3 PRO 4350G、8GBメモリー、480GB SSDという実用的なもの。さらにFractal Designのケース、80PLUS BRONZEの電源まで採用しながら9万円を切るという価格は、十分お買い得感がある。
今回試用したモデルはこれをカスタマイズしたもので、CPUをRyzen 7 PRO 4750G、マザーボードをASUS TUF GAMING B550M-PLUS、メモリーを16GB、SSDを500GBに変更した、スペックアップモデル。といっても合計金額は12万7130円と、コスパの高さがしっかりと感じられる構成だ。このモデルを使い、詳細をチェックしていこう。
前面
背面
CPU |
Ryzen 3 PRO 4350G(試用機はRyzen 7 PRO 4750G) |
CPUクーラー |
Wraith Prism |
グラフィックス |
Radeon グラフィックス |
メモリー |
8GB(試用機は16GBメモリー) |
ストレージ |
480GB SSD(試用機は500GB SSD) |
マザーボード |
ASUS PRIME B550M-A(試用機はASUS TUF GAMING B550M-PLUS) |
ケース |
Fractal Design CORE 1550S Black (サイコムオリジナル仕様) |
内蔵ドライブ |
DVDスーパーマルチドライブ(ASUS DRW-24D5MT+書込みソフト) |
電源 |
SilverStone SST-ET550-B(550W/80PLUS BRONZE) |
OS |
Windows 10 Home(64bit) |
気になる細部をチェック!
インターフェースにこだわってマザーボードを選ぶ
Radiant VX2800B550AGのケースは、Micro ATXサイズのシンプルなミニタワー。フロントに5インチベイが2つ装備されており、そのうちの1つにDVDスーパーマルチドライブ(DVD±R/RAM対応)の「ASUS DRW-24D5MT」が搭載されている。
OSやソフトのインストールなどにより今でも使う機会があるだけに、標準装備はうれしいところ。必要なければ、BTOメニューで「なし」を選ぶと2050円安くなるので、好みで選ぶといいだろう。こういった柔軟な構成変更ができるところが、BTOパソコンの魅力だ。
5インチベイの一番上には光学式ドライブを標準装備。必要となったときに慌てるより、普段使わなくても付けておく方が安心感がある
前面のインターフェースは、USB3.0が2基とマイク、ヘッドフォン。出番の多くなってきたウェブカメラやマイクなどを着脱しやすいのがうれしいところ。ちなみに10Gbpsと高速なUSB3.2 Gen2を使いたい場合は、マザーボード直となる背面のインターフェースからの利用となる。
インターフェースはマザーボードによって大きく変化。「ASUS TUF GAMING B550M-PLUS」では、USBの数が多めなのと、Type-Cが1ポートあるのが特長
その背面インターフェースだが、搭載するマザーボードによって大きく変わってくる。USBの構成だけ見ても、標準の「ASUS PRIME B550M-A」ではUSB3.2 Gen2(Type-A)が2基、USB3.2 Gen1(Type-A)が4基となっているのに対し、試用したモデルに搭載されていた「ASUS TUF GAMING B550M-PLUS」ではUSB3.2 Gen2(Type-A、Type-C各1基ずつ)が2基、USB3.2 Gen1(Type-A)が4基、USB2.0(Type-A)が2基となっていた。もしType-Cを使いたいのであれば、マザーボードを変更しておくのがいいだろう。
また、ASUS TUF GAMING B550M-PLUSの特長のひとつとなるのが、有線LANが2.5Gbpsに対応していること。対応するスイッチやケーブルは必要となるものの、家庭内LANの高速化を考えているなら、選んでおいて損はない。
このほか、ディスプレー出力にも差があるので、標準のままでいいやと安易に考えず、マザーボードの詳細までチェックして選ぶのがオススメだ。
内部の組み立ては、さすがのサイコムクオリティー
拡張性の高さがデスクトップパソコンの強み
ケーブルは必要最小限に抑えられ、ケース内でとぐろを巻いている……なんてことはなく、しっかりとまとめられている
コスパモデルとはいえ組み立て品質はさすがのサイコム。ケーブル類はしっかりと束ねられ、エアフローをジャマしない場所に固定されているといった工夫がなされている。ケース内が見えるガラスサイドパネルのケースでなくとも、しっかりとケーブル処理されているのは好感が持てる。
こちらが裏側から見たところ。ケーブルはケース内でバラけてしまわないよう、結束バンドでまとめて固定されている
もちろんこれは見える範囲だけではない。しっかりと裏配線も活用し、キレイに取り回されている。
ヒートパイプで効率よく熱を移動し、大きなヒートシンクでしっかりと冷やすWraith Prismを採用。8コア/16スレッドのRyzen 7 PRO 4750Gをしっかり冷やしてくれる
Wraith Prismはクーラー内にRGB LEDを装備。BTOでガラスサイドパネルのケースに変更し、光る様子を見れるようにするのもアリだ
Ryzen 7 PRO 4750Gが搭載されていることもあり、CPUクーラーは何が使われているのかと気になっていたが、採用されていたのは「Wraith Prism」。これはCPUとヒートパイプが直接接触するタイプで、AMD純正のCPUクーラーの中では最上位となる。
小型とはいえタワーケースということもあり、内部のスペースには余裕がある。フロントの3.5インチベイを使ってHDDやSSDの増設、また、ビデオカードを増設し、ゲーミングパソコン化するというのもいいだろう。
ノートパソコンと違い、後から性能に不満を感じた部分を換装・増設で強化していけるのが、デスクトップパソコンの強み。長く使いたいと考えているなら、こうした拡張性が重要となる。
3.5インチのシャドウベイを4つ装備。HDDやSSDといったストレージの増設で活躍してくれる
コスパモデルでもしっかり使える構成と組み立て品質の高さが魅力
コスパモデルとは思えないほどしっかりとした作りと、実用的な構成が魅力
今回は主にスペックや内部についてチェックしていったが、コスパモデルとは思えないほどしっかりとした作りと、実用的な構成が魅力だ。
デスクトップパソコンというと高価なゲーミングパソコンばかり目につくが、ゲームを遊ばない人にとっては過剰なスペックとなる。純粋にコスパに優れた製品を探している人にとって、Radiant VX2800B550AGはよい選択肢となってくれるだろう。
次回は気になる性能面についてチェックしていく予定だ。