いろどりの杜 くまがいけんすけさん つじまりなさん
56年前の団地が生まれ変わった!
綾瀬駅から徒歩15分。1964年に生まれた団地が、56年の時を経て、ちょっとユニークな暮らしのある場所に生まれ変わった。シェアハウスでもなく一軒家やマンションでもない。そのどちらの良さも楽しめる団地。働くことと暮らすこと。それが完全に切り分けられることなく、つながる団地。
天井がむき出しだったり、壁はベニヤ仕上げなど、仕上げ過ぎず、お部屋にDIYを加える暮らしを選べる団地。暮らす人によって、また、そこにいる人のつながりによって、変わって行く、育つ団地。
どの部屋もDIYの余地が残されている
工具が置かれたシェア工房
シェア畑もある
LINEグループに参加して、情報交換することもできる。もちろん、ひとりでお部屋のDIYに没頭したっていい。今まで見たことのない「未来の団地」を目指す。
未来の団地のもうひとつの思いは、まちに開かれた団地。
まちに開かれることで、暮らしがもっと豊かになると思うから。
リアルがだめならオンラインで!
2020年2月にリノベーションが終わり、徐々に入居者が増える中で、コロナ禍に出会う。
予定していたDIYイベントや住民のバーベキューなど、スタートしたばかりのリアルイベントにストップがかかり、オンラインで始めたイベント「あだちクラフトマンヒーローズ」。仕掛け人のお2人に聞いた。
いろどりの杜住人でイベント仕掛け人のくまがいさんとつじさん
「足立区で活動をしているクラフトマンヒーローズをお呼びしてお話を聞きながら、みなさんと一緒にまちの未来を考えていくイベントです。クラフトマンヒーローズは、職人さんなどものづくりをする人、クリエイティブな活動をしているローカルヒーローなどを指し、インパクトある名前にしたくてネーミングしました(笑)。まちで活動している人たちだからこそ見えてくるコミュニティや自分たちが暮らすまちのことを学びながら、仕事や暮らしのヒントを探していくイベントです」(くまがいさん)。
くまがいさんもこの団地に住み、中川の河畔をランニングするなどこのまちの暮らしをとても楽しんでいるそう。
「自分にとってまちというのは、これまで、ただ寝に帰るだけの場所でしたが、いろどりの杜で『あだちクラフトマンヒーローズ』を開催するたびに、まちが『自分ごと』になっていくのを感じます。まちの中の点(自分の部屋)が面になり、面の解像度が上がっていく、そのたびに暮らしが豊かにアップデートされていくのを感じます。イベントに参加する人もそうじゃないかな。そうやって少しずつまちに関わる人が増えることで、面白いものが生まれ、さらにあだちが面白くなる。また、オンラインイベントの魅力は、当日、その場にいなくても参加できること。いろどりの杜は48世帯、100人弱の団地だけど、こういうイベントを通じて、そのまわりに10000人が関わっている、そんなコミュニティになる可能性がある。それってすごく面白いことだと思いませんか」(くまがいさん)。
まちを知ることは楽しい!
一方、いろどりの杜にパートナーと2人暮らしを始めたつじさんは、公園や自然も多く、子どもたちの遊ぶ声が聞こえる環境がとても心地いいという。「スーパーやパン屋さんも多くて、帰ってくると落ち着けますね。都心へのアクセスが良くて仕事に行くのに苦痛がないですし」。
生まれ育った山梨から東京に来てから2年に1度のペースで引っ越しているというが、「最初キラキラしていると思っていた東京が、今では無機質で白黒のまちに見えるようになってきました。でも、いろどりの杜に暮らし始め、DIYで部屋の机をつくったり、LINEグループでの団地の住民との何気ない情報交換や、『あだちクラフトマンヒーローズ』を通じて少しずつまちを知ることで、暮らしが拡張していく、もっといえば家族が拡張していく感覚を感じます」と話す。
引っ越してくる前のマンションでの二人暮らしと暮らしの豊かさがぜんぜん違って、「自粛期間中がむしろ楽しかった(笑)」。
「ここでマスク売ってたよ~」「このお店が美味しかった!」など、さりげない情報が行き交い、自分も、まちでいいものを見つけたら、みんなに教えてあげたい、と思うようになったのだそうだ。
DATA:あだちクラフトマンヒーローズ/不定期オンライン開催/主催:いろどりの杜(足立区東綾瀬3)協力:はじまり商店街
https://irodorino-mori.life/