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新型コロナウイルス感染拡大の長期化で飲食店の苦境が続くなか、寛政年間に創業し、230年以上の歴史を持つ東京・葛飾柴又の日本料理店「川甚(かわじん)」がコロナによる業績悪化を理由に今月末で閉店する。夏目漱石ら数々の文豪の小説に登場し、映画「男はつらいよ」の舞台にもなった老舗店の幕引きに、惜しむ声が広がっている。(本江希望)
固定費が大きく
「自分の代で店を閉めるのは大きな葛藤があった。経営者としての力不足です」。川甚の8代目社長、天宮一輝さん(69)は、悔しそうに語った。
同店は新鮮な鯉(こい)や、うなぎを使った川魚料理が名物。冠婚葬祭などにも利用され、映画「男はつらいよ」の第1作で、寅さんの妹、さくらの結婚披露宴のシーンが本館で撮影されたことでも知られる。
地元や観光客に愛され、繁忙期は1日700人が利用することもあったが、コロナ禍で客が激減。経費削減や助成金、融資制度の利用など、手は尽くすも「大きな店なので固定費が大きく、焼け石に水だった」という。
借入金を返済するためには、その分、売り上げを増やす必要があるが「明るい展望が見えない」として昨年12月に閉店を決断。「8代目としてバトンを受けて、自分の代で店を閉めるのは大きな葛藤があった」と胸中を明かす。
天宮さんは同月20日に従業員を集めて閉店を説明し、頭を下げた。「従業員は黙って聞いてくれたが、心中は厳しいものだったと思う。本当に申し訳なく思っている」と振り返る。
従業員に説明した後、天宮さんは菩提(ぼだい)寺である柴又帝釈天に向かい、先祖のお墓の前で手を合わせた。「声には出さないですが、『どうもすいません』と謝りました」
柴又のシンボル
閉店を決めたことを公表すると、問い合わせの電話がひっきりなしに鳴るようになった。店の前では午前11時の開店前から客が集まる。埼玉県八潮市に住む主婦、小澤由佳子さん(53)は「寅さんのファンで、この店が登場した『男はつらいよ』の第1作を見返したばかり。歴史あるお店がなくなってしまうのは寂しい」と惜しんだ。
さくら役を演じた女優の倍賞千恵子さん(79)は事務所を通じ「お店の玄関のたたずまいが趣あり、印象深かった。なくなってしまうのは寂しく、とても残念です」とコメントした。
帝釈天の参道にある明治34(1901)年創業の甘味処「亀家本舗」の岩崎純哉社長(49)は、川甚の閉店について「柴又のシンボルだった。苦渋の決断だったと思うが、悲しい」と語る。自身の店もコロナ禍で売り上げ減が続き「資産を食いつぶしながら営業を続けている状況。頑張っていきたいが、明日はわが身という思いもある」と危機感を示した。
飲食業にダメージ
信用調査会社の東京商工リサーチが全国の企業を対象に今月5~14日にインターネット上で行った調査では、新型コロナウイルスの影響などで廃業を検討している飲食店は回答した66社のうち25社で、37・9%に及ぶ。昨年11月の調査では23・4%(64社中15社)だったが、翌月の12月は32・8%(61社中20社)と増加し、今月はさらに増えた形。原田三寛(みつひろ)情報部長は「コロナの第3波と緊急事態宣言の再発令の影響がもろに出ている」と語る。
また、帝国データバンクの調査によると、昨年の倒産件数は7809件で20年ぶりの低水準だったが、飲食業は780件で過去最多となった。
情報部の綴木(つづるき)猛さんは、飲食業はダメージが大きく、支援策が行き届かない状況が続くと今後も倒産件数が増加する可能性があるとし「企業ごとに事情が異なるため一律での支援策では限界がある。より広い層を救うための政策の拡充が必要になる」と指摘した。
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January 31, 2021 at 04:30AM
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