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天才は、またも繰り返し、そして敗れた。
17日、中山競馬場で開催された皐月賞(G1)は、5番人気のジオグリフ(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)が勝利。勝利騎手インタビューで「思い描いていたレースができた」と語った福永祐一騎手のソツのない騎乗が光ったレースだった。
その一方で、1番人気に推されながらも3着に敗れたドウデュース(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)にとっては、やや悔いの残るレースだったのではないだろうか。
「残念です――」
ドウデュースを含め、イクイノックス、ダノンベルーガ、キラーアビリティの「4強」と言われながらも、史上稀に見る大混戦だった今年の皐月賞。それでも朝日杯フューチュリティS(G1)を勝った本馬が1番人気に推されたのは、前に行ってよし、後ろからでも良しという、どんな展開にも対応できる自在性が高く評価されたからだ。
しかし、この「位置取り」を予測できたファンは一体何人いただろうか。
安藤勝己氏も困惑した武豊騎手の後方待機策
18頭立て芝2000mのレースで、まずまずのスタート決めたドウデュース。前走で見せた好位からの競馬も想定できるポジションだったが、武豊騎手が選択したのは2走前の朝日杯FSのような後方からの競馬だった。
しかし、朝日杯FSでは15頭中8番手と中団からの競馬だったが、この日は1コーナーを回る時点で18頭中15番手という、ほぼ最後方。「結果的にポジションが後ろ過ぎたんですかね」というレース後の武豊騎手の言葉通り、この時点で“嫌な予感”がしたファンは少なくなかったはずだ。
ちなみに、皐月賞が行われる中山内回りコースの最後の直線の長さは310m。これはこの日の裏開催だった福島競馬場のCコースが299.7mといえば、如何に短いのかが伝わるだろう。案の定、4コーナー14番手から上がり最速の末脚で追い上げたドウデュースだったが3着がやっと。2着イクイノックスには1馬身1/4という決定的な差を付けられた。
「レース後、武豊騎手も『もう少しペースが流れるかと思ったけど……』と話していましたが、逃げ想定だったデシエルトがスタート直後に躓いてしまったことは、武豊騎手にとっても不運だったと思います。
ただ、それを差し引いても世代のトップレベルが集う皐月賞で、後方一気は至難の業。最後は素晴らしい末脚でしたが、残念ながら勝ち負けという感じではなかったですね」(競馬記者)
この競馬には、元JRA騎手の安藤勝己氏も公式Twitterを通じて「ドウデュースはどうしても大外を回したかったか、距離を懸念して終いだけの競馬をしたかったのか。それにしても後ろからすぎた」と武豊騎手の作戦に困惑……。
「ワンツーがいい位置取ってただけにね」と、暗にもっと前から競馬すべきだったと示唆している。
実際に、武豊騎手がディープインパクトで勝った2005年以降、計17回の皐月賞で4コーナー2桁通過より勝ち切ったのは、オルフェーヴル(11番手)とディーマジェスティ(10番手)のみ。ディーマジェスティは1000m通過58.4秒というハイペースがハマった結果であり、オルフェーヴルに至っては東日本大震災の影響で東京開催だった。
あのディープインパクトでさえ9番手からの差し切りであり、1000m通過が60.2秒だった今年の皐月賞において、後方14番手から差し切るのは物理的に困難と言わざるを得ない。
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