ドイツ滞在経験から商店街を2000人の遊び場に。人を巻き込む「当事者意識」のつくり方【土肥潤也3】 - Business Insider Japan

ドイツ滞在経験から商店街を2000人の遊び場に。人を巻き込む「当事者意識」のつくり方【土肥潤也3】 - Business Insider Japan

09.15

土肥潤也さん

撮影:千倉志野

焼津市郊外で育った土肥潤也(27)の記憶にあるのは、ロードサイドの大型ショッピングモールだ。ファストファッションから家電量販店、スーパーマーケットなどがあり、生活にはここで十分事足りた。彼の育ってきた中に駅前商店街の記憶はない。

そんな土肥はドイツの街中で見た子どもたちの遊び場をつくるイベントに、街と人の関係性を考えさせられることになる。文部科学省の青少年指導者交流事業の派遣団としてドイツに約半年滞在する機会を得た際のことだ。

「ドイツでは市民が自分たちで公共スペースをつくっていました。道遊びのプロジェクトでは平日の昼間なのに商店街の真ん中が子どもたちの遊び場になっていました。

おもちゃをどっさり積んだプレイカーが移動サーカスみたいな感じでやってくるんです。その様子を見て、みんなが街の主人公になれているのがすごいと思いました」

ドイツ人と日本人では道路という公共財の捉え方が違うことも、土肥にとって発見だった。日本では道路は役所のものだという意識がある。それに対し、ドイツ人は公共財を自分たちのものだという感覚で捉えていた。

「道路一つとっても、日本人は警察や役所のものだと思うし、ドイツだと自分たちのものと思う、この違いは大きいと思ったけど、ここにヒントがあるとも思ったんです。

道遊びを通して、商店街という道路を自分たちの道だと思える感覚をもってもらえるようにしようと思いました。デモだと角が立つけど、遊びなら柔らかい。何より、遊びは主体的な行動ですから」

「準備」こそ外に向かって開く

土肥潤也さんのnote

「みんなのアソビバ」には準備段階を含めると、直接・間接的に100人近い人が協力している。

土肥のnoteよりキャプチャ

「みんなのアソビバ」を焼津駅前商店街で実行したのは、2018年12月のことだ。日曜日、商店街の道路に敷き詰めた人工芝の上にはゲームやおもちゃを載せた何台ものテーブル。子どもたちはもちろん、大人たちも、よく見れば祖父母らしき人たちもおもちゃで遊び、芝生に寝っ転がった。

2000人が集まる盛況となったのだが、前段階の準備にこそ意味ある試みがあった。20代から70代まで10人足らずの実行委員会は商店主、市役所職員、学生など個人で構成し、自治体からの補助金は受けていない。補助金を受けると、制約を受けて自由度が下がるためだ。準備段階から「やりたい遊び」や「出しもの」など企画をSNSで募り、つくったチラシの配布についてもSNSで応援を求めるなど、外に向かって開いていった。

そうすると関わる人たちが自然発生的に増える。それは商店街への当事者意識を醸成していくことになった。その後も年に2回、5月と11月の開催が続いているが、ある年の5月には重機を取り扱う会社の人が「鯉のぼりを重機で上げたい」と言い、商店街に大きな鯉のぼりが泳いだ。

「みんなのアソビバ」によって商店街の売り上げが伸びることは、実は結果であって目的ではない。

準備段階は言ってみれば大人たちの遊びだ。そして当日は子どもたちが楽しく遊び、大人たちもつられて遊んでいるうちに本気で遊んでしまう。こうして主体的に街に関わる人が増えていくと、商店街には活気が生まれる。

実は当初、商店街組合には「今更……」という雰囲気があったという。ところが蓋を開けてみると、大勢の親子連れが集まった。その景色を見て徐々に人々の考え方が変わってきた。仲間で出資し合って古民家カフェを始めたベテラン世代も現れた。

55枠の一箱本棚がすぐに満員に

みんなの図書館さんかく

400メートルほど続く焼津駅前商店街に位置する「みんなの図書館 さんかく」も、土肥にとってファシリテーションの実践の一つだ。

撮影:千倉志野

活動を通してできた仲間と土肥は、一般社団法人トリナスを共同設立した。2020年のことだ。そして土肥は自分でも空き店舗を借りてみようかなと思い立つ。コワーキングスペースを始め商店街にプレイヤーが増え、空き店舗を活用する新しさや楽しさが目に見えてきていた。

何を始めようかというとき、再びドイツで見た風景が頭に浮かんだ。街のあちこちに公共図書館とは異なるやり方で本が置かれ、循環していた。例えば電話ボックスを開けると中は本棚になっていて「1冊取ったら1冊入れてね」と書かれているという具合だ。差し迫った問題として、部屋に溢れそうになった大量の本をどうにかしなくてはということもあり、土肥は自分の本を貸し出す図書館を開こうと思った。

ところが、周囲の人たちが「商店街だから商売をしないといかんやろ」「身銭を切るやり方では持続可能性が低い」などと盛んに意見する。しかし土肥はNPOを基盤に活動をしているため、金を稼ぐ事業の組み立て方がわからない。あちこちの古書店や図書館、独立書店を見て回って、たどり着いたのが一箱本棚を貸し出す「みんなの図書館さんかく」だった。さんかくには「参画」と、人が集まるという意味の数字「3」を含んでいる。

みんなの図書館さんかく 本棚

さんかくの本棚。本棚は1スペースを月額2000円の「本箱」として貸し出す。箱ごとにオーナーが好きな本を並べ、一種の自己表現の場のようにもなっている。

撮影:千倉志野

月額2000円で本箱を貸し出し、オーナーは自分の好きな本やお勧めの本を並べることができる。300円を支払って個人会員になれば自由に本を借りることができる。最初の10枠はクラウドファンディングで集めたが、図書館の司書や同人誌をつくっている人などをはじめ、地元の人たちで55枠があっという間に埋まった。

土肥が払うはずだった家賃は本箱オーナーの賃料で十分に払うことができ、そればかりか光熱費も賄えることとなった。

2年で30カ所に広がった「さんかく」モデル

みんなの図書館さんかく メッセージ

貸し出される本には感想カードがついている。こちらは元ヴィレッジヴァンガードの書店員、花田菜々子さんの著書「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」の感想カードだ。

撮影:千倉志野

土肥は「やいぱる」の経験から、中高生のための場所づくりが日本中に広がっていけばいいのにという思いを持ち、「さんかく」の事業をデザインするにあたっては真似されるようなモデルにすることを意識していた。一箱図書館が中高生にとっての居場所になる可能性を感じたためだ。

だが、全国で30カ所にまで増えるとは予想していなかった。わずか2年で広がった要因の一つは、コロナ禍の影響が後押ししたことだ。今まで地域でさまざまな場づくりのイベントをしてきた人たちが日常の場づくりにシフトした結果、一箱図書館に注目した。そして土肥はもう1点、シビアな見立てを付け加えた。

「外から見ると活動は大変に見えないからだと思う。でも地域に関わる活動では受容する力が問われる場面は必ず出てくると思います。地域の場づくりの経験があって、場づくりには思いがけない問題が起こりうることを知っている人でないと、そもそも一箱オーナーを集められないと思います」

第4回は土肥の3人の恩師とファシリテーションが土肥の人生に与えた影響について。

(敬称略・明日に続く)

(文・三宅玲子、写真・千倉志野)

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エアビー、第2四半期売上高見通しが予想上回る 旅行需要に期待 - ロイター (Reuters Japan)

エアビー、第2四半期売上高見通しが予想上回る 旅行需要に期待 - ロイター (Reuters Japan)

09.15
 米民泊サイト運営大手エアビーアンドビーが5月3日に示した第2・四半期の売上高見通しが市場予想を上回った。新型コロナウイルス関連規制が世界的に緩和される中、累積需要で夏に旅行が増えると見込んでいる。写真は同社のロゴ(2022年 ロイター/Dado Ruvic)

[3日 ロイター] - 米民泊サイト運営大手エアビーアンドビーが3日に示した第2・四半期の売上高見通しが市場予想を上回った。新型コロナウイルス関連規制が世界的に緩和される中、累積需要で夏に旅行が増えると見込んでいる。

売上高見通しは20億3000万─21億3000万ドル。リフィニティブがまとめたアナリストの予想平均は19億6000万ドルだった。

リモートワークと出社を組み合わせたハイブリッド型の勤務がここ数カ月に広がりを見せており、都市部から離れた場所に滞在する期間を延ばしたり、頻度を増やしたりする動きが民泊業者にとって追い風となっている。

エアビーの株価は引け後の時間外取引で4%超上昇した。

第1・四半期には都市部以外での総予約宿泊数が過去最高の伸びとなった。都市部の総予約宿泊数も大幅に増加し、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)前の水準を上回った。

第1・四半期の売上高は前年比70%増加した。純損益は1株当たり0.03ドルの赤字だったが、赤字はアナリストの予想よりもかなり小幅にとどまった。

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文通費の使途限定や返還をルール化できるか 今国会中の与野党意見集約難しく - 東京新聞

文通費の使途限定や返還をルール化できるか 今国会中の与野党意見集約難しく - 東京新聞

07.16

 国会議員に月100万円支給される「文書通信交通滞在費(文通費)」問題は、日割り支給などの改正法が成立し、今後の焦点は使途の限定や公開、未使用分の返還をルール化できるかに移っている。改正法は、目的外使用が常態化している実態を合法化するような内容で、識者らから批判が噴出。議員たちは「これからの議論で使途を制限する」と反論するが、国民の理解を得るためには結果が問われる。(井上峻輔)

◆改正法に透けて見える思惑

 「今まで厳密な意味で使途の限定はなく、しっかり限定していく方向性は一致した」。与野党6会派による協議会が再開された4月21日、寺田学事務局長(立憲民主党)は記者団に今後の方針を説明した。

 改正法では名称を「調査研究広報滞在費」に改め、目的を「公の書類を発送し、公の性質を有する通信をなす等のため」から「国政に関する調査研究や広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うため」に変更した。広報や交流という表現から、使途を限りなく広げたい思惑が透ける。

 多くの議員は「そもそも従来が無制限だった」と主張するが、改正前の名称や目的から、使途は国会活動の必要経費などに限られると考えるのが妥当だ。公開も領収書添付も不要のため、議員側が「何にでも使える」と判断し、選挙活動などを含め自由に使っていたのが実態。共同通信の4月の世論調査で「使途を公開すべきだ」との回答が88%に達するなど透明化を迫られ、慌てて議論を始めた印象は否めない。

◆政治活動への資金「二重取り」

 では、現状の使途はどうなっているのか。各党に先駆け、文通費の自主公開に踏み切った日本維新の会の資料が参考になる。

 最新の昨年12月分を本紙が集計したところ、47人の使途の5割が政治団体である地元の政党支部や自らの政治資金管理団体への「寄付」だったことが判明。政治団体なら選挙を含む政治活動全般に支出できる。他党にも政治団体に寄付している議員はいるが、自由に使えるよう「迂回」させているようにも見えるため、維新はその後、誤解を招きかねないとして寄付はしないと申し合わせた。

 寄付以外では、地元事務所の家賃や人件費など政治活動のためとみられる支出もあった。政治活動の資金としては、税金を財源にした政党交付金が存在する。受け取っていない共産党を除き、年320億円もの巨費が各党に分配されている。文通費の寄付や政治活動への使用を認めれば、共産党以外はお金の「二重取り」にほかならない。

◆「べからず集」だけでは抜け穴

 与野党は今国会中に使途の範囲や公開の結論を得ることで一致。まず「使ってはいけないリスト」を作成することを決め、大型連休明けに案を持ち寄る。寺田氏は「法文上も選挙活動は論外」と強調する。

 ただ、自民党内などには使途限定や公開への慎重論が強い。与野党は昨年の臨時国会で合意を得られず、今国会では日割り支給と名称・目的変更を先行させた。6月15日までの会期中の意見集約は見通せない。

 全国市民オンブズマン連絡会議の事務局長を務める新海聡弁護士は、使途に関し「『べからず集』だけでは議員は抜け穴を探す。何に使うべきかを明確に定めるべきだ」と指摘。選挙活動や政党活動などへの使用を認めていない地方議員の政務活動費を引き合いに「納税者に説明できる使途にすべきだ」と求めた。

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文通費の使途限定や返還をルール化できるか 今国会中の与野党意見集約難しく - 東京新聞

文通費の使途限定や返還をルール化できるか 今国会中の与野党意見集約難しく - 東京新聞

05.15

 国会議員に月100万円支給される「文書通信交通滞在費(文通費)」問題は、日割り支給などの改正法が成立し、今後の焦点は使途の限定や公開、未使用分の返還をルール化できるかに移っている。改正法は、目的外使用が常態化している実態を合法化するような内容で、識者らから批判が噴出。議員たちは「これからの議論で使途を制限する」と反論するが、国民の理解を得るためには結果が問われる。(井上峻輔)

◆改正法に透けて見える思惑

 「今まで厳密な意味で使途の限定はなく、しっかり限定していく方向性は一致した」。与野党6会派による協議会が再開された4月21日、寺田学事務局長(立憲民主党)は記者団に今後の方針を説明した。

 改正法では名称を「調査研究広報滞在費」に改め、目的を「公の書類を発送し、公の性質を有する通信をなす等のため」から「国政に関する調査研究や広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うため」に変更した。広報や交流という表現から、使途を限りなく広げたい思惑が透ける。

 多くの議員は「そもそも従来が無制限だった」と主張するが、改正前の名称や目的から、使途は国会活動の必要経費などに限られると考えるのが妥当だ。公開も領収書添付も不要のため、議員側が「何にでも使える」と判断し、選挙活動などを含め自由に使っていたのが実態。共同通信の4月の世論調査で「使途を公開すべきだ」との回答が88%に達するなど透明化を迫られ、慌てて議論を始めた印象は否めない。

◆政治活動への資金「二重取り」

 では、現状の使途はどうなっているのか。各党に先駆け、文通費の自主公開に踏み切った日本維新の会の資料が参考になる。

 最新の昨年12月分を本紙が集計したところ、47人の使途の5割が政治団体である地元の政党支部や自らの政治資金管理団体への「寄付」だったことが判明。政治団体なら選挙を含む政治活動全般に支出できる。他党にも政治団体に寄付している議員はいるが、自由に使えるよう「迂回」させているようにも見えるため、維新はその後、誤解を招きかねないとして寄付はしないと申し合わせた。

 寄付以外では、地元事務所の家賃や人件費など政治活動のためとみられる支出もあった。政治活動の資金としては、税金を財源にした政党交付金が存在する。受け取っていない共産党を除き、年320億円もの巨費が各党に分配されている。文通費の寄付や政治活動への使用を認めれば、共産党以外はお金の「二重取り」にほかならない。

◆「べからず集」だけでは抜け穴

 与野党は今国会中に使途の範囲や公開の結論を得ることで一致。まず「使ってはいけないリスト」を作成することを決め、大型連休明けに案を持ち寄る。寺田氏は「法文上も選挙活動は論外」と強調する。

 ただ、自民党内などには使途限定や公開への慎重論が強い。与野党は昨年の臨時国会で合意を得られず、今国会では日割り支給と名称・目的変更を先行させた。6月15日までの会期中の意見集約は見通せない。

 全国市民オンブズマン連絡会議の事務局長を務める新海聡弁護士は、使途に関し「『べからず集』だけでは議員は抜け穴を探す。何に使うべきかを明確に定めるべきだ」と指摘。選挙活動や政党活動などへの使用を認めていない地方議員の政務活動費を引き合いに「納税者に説明できる使途にすべきだ」と求めた。

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岸田文雄首相インタビュー 改憲へ 国会議論と世論喚起 - 産経ニュース

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03.15

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熱海土石流発生から10か月 被災者が黙とう|NHK 静岡県のニュース - nhk.or.jp

熱海土石流発生から10か月 被災者が黙とう|NHK 静岡県のニュース - nhk.or.jp

16.32
taritkar.blogspot.com

熱海市で大規模な土石流が発生してからきょうで10か月です。
土砂が流れ下った現場近くでは、被災者が犠牲者を悼んで黙とうをささげました。

去年7月3日、熱海市伊豆山地区で発生した大規模な土石流の被害では、これまでに災害関連死も含めて27人が亡くなり、いまも太田和子さんの行方がわかっていません。
発生から10か月となる3日、被災者や地元の住民あわせて6人が被災現場近くに集まりました。
そして、消防に最初の通報があった午前10時半ごろに、静かに手を合わせて黙とうをささげました。
犠牲者の遺族や被災者でつくる「被害者の会」の副会長の太田滋さん(65)は「太田和子さんのご家族は、いまだ気持ちの整理がつかないと思うので、早く何らかの手がかりが見つかってほしいです」と述べました。
太田さんは、土石流で住宅が全壊し、今は神奈川県湯河原町のアパートで暮らしていて、「警戒区域がいつになったら解除され、地域から離れた人がふるさとに戻れるのか、まだ先が見えません」と話していました。
その上で、遺族や被災者などあわせて84人が盛り土を造成した不動産会社の元代表や今の土地所有者などに対して、57億円あまりの賠償を求めている裁判が5月18日から始まることについては、「裁判を通して、盛り土に関わった人たちが包み隠さず話して、責任を取ってほしい」と話していました。

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水族館を集客の呼び水に 松坂屋静岡店、25年ぶりリニューアル - 朝日新聞デジタル

水族館を集客の呼び水に 松坂屋静岡店、25年ぶりリニューアル - 朝日新聞デジタル

08.15

 開店90周年を迎えた松坂屋静岡店(静岡市葵区)が4月27日、大規模改装を終え、リニューアルオープンした。改装の目玉は、売り場ではなく、新たに作られた水族館だ。

 売り場を抜けるエスカレーターで7階に上がると、数十匹の魚が悠々と泳ぐ大きな水槽が目に飛び込んだ。新たにオープンした水族館「スマートアクアリウム静岡」だ。100種2200匹ほどの魚が見られるほか、標本を拡大して観察できるコーナーや、本を読みながら環境や魚の生態を学ぶコーナーもつくられた。

 百貨店が、売り場を減らして水族館を設ける。その背景には消費者の百貨店離れがある。同店は、1997年度には過去最高となる約347億円の売上高を記録したが、その後は景気の低迷による節約志向の高まりや、ネット通販の台頭などで売り上げは右肩下がり。コロナ禍もあり2020年度の売り上げは約149億円まで減少した。

 そんな中で、「百貨店は地域の皆様の需要に応えられていないという危機感」(落合功男店長)を背景に、総額約17億円を投じ、生き残りをかけた大規模改装に打って出た。

 改装は全売り場面積の約55%にわたる。水族館などの体験型施設をオープンしたほか、商品の売り場も大きく変えた。従来は婦人・紳士服のように、商品や性別で分けられていた売り場構成を、「自分磨きを楽しむ」「私のお気に入りを見つける」などのテーマごとに変更。客が好みに合わせて買い回りしやすい構成に再編した。

 狙いは、これまで百貨店で買い物をする習慣が無かった層を呼び込むこと。買い物目的で来る客だけでなく、上階の水族館を目当てに訪れた客が、下の階で買い物もする「シャワー効果」を見込む。

 27日にあったオープニングセレモニーで、大丸松坂屋百貨店の澤田太郎社長は「この改装は完成形でもゴールでもない。ここから独自の進化をしていくスタートだ」とあいさつした。

 ただ、今回の改装が反転攻勢の起爆剤となるかは見通せない。静岡市中心部には百貨店や大型商業施設がひしめき、オーバーストア(店舗過剰)状態と言われる。静岡市や周辺自治体の人口も減少しており、競争は激しい。

 20年7月には、市中心部にあった県内最大級の書店「戸田書店静岡本店」が閉店した。21年3月には、ファッションのシンボル的存在だった大型商業施設「静岡マルイ」も半世紀を超える歴史に幕を下ろした。

 落合さんは「これまで中心部には食事や買い物をする場しかなかった。滞在する時間を楽しんでもらう場を提供したい」と話す。

 隣接する葵区御幸町・伝馬町の一部では再開発が進められ、24年春にも再開発ビルが完成する予定だ。落合さんは言う。「地方百貨店は苦境だが、駅前の百貨店にはまだ存在感がある。チャレンジする県内の企業や人と共に、より静岡の価値を高められるエリアにしていきたい」(山崎琢也)

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