「経験ない恐怖」で死を意識|下野新聞 SOON - 下野新聞

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 道路脇の植え込みで寝泊まりする地震の被災者=10日、モロッコ・マラケシュ(共同)

 道路脇の植え込みで寝泊まりする地震の被災者=10日、モロッコ・マラケシュ(共同)

 【マラケシュ(モロッコ中部)共同】伝統的な赤い土壁の建物はもろくも崩れ、多くの避難者が路上で肩を寄せ合っていた。8日夜に発生した地震で2千人以上が死亡したモロッコの被災地に共同通信記者が入った。被災者は、死が頭をよぎる「経験のない恐怖」を振り返り、余震におびえていた。

 「これで死ぬと思った」。10日未明の中部マラケシュ。地震発生後から娘夫婦や孫らと路上で寝泊まりしている女性ファトマ・ベンジニさん(73)が疲れた表情で話した。自宅に大きな損傷はなかったが、近所の家は何軒も崩壊したという。「また地震があるかと思うと戻れない」

 マラケシュは北アフリカ有数の交易の中心地として発展。赤褐色の歴史ある建物が並ぶ旧市街は世界文化遺産に登録され、日本人を含む外国人観光客に人気だった。旧市街を囲む城壁の一部やモスク(イスラム教礼拝所)の尖塔も地震で崩れた。女性アイシャ・ニーヤさん(28)は「地元経済は観光業に大きく頼っている。観光客が一気にいなくなってしまうのではないか」と心配していた。

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