俳優や監督に自身の作品はもちろん、日本映画の過去や未来についても語らってもらおうと始めたシネマクエストと東映チャンネルのコラボ対談番組「シネマの世界」。
2018年の5月からスタートしたこの連載、東映チャンネルというテレビとのコラボレーションは第11回目の『銃』武正晴監督と村上虹郎さんとの対談からでありました。そこから東映チャンネルとのコラボの際は、“好きなor思い出の東映作品は?”と質問をしていたんですが、連載ではあえて掲載せず。
今回は、その中から回答が多かった上位6作品を2回に分けて今月ご紹介しますよ〜。
ちなみに2年前の記念すべき第1回は『孤狼の血』の白石和彌監督と原作者の柚月裕子さんでありましたが、実はこの時にも「好きな映画」の話で、東映作品が挙げられておりました。
それが、好きな東映作品No.1に輝いたこちら......
第1位『仁義なき戦い』
劇場公開:1973年、監督:深作欣二 主演:菅原文太
やっぱり東映映画といったらコレですな!ヤクザ映画の金字塔であり、シリーズ化までされ、菅原文太様、梅宮辰夫様、松方弘樹様、北大路欣也様、小林旭様、更に若かりし頃の千葉真一様、渡瀬恒彦様と、まさに「様」を付けたくなる錚々たる顔ぶれが“ワルイ男”を楽しそうに演じているんですから。そもそも実際に20年くらい続いていた広島での暴力団抗争がモデルになった事件を映画化しております。とにかくストーリーに引き込まれまから!信頼していた仲間からの裏切り、男同士の命がけの絆、組同士の抗争。とにかく無駄に吠える!無駄に熱い!そこがイイのよ!この作品以降、「広島死闘篇」「代理戦争」「頂上作戦」「完結編」も名作であり、マニアの中では、それぞれお気に入りのシリーズが存在いたします。深作欣二監督の代表作であり、この時のドキュメンタリータッチのカメラワークの臨場感たるや!名セリフも満載です。ちなみに私は金子信雄さん演じる組長の山守と山城新伍さん演じる江田のクセあるキャラがお気に入りでしたわ!ラスト、菅原文太演じる広能のセリフ「山守さん、弾はまだ残っとるがよう」に鳥肌が立ったもんね!東映を語るには押さえておくべし、ヤクザ映画じゃけん。
(コメント)
白石和彌監督「『仁義なき戦い』は初見でも、争っているのはわかるし「何となくこうゆう事なんだろうな?」ってわかるんですけど。誰がどこの組って結局わかんないですよね」(『孤狼の血』インタビュー回)
柚月裕子「わからないながらも魅せるって凄いですよね」(『孤狼の血』インタビュー回)
武正晴監督「『仁義なき戦い』を観てガラッと世界が変わりました。リアルタイムでは観ていないのですが『仁義なき戦い』は東映らしい作品だと思います。学生時代に名画座で5本立てを観た時とか気合が入りましたし、この映画に出演している人達と仕事がしたいと思いました。キャスティングする時も『仁義なき戦い』の出演者を意識したりします」(『銃』インタビュー回)
太賀「やっぱり『仁義なき戦い』ですね。あの中では菅原文太さんが演じられた広能昌三役を演じてみたいです。ああいう男らしい物語というか、血生臭いぐらいの暑苦しいのって今出来るのかなって。『仁義なき戦い』のようなハードで、血で血を洗うような作品をやってみたいという憧れがあります」(『母さんがどんなに僕を嫌いでも』インタビュー回)
大九明子監督「東映作品といって頭に浮かぶのは『仁義なき戦い』。リアルタイムでは観てないですし、何度も観ているという訳ではないのですが、現場に臨む前にあのテーマ曲が浮かぶんです。あの映画の本気に匹敵する作品を作らなくてはという気持ちにピッとなるように」(『美人が婚活してみたら』インタビュー回)
三浦友和「『仁義なき戦い』です。撮影当時38歳だった菅原文太さんの迫力には勝てないです」(『風の電話』インタビュー回)
第2位『孤狼の血』
劇場公開:2018年、監督:白石和彌 主演:役所広司
『仁義なき戦い』を愛する原作者柚月裕子による広島の架空都市を舞台に描いた、「警察×『仁義なき戦い』」的、ハードボイルド小説を『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督が映画化。若松孝二監督の助監督をしていた白石監督の作風は、人間の狂気を浮き彫りにし、荒々しい描写の中に登場人物のチャーミングさが時折、見え隠れする変化球が面白いのですよ。そして『孤狼の血』でも冒頭から残酷なシーンで始まり、ヤクザの若頭を演じた竹野内豊さんが鼻にティッシュを突っ込んでいて誰かわからないし、役所広司さん演じるマル暴刑事大上が、警察署での取調べ中、MEGUMIさん演じる失踪した金融会社の男の妹に、エッチなことをさせてしまうのだから“暴力”“エロ”祭りなのです。まさに“東映ヤクザ映画再び”という感じ。しかも、白石監督と仕事をしたいと願う俳優も多いので、キャストもこれでもかというくらい豪華!この映画で役所広司さんと松坂桃李さんは数々の映画賞を受賞。白石組常連の音尾琢真さん、ピエール瀧さんは相変わらずワルが似合う。江口洋介さん、中村倫也さん、真木よう子さん、阿部純子さんまでバラエティに飛んだ顔ぶれ。演技合戦も去ることながら、絡まり合っていく人間関係が物語を更に面白くさせております。
(コメント)
村上虹郎「最近観た作品だと『孤狼の血』。僕は出演してませんし、白石監督にもお会いしたことがないんですけど、渋谷の東映映画館で観ました」(『銃』インタビュー回)
松本穂香「最近観た映画だと『孤狼の血』が凄く面白くて、衝撃を受けました」(『おいしい家族』インタビュー回)
第3位『美少女戦士セーラームーン』
未だにキャラクターグッズだったり、キャラクターコラボ商品が発売になったり、ミュージカルになるは、セーラームーンのショーが見られるレストランまで作られちゃっているは、の永遠のアイドルキャラクター。普通の女の子だった月野うさぎが、愛と正義の美少女戦士セーラームーンに変身し、セーラー戦士仲間たちと妖魔と戦うファンタジーアニメ。原作は、1992年から月刊誌『なかよし』で連載され、17ヶ国語に翻訳、テレビ朝日系で東映アニメーション制作によるテレビアニメ5作品が全200話放映され、アニメも40ヶ国以上で展開、劇場版も多数制作という、日本どころか世界的に大人気。しかも!劇場版最新作『美少女戦士セーラームーンEternal』がこの秋公開予定!!<前編>と表記されている通り、前後編での公開のようです。今回の映画は、原作の4期にあたる<デッドムーン編>で、可愛いちびうさとエリオットの淡い恋やらセーラー戦士たちの成長が描かれるそう。“女の子だって派手に戦っていい!”そんな女の子たちの願いを叶える名作。セーラー服をリメイクしたようなファッションが戦闘服で、タイプ違いの女の子たち皆可愛いし、なによりストーリーが緻密なのが素晴らしい!
(コメント)
酒井若菜「世代的にはドンピシャの『美少女戦士セーラームーン』」(『LOVE HOTELに於ける情事とPLANの涯て』インタビュー回)
松本利夫「『美少女戦士セーラームーン』です。無茶苦茶流行りましたからね。「お仕置き」されてましたよ(笑)」(『影に抱かれて眠れ』インタビュー回)
次回は、また別の作品をご紹介。
自宅で何を見ようか悩んでいるならば、監督や俳優が影響された映画やアニメ
を見てみると、また新たな楽しみが生まれるやも?お役立てくださいませ。
(文・伊藤さとり)
作品紹介
『仁義なき戦い』
(C)東映
東映チャンネルで7月放送予定
https://www.toeich.jp/
『孤狼の血』
(C) 2018「孤狼の血」製作委員会
『美少女戦士セーラームーン』テレビシリーズ
(C)武内直子・PNP・東映アニメーション
東映チャンネルで絶賛 放送中
https://www.toeich.jp/
劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《前編》
9月11日全国公開予定
配給:東映
公式HP:https://sailormoon-movie.jp/
(C)武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーン Eternal」 製作委員会