野性味ルーキーが“完全デビュー”を飾った。巨人ドラフト1位の大勢投手(22=関西国際大)が3日、オープン戦・西武戦で7回から3番手で登板。プロ入り後、対外試合初マウンドを1回無安打に抑えた。11球のうち8球が直球。いずれも150キロ超で、最速155キロで押し切った。次回登板は5日からの日本ハム2連戦を予定。開幕1軍へ突き進む。
目をギラつかせた。5点リードの7回。場内に響く「大勢」のアナウンスを全身で受け止めた。山賊打線を前に血が騒ぐ。大勢が東京ドームのマウンドに陣取った。「1軍に居続けるには、チャンスは少ないと思っていた。チャンスをいただいたので自分の投球しようと意識しました」と奮い立たせた。
先頭の柘植への初球は、この日、最速155キロの直球を低めに投げ込んだ。フルカウントからの6球目も154キロ直球で二ゴロに抑えた。続く中村を3球続けて153キロ直球で遊ゴロ、山田には131キロスライダーで空振りを奪い、153キロ直球で二ゴロに仕留めた。「やっぱり1発があるなという雰囲気を感じました。そういうところがプロの打者と対戦して感じたところです」と猛者との勝負に心が躍った。
大自然に囲まれた兵庫・多可町で野性味を育んだ。「町内放送とかで『クマが出ました』っていうのは聞いたことありますけど」と当たり前のように話す。猿も鹿も、たぬきも、うさぎも、日常の中に溶け込んでいた。中学時代は夜間ランニングで鹿と並走した。幼少期からの体験があるから少々のことには動じない。
当初は5日からの日本ハム戦2連戦が初登板になる予定だったが、試合前練習前のミーティングで、急きょ登板が決まった。「言われたときは正直、びっくりしました」と言いつつも意に介さず。3者凡退の満点デビューに「新しい選手が活躍してたら喜んでいただけると思った。三振を取りたかったんですけど、3人で抑えられて良かった」と胸を張った。本拠地で勢いをつけた大勢が、意気揚々と北の大地に乗り込む。【為田聡史】
▽巨人原監督(大勢について)「まだ余力を感じる真っすぐというかね。もう1回ぐらいリリーフで投げて、そのあとにどう判断するかというところでしょうね。僕は先発の中の一人だというふうに思っているんですけどね」
▽巨人桑田投手チーフコーチ(好投した大勢について)「(起用法は先発か中継ぎかは)まだ決めていないですね。どちらもできると思うんですけど、どちらでいくかはまだ決めてない状況です」