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社説：コロナ入国緩和 感染状況見極め、慎重に - 秋田魁新報
政府は、新型コロナウイルス感染防止のための入国制限を来月から緩和することを決めた。ビジネスなどで３カ月以上滞在する全世界の外国人の入国を条件付きで再開する。観光客は除く。入国者数は１日千人程度にとどめる。コロナ収束が見通せない中、感染状況を見極めた上で慎重に進めることが必要だ。
菅義偉首相は２５日、「経済再生のためには国際的な人の往来再開が不可欠」と述べた。入国緩和は、経済活動の再開を重視する菅首相の姿勢を反映した形と言える。来夏に延期された東京五輪・パラリンピック開催に向けた地ならしの意味合いがあることも間違いない。
日本は２月１日から、中国湖北省に滞在歴のある外国人の入国を拒否。４月１日から米国、英国、中国、韓国の全土を追加するなど段階的に増やし、これまで１５９カ国・地域を対象とした。これに対し、日本の財界や欧州などの各国が経済重視の観点から緩和を要請していた。
日本はビジネス関係者の出入国緩和を６月に決め、感染が落ち着いている１６カ国と個別協議。ベトナムなど一部で既に往来を再開させた。国費留学生の受け入れも８月に始めた。来月からの措置はこうした段階的緩和の延長線上にある。ビジネスだけでなく医療、文化芸術、スポーツにも対象を広げ、技能実習生と私費留学生も受け入れる。
入国時の検査のほか、出国前の検査証明や入国後２週間の待機を、入国者を受け入れる企業や団体が確約することが条件。これらが実効性を持てるかどうかが鍵となる。検査証明が偽造されたり、待機が守られなかったりする懸念は拭えない。そういった「すり抜け」を防止するための対策を早急に練ってほしい。
入国時の検査に関しては、政府は空港検疫の件数の大幅拡充を目指す。検査機器や人員の充実に加え、検査結果が出るまでの待機場所の確保など空港内での感染防止も課題だ。
国内の新規感染者は８月初旬をピークに減少傾向にあるが減少幅は鈍化し、増加に転じた地域もある。重症者も８月下旬以降は減少傾向だが、減り幅は小さい。コロナとインフルエンザの同時流行も危惧される。経済再生を急ぐあまり、緩和が感染拡大を招いては元も子もない。
世界のコロナ感染者は６月２８日に１千万人、８月１１日に２千万人、９月１８日に３千万人を突破。増加ペースは加速し、死者は１００万人に及ぶ勢いだ。
他国では、対策が不十分なままの入国緩和で感染者が急増したケースが見られる。欧米やインドなどでは依然、感染が拡大しており、マレーシアは緩和していた米国やブラジルからの入国規制を再強化した。
各国の状況をきめ細かく把握しながら緩和を進めることが必要だ。感染が再拡大した国に対しては、ためらわず再び制限することが求められる。
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September 27, 2020 at 07:31AM
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