中部空港の拡張 視界広げて議論せよ - 東京新聞

08.17
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 中部国際空港(愛知県常滑市)沖の埋め立て計画で、国と漁協による十年越しの補償交渉がまとまった。地元の悲願、空港の第二滑走路は実現に動きだす。地域を豊かにする事業であってほしい。

 国土交通省中部地方整備局は今月、名古屋港でしゅんせつした土砂を中部空港の西・南東側に運ぶ承認を愛知県に申請した。空港島は拡大され、二本目滑走路の用地となる見通しで、県はもろ手をあげて歓迎する。

 第二滑走路は二〇〇五年の開港直後から愛知県や中部経済連合会(中経連)が国に要望を重ねた。堆積する土砂の処分先も名古屋港が抱える積年の課題で、土砂の搬入がノリ養殖などに与える影響を懸念する漁協との補償交渉は一一年から粘り強く続き、今年一月末に合意に達した。一挙両得の解決策はヤマを越したと言え、二一年度には護岸工事が始まる。

 社会情勢に翻弄(ほんろう)されてきた空港である。愛・地球博(愛知万博)に合わせて開港した初年度、旅客数千二百三十五万人を記録し、うれしい誤算の黒字スタート。〇八年のリーマン・ショックなどが響き、一一年度には八百万人台に落ち込んだ。インバウンド(訪日外国人客)で息を吹き返し、一九年度に過去最高の千二百六十万人を記録したが、このコロナ禍。二〇年度は百万人台にとどまる。

 国が第二滑走路を正式に認めるためには、一本では需要に追いつかないなどとして、空港の基本計画を変更する必要がある。国が掲げる「三〇年に訪日客六千万人」の達成は予断を許さないが、「コロナが去れば、計画変更に値する旅客数に戻すのは難しくない」(中部空港関係者)という。

 旅客数が年一千万人を超える国内八大空港は、二四年度に二本目を供用開始する福岡を含め、中部以外は複数の滑走路を備える。開港から十五年が過ぎ、一本目の滑走路を休ませ、全面改修する必要性からも、中部空港に二本目を望む声が出るのは必然だ。

 コロナ禍で在宅勤務や地方志向が進み、東京から地方へ転出する流れが加速している。地方分散や地方創生への追い風が吹くなか、中経連と名古屋商工会議所は一月、「東京一極集中の是正」や「首都直下型地震への備え」の視点から、第二滑走路の早期整備を共同提言した。基本計画の変更に際しては、旅客数などの希望的な数字の積み上げではなく、地元を巻き込んだ長期的、多角的な観点からの議論を望みたい。

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