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いまだ限定的な“バリアフリー”

「建物の中に障がい者が利用できるトイレを作っても、その建物自体に行けなければ、意味はありません。」 日本で13年間ほど滞在した障害史研究家のマーク・ブックマンは語る。パラリンピックのボランティアを務めたヒラノ・ユウト（31）は、バリアフリーを謳う建物に向かう途中で健常者なら誰もが気付かないような傾斜が妨げとなって、誰かの助けなしでは自動ドアまで進むことができなかった体験を明かす。 「車いすでも対応可能と言われた建物でも、実際に入ろうとすると中に入れないことが3～4回あり、あきらめて家に帰らなければなりませんでした」 ブックマンは「パラリンピックという国際的な圧力がなくなっても、障がい者のための環境整備は続くのか」と疑問を投げかける。ヒラノは、障がいのある選手や観客が東京に滞在することで、日本に足りない要素を指摘してもらい、それが改善への原動力になることを期待していたという。しかし、今回のパラリンピックは障がい者の人々への「ヒアリングの場」としては有効に機能しなかったようだ。 それだけではない。日本では、いまだに障がいをもつ多くの子どもたちが別の学校や教室で授業を受けている。大企業での障がい者雇用は進むものの、彼らだけの部門や会社に“区画”されていることがほとんどだ。障がい者の社員のための子会社を設立している企業もあるほどだ。そして、知的な障がいを持つ者は、しばしば専門機関に収容されていると、「ニューヨーク・タイムズ」は指摘する。

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