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[衆院選2021]デジタル社会、憲法上議論すべき課題多く…山本龍彦・慶大教授 (読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
AI(人工知能)の発達と、ツイッターやフェイスブックなどのSNSを運営する巨大プラットフォーマーの台頭で、憲法上議論すべき課題が多く出てきた。
プラットフォーマーは我々のインターネット上の行動に関する膨大な情報を集め、AIで分析して人物像を推定するプロファイリングを行っている。この技術はターゲティング広告だけでなく、企業の採用活動や金融機関の与信にも使われ、個人の人生に重大な影響を与えるようになった。
2016年の米大統領選では、プロファイリングで「影響されやすい性格」だと予測された人に集中的にフェイクニュースが送られ、投票行動が操作されたとの指摘もある。
欧州連合(EU)は、巨大プラットフォーマーを新たな権力主体・統治主体として、憲法の原理を適用しようと考えている。EU基本権憲章は、個人データの保護を「基本的人権」ととらえ、「一般データ保護規則(GDPR)」ではプロファイリングに対する規律を導入した。
日本の個人情報保護法制は、どのような権利を何の目的で守ろうとしているのか明確ではなく、周回遅れの感がある。デジタル社会では、自分の情報を他者と共有する範囲を自分で決める「情報自己決定権」が重要だ。日本のデジタル化にはこの考えが弱く、十分な信頼を築けていない。デジタル社会を主体的に生きるために必要な基本権とは何かを正面から議論することなしに、真のデジタル化はありえない。立法や司法を導く羅針盤として情報自己決定権を憲法に書く必要があるか、議論してほしい。
プラットフォーマーの定めるルールは、いまや法律と同じかそれ以上にビジネスや言論のあり方に影響を与える。その「立法権」をどう統制するかは憲法的課題だ。米政府も彼らを単なる民間企業とは考えなくなってきている。プラットフォーマー側の自由にも配慮すべきで、過度の法規制は良くない。彼らを組み込んだ新たな権力分立像を描くことが重要だ。
自民党は自衛隊明記など改憲4項目を掲げた。だが、各党は護憲・改憲というイデオロギー論から抜け出せずにいる。
多数の「普通の人」を議論に巻き込むには、デジタル社会の課題に向き合う実践的な憲法論議が重要だ。衆院解散権問題や国会改革など、権力側が「やりたくない」事項から手をつけることも、党派性を排した信頼可能な憲法論議のためには必要だろう。(聞き手・政治部次長 栗林喜高)(おわり)
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