「自主避難所」存続めぐり被災者と行政に溝 「過ごしやすく残りたい」「指定避難所に移って」:北陸中日新聞Web - 中日新聞

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22.31
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自主避難所で過ごす住民たち=1日、石川県珠洲市長橋町で

自主避難所で過ごす住民たち=1日、石川県珠洲市長橋町で

 能登半島地震の発生から1カ月半。石川県内で設置された私設の「自主避難所」の存続を巡り、被災者と行政の間で考え方の違いが生まれている。気心の知れた住民がいる自主避難所で過ごしたいと願う被災者がいる一方、避難者の把握や支援に当たる自治体は市町が開設した「指定避難所」に移ってほしい意向だ。

 「ここで不自由なく生活している」。一時孤立した珠洲市長橋町の長橋集会所を活用した自主避難所で、被災者は口をそろえる。30世帯約50人の地区住民のうち、一時最大15人ほどが身を寄せ、13日時点でも3人が寝泊まりする。

 発生翌日の1月2日に開設して以降、住民同士が支え合う「共助」の力で避難生活を工夫してきた。電気が復旧した同29日まではランタンを使った。各家庭から食材を持ち寄り、山からの湧き水を利用。元々LPガスを使う地域で、震災後もそのまま使え、石油ストーブやくみ取り式トイレもあった。2月上旬まで過ごした地元の神社の宮司、亀山国彦さん(64)は「電気以外は全てあった」と話す。

 2キロ離れたところに指定避難所があるが、集会所に避難する女性(69)は「ここは家が近いし、地域のみんながいる」と安心感を覚えている。

 能登半島北部では指定避難所よりも自主避難所が多い自治体が目立つ。特に輪島市は40、珠洲市は27、能登町は26に上る。

 輪島市は「いずれ市外からの応援が縮小した時、これだけの自主避難所があると、効率的な避難所運営ができなくなる」として、自主避難所の住民を指定避難所に移すことを検討している。珠洲市の泉谷満寿裕市長も物資の配送や、給水支援の面から「無理やりではないが、少しでも数を減らすことが必要と思う」と話している。

 これに対し、自主避難所に身を寄せる住民は不満や不安の声を上げる。

 珠洲市上戸町の自主避難所で過ごす40代のパート女性は「何もないところからみんなで作り上げた避難所。今さら寒い体育館には行きたくない」と言う。1月2日の開設以降、物資集めや避難者への対応は、女性を含む運営責任者ら数人の力で乗り切ってきた。近くの指定避難所の小学校体育館には3倍以上の避難者が身を寄せ、男性会社員(54)は「感染症も心配だ」と訴える。

 輪島市三井町のビニールハウスで自主避難する大根忠さん(78)は「移動は体にも負担がかかる。慣れた場所を離れ、指定避難所に行こうという気持ちにはならないよ」と不安がった。

行政は個別事情を丁寧に聞き取って
 
 兵庫県立大の木村玲欧(れお)教授(防災学)の話 新潟中越地震でも中山間地で多くの自主避難所が作られた。中山間地は指定避難所が少なく集落のまとまりが強いので、住民同士の顔が見える自主避難所が安心しやすい。一方、物資や行政の情報が届きにくい。被災者一人一人のニーズに合ったきめ細かな支援情報が手に入らないと、生活再建が遅れる恐れがある。ただ、被災者を無理やり移動させると、環境の変化に適応できず体調不良につながりかねない。自治体は個別の事情を丁寧に聞き取って慎重に対応してほしい。


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「納税より生活再建優先して」 国税局、被災者に異例の呼びかけ|【西日本新聞me】 - 西日本新聞

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19.32
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豪雨被災の天ヶ瀬温泉 ”温泉のお湯”で能登の被災地支援|NHK 大分県のニュース - nhk.or.jp

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07.31
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2020年7月の記録的な豪雨で被災した大分県日田市の天ヶ瀬温泉の関係者が当時全国から受けた支援の恩返しをしたいと、能登半島地震の被災地に温泉のお湯を届けることになり、12日お湯を積んだトラックが出発しました。

この支援活動は、日田市の天ヶ瀬温泉の関係者が、能登半島地震の被災地、能登町で行います。

12日は、天ヶ瀬温泉のホテルで源泉の湯1.5トンを、保温機能のあるタンクに移す作業が行われた後、タンクを乗せたトラックなどに3人が乗り込んで、今も断水が続く能登町に向けて出発しました。

現地では5日間活動し、まず運んだお湯を使って避難所で足湯を提供した後、トラックを使って現地の温泉のお湯を避難所に運んで、足湯や風呂を提供する予定です。

天ヶ瀬温泉は4年前の記録的な豪雨で川沿いにあった宿泊施設10軒すべてが浸水する大きな被害が出て、全国からボランティアなどの支援を受けました。

被害を受けた旅館の館主で、今回、能登町に向かう佐藤龍さんは「被災当時ボランティアなどにものすごく助けられた。地震の被災者が風呂に入れないときいて居ても立っても居られない気持ちになった。温泉のお湯で少しでもほっこりした気持ちになってもらえれば」話しています。

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2次避難、新幹線延伸で迫る退去 来月16日開業、被災者に戸惑い 観光地の宿泊施設、期限延長できず:朝日新聞 ... - 朝日新聞デジタル

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02.31
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 能登半島地震の被災者たちが2次避難先のホテルや旅館から出るよう決断を迫られている。背景にあるのは、3月16日の北陸新幹線(金沢―敦賀間)の開業だ。観光への影響を懸念した石川県が被災者に理解を求めるものの、不安や戸惑いの声もある。

 県南部にある加賀市の旅館「加賀百万石」の大広間。県の担当者は7日…

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ロッテ・益田 能登半島自身の被災者へ250万円寄付 - au Webポータル

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01.31
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「被災者は我慢しがち」 派遣の職員、心の声に耳傾け 能登半島地震 - 毎日新聞

「被災者は我慢しがち」 派遣の職員、心の声に耳傾け 能登半島地震 - 毎日新聞

00.31
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倒壊した建物のが道まで滑り出ている門前町=石川県輪島市で2024年2月6日午後2時58分、前田梨里子撮影 拡大
倒壊した建物のが道まで滑り出ている門前町=石川県輪島市で2024年2月6日午後2時58分、前田梨里子撮影

 能登半島地震の被災地支援で、三重県は石川県輪島市(人口約2万3000人)を担当している。名張市職員2人も1月中旬、避難所支援のため、派遣された。屋外仮設トイレの凍った段差や非常食が続いた時のしんどさ……。2人は書類を読むだけでは気付きにくい、被災者の心の声に耳を傾けたという。【久木田照子】

情報提供など 誰もが使える環境を

 2人の派遣は総務省の応急派遣制度に基づくもの。1月15~19日、輪島市門前町の中心部にある門前公民館の避難所で運営支援をした。門前町は平成の大合併で、2006年に輪島市と合併した地区。07年の前回地震でも被災し、住民は自宅の再建や、高齢化するコミュニティーの維持に取り組んできた。今回、名張市から派遣された職員2人は、支援物資の仕分けと分配、各部屋のリーダーとの話し合い、感染症対策などに携わった。

 「『支援してもらっているから、これ以上は希望を言いにくい』と被災者は我慢しがち」という印象を抱いたのは、名張市危機管理室の下垣内琢巳さん(32)。例えば、カップ麺続きの食事は若者でもつらい。県外支援者の炊き出しでは高齢者には量が多く、味が濃い場合も。遠慮する避難者の気持ちを聞き出し、せめて野菜ジュースを添えられるようにするなど、改善に心を砕いた。

 また、高齢者には仮設トイレの段差もハードルに。雪が凍り付いた時は、滑らないように削り取った。入浴場所に行くのも歯磨きもおっくうな人に、動く気持ちになってもらうことにも苦心した。

連日、避難所運営について話し合った=石川県輪島市門前町走出で、名張市提供 拡大
連日、避難所運営について話し合った=石川県輪島市門前町走出で、名張市提供

 名張市情報政策室統計担当室長の由川晃規さん(54)は、高齢者が多い避難所の運営の課題を整理した。給水や入浴、生活再建支援などの情報は、掲示板に書き込んだ。「スマートフォンで調べてください」と言われても、難しい人は多い。「進んで情報を届けなければ」との思いを強めた。被災直後から、感染症対策や、誰もが自然に使えるトイレを設ける重要性も痛感した。

 職員の被災地支援経験は、将来、名張市で起きる災害でも生かされる。最初に直面する避難所運営について、下垣内さんは「自治体職員と被災住民のどちらかが動くだけでは成り立たない。双方のバランスをもっと考えなければならない」。由川さんは「派遣職員同士の引き継ぎも大切。事前知識・情報を把握できるように」と語った。

    ◇

 名張市の職員が派遣されたのは輪島市の避難所支援のためだけではない。被災建築物応急危険度判定では、都市計画室の安部哲弘さん(46)が1月18日に石川県穴水町へ。7軒を判定した。古い住宅の被害だけでなく、新しい住宅でも隣家のブロック塀の倒壊があるなど、危険な状況があったという。「付近に住む女性から、この地域はだめでしょうか、と声をかけられたが、言葉を返せなかった。被災者に寄り添い、気持ちに応えられるようにしなければならない、と思った」と語った。

    ◇

 名張市下水道部の山本卓さん(38)、日裏太樹さん(32)は6~9日、石川県南部の能美市で下水道管やマンホールを調べる。日裏さんは同県輪島市に旅行した経験があり、「名張市の旧市街地・旧町みたいな町並みが被害を受け、悲しい。被災地の復興を支援できたら」と話した。

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