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ＩＣＴ人材、都庁に新風 中途採用職員が一役 コロナ対策、デジタル化推進を後押し - 東京新聞
「デジタルシフト推進担当課長」として勤務する沢田裕美さん（右）、長岡翔平さん＝都庁で
都の新型コロナウイルス対策やデジタル化の推進に、情報通信技術（ＩＣＴ）に詳しい中途採用の職員が一役買っている。戦略政策情報推進本部の「デジタルシフト推進担当課長」として、昨年十二月に採用された民間企業の経験者たちだ。（松尾博史）
「療養者を支援する人たちの負担を軽減できたことがうれしく、やりがいを感じました」
同課長として採用された九人のうち、沢田裕美さん（４４）＝世田谷区＝は、コロナの軽症・無症状者が滞在する宿泊療養施設で、健康観察に使われているシステムの導入に携わった。
看護師が一日二回、入所者から電話で体温などを聞き取っていたのを、入所者にスマートフォンで入力してもらう方式を提案し、業務の軽減に貢献した。
以前勤めていた企業では、携帯電話システムの開発や国内外の相互接続の検証に関わった。スマートフォンで決済を行うフィンテックなどのサービスの提供にも携わった。
「社会に直接貢献できる。首都の自治体がよくなれば、日本がよくなるのでは」。そんな思いから応募した。
「自分の机に固定電話がある職場環境は初めて。これではテレワークをしにくいのでは」と苦笑いしつつ、充実した日々を送っている。
沢田さんが導入に携わった宿泊療養施設の健康観察のシステム。利用者が健康状態をスマートフォンなどに入力する＝墨田区で
情報通信会社で、金融機関などのシステム開発を担当していたという長岡翔平さん（３５）＝杉並区＝は「行政の中で自分の専門性を生かしたい」と応募した。
前職では、スマホやパソコンから振り込みができるインターネットバンキングで、利用者の情報を盗んで第三者の口座に振り込む「不正送金」を防ぐシステムの導入を手掛けた。
都庁では、デジタル技術で変革を促す「デジタルトランスフォーメーション（ＤＸ）」を担当する人材育成などを担う。ニューヨーク市やシンガポールでは、ＩＣＴ部門の職員は千人以上いるが、都には百五十人ほどしかおらず、態勢づくりが急務だ。
長岡さんは「国や民間の人たちや最先端の技術と接することも多く、視野が広がる。民間とは異なる経験ができ、自身の成長につながる」とやりがいを語る。
◇
都は「デジタルシフト推進担当課長」を追加採用するほか、ＩＣＴ分野の知識のある「デジタルシフト推進専門員」や、都がアドバイザーとして委嘱する「フェロー」を募集中。受験資格、受付期間などは都戦略政策情報推進本部のホームページに掲載している。
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