描き出す、リアル以上 県近代美術館で上田薫さん企画展 - 東京新聞

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上田薫さんの代表作「なま玉子」シリーズなどが並ぶ企画展=水戸市千波町で

上田薫さんの代表作「なま玉子」シリーズなどが並ぶ企画展=水戸市千波町で

 写真のように対象を克明に描写する「スーパーリアリズム」の第一人者として知られ、茨城大教授も務めた画家の上田薫さん(92)の足跡をたどる企画展「上田薫とリアルな絵画」(東京新聞水戸支局後援)が二十六日、水戸市千波町の茨城県近代美術館で始まった。

 一九六〇年代後半に米国で興ったスーパーリアリズムは、写真をプロジェクターでキャンバスに投射し、エアブラシなどで転写する手法だ。

 上田さんはグラフィックデザイナーを経て、七〇年代から写実的な作品を発表。現在も神奈川県鎌倉市で創作活動を続けている。茨城大では八五年から九三年まで教壇に立った。

 本展では、上田さんの初期から現在までの三十五点と、スーパーリアリズムの流れをくむ現代作家十八人の二十一点が並ぶ。

 上田さんの代表作「なま玉子」シリーズは、割れた殻から黄身と白身が滑り落ちる瞬間が大型キャンバスに描かれ、質感が実物以上に伝わってくる。茨城大時代の九一年から取り組んだ「流れ」シリーズは、県北地域の川で撮影した写真が基になっている。

 現代作家の作品群は、光が物を照らし出す複雑な様相や、リアルと虚構がないまぜの表現が楽しめる。

 企画した乾健一学芸員は「上田さんと他の作家の表現の違いを比べながら見てほしい」と来場を呼びかけている。

 十二月十二日まで。月曜休館。入場料は一般八百七十円など。問い合わせは同館=電029(243)5111=へ。(佐藤圭)

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