スコット上院議員が提起した人種問題の議論 - Wall Street Journal

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スコット上院議員が提起した人種問題の議論 - Wall Street Journal

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJエグゼクティブ・ワシントン・エディター

 そして、ティム・スコット上院議員の「米国は人種差別主義者の国ではない」との発言をめぐる現在の意見対立は、人種に関する議論の終結がまだ近くないことを示唆している。実際、問題の解決は以前より容易になっているのではなく、難しくなっているのかもしれない。

 しかし、問題明確化の段階に至るには、物議を醸す論争や議論が必要となることが多い。そしてそれは、人種をめぐる葛藤の一年のあとに米国がたどり着いた場所なのかもしれない。人種問題の議論が、左派の一部が認めるよりも前進しているものの、右派の一部が認めるより先が長いという点で意見が一致するということが、現在の展開が示す結論だとすれば、それ自体が前進だと言えるかもしれない。

 一つ明確なことがある。それは人種問題のとらえ方が変化しており、その変化は米国人を、人種別のみならず、世代別にも分断していることだ。こうした認識は、少なくとも議論を進める助けになるかもしれない。意味論は常に重要なわけではないが、この問題では極めて重要だ。

 こうした認識は、米国の人種問題を長期にわたり真剣に考えてきた人々との会話の中から生まれた。彼らは現在の論争の新たな局面の中で、この問題を改めて問い直している。

 それはすべて、テレビで全国に伝えられたスコット上院議員のスピーチから始まった。同議員は4月28日、上下両院合同会議でのジョー・バイデン大統領の演説を受けて、共和党側の反対演説を行った。スコット氏の演説内容の大半は、バイデン氏の国内政策の規模とコストの大きさを批判するものだったが、サウスカロライナ州選出の黒人共和党議員である彼の発言の中で最も記憶に残ったのは、次の部分だった。

 「これから私の言うことをしっかり聞いてほしい。米国は人種差別主義者の国ではない。別の差別によって差別と闘うのは後戻りだ。そして、現在の議論を不誠実なやり方で封じるために、われわれの痛ましい過去を利用しようとするのは間違っている」

スコット氏はまた、自身が黒人男性としての「差別のつらさを経験してきた」と述べた。それでも、彼は発言後に特にソーシャルメディア上で攻撃を受け、「アンクルティム」などと言われた。これは、白人の言うことに何でも従う黒人を意味する「アンクルトム」をもじった表現だ。

 同じ黒人の共和党員で、スコット氏の枠組みの示し方に異を唱えたのが、元共和党全国委員長のマイケル・スティール氏だった。

 スティール氏は、「ティムがあの場であのような発言をしたことで、多くのアフリカ系米国人は非常に腹が立った。それは根底にある現実や真実、つまり、全ての米国人が人種差別主義者というわけではないが、米国には多くの人種差別主義者がいるという現実から目をそらそうとするものだ。(米国の)制度は人種差別をする側に大きく傾いていた」と述べた。

元共和党全国委員長のマイケル・スティール氏はスコット氏の発言について、「現実や真実から目をそらそうとするものだ」と述べる

Photo: Joe Buglewicz/Bloomberg News

 この会話の核心部分はもちろん、米国が本当は人種差別的な国なのか、それとも、いまだに人種差別主義が残っている国にすぎないのかという点だ。長年広く南部で活動してきた共和党系の世論調査専門家、ウィット・エアーズ氏は、「あの発言のほぼ全ての部分に異議を唱える米国人は、イデオロギー的な左派を除くとほとんどいない」と述べる。

 スコット氏の発言は「米国の極左の前提に対する根本的な挑戦だ。彼の全体的な主張は、全人種に属する圧倒的多数の米国人から支持されるだろう。圧倒的多数の白人は確実に同意するだろうし、黒人の間でも僅差となるだろう」とエアーズ氏は語った。

 民主党はそれを今、ある見方で捉え、共和党は別の見方で捉える傾向にある。単純な政治的問題として、スコット氏がしたように共和党が議論の枠組みを示す上で、著名な黒人がいることが同党の助けになっている。

 ニューヨークを拠点とする世論調査専門家、ジョン・ゾグビー氏は、「米国が人種差別主義者の国家かどうかをめぐる論争で国内は深く分裂しており、それは極めて党派色の強いものだ」と指摘した。ただし、その分断は単に党派やイデオロギー的なものではない。それらはまた、世代の違いにかかわるものでもあり、論争で使われる言葉そのものが、多くの高齢者世代が最も居心地のいいと感じていた分野からかけ離れてしまった。

 60歳代の米国人は人種にかかわらず、米国にとっての理想は人種に関係のない社会を築くことだと考えてきた世代であり、バラク・オバマ氏が大統領に当選したことは、もしかしたら、本当にもしかしたらだが、米国が「ポスト人種」の時期に移行した兆候だったかもしれないと考えていた。

 現在ではいずれの考え方も時代遅れのように感じられる。警官による黒人市民殺害をめぐる激しい論争は、人種的にはるかに多様化している社会で育ってきたとりわけ若い世代の間で、人種問題に関する認識を強めるものとなった。ゾグビー氏は、「ミレニアル世代で最も年齢の高い層は約40%が非白人だ。Z世代の最も若い世代では過半数が非白人になる」と指摘、「彼らはいずれも最もコミュニティー意識が高く、各世代の中で最も活動的だ」と述べた。

 ゾグビー氏はさらに、1960年代の公民権運動でデモに参加した白人たちは、「『彼ら』のためにデモを行ったが、その子どもの世代は、友人、仲間、恋人、低年齢の子どもたち、隣人、学校の友達などを含む『自分たち』のためにデモを行っている」と語った。

 米国人はかなり様相の異なる未来に向かって進みつつある。それは2045年ごろに白人がマイノリティーになるという状況だ。これは多くの人々にとって居心地の悪いものだろう。したがって米国の人種的変化をめぐる論争は、恐らく前進しているとはいえ、終わってはいない。

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