憲法審査会 国会のあり方含め議論深めよ - 読売新聞

04.23
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 憲法にかかわる課題を積極的に論じ、論点や改正の方向性を整理していくことが大切だ。実りある議論を続け、国会の責務を果たしてほしい。

 衆院の憲法審査会で、与野党の議論が活発化している。今国会はすでに2回の討議を行った。

 立憲民主党は当初、予算審議を優先すべきだとして開催に消極的だった。与党のほか、憲法論議に前向きな日本維新の会や国民民主党が開催を強く求めたため、応じざるを得なかったのだろう。

 審査会は議員同士の議論が中心で、閣僚らが答弁に立つ予算審議と並行して開くことが可能だ。憲法論議を深めるため、予算や法案の審議と切り離し、積極的に討議の場を設けるのは当然である。

 新型コロナウイルスの感染拡大を経て、緊急事態に対処するための法整備は、以前にも増して重要な政治課題となっている。

 自民党は2018年の憲法改正案で、緊急事態条項の創設を提案したが、この段階では対象は大規模災害時に限定していた。

 緊急事態の対象に、感染症 蔓延まんえん や武力攻撃、大規模テロなどを含めるかどうかも論点となろう。

 自民党案には、緊急時に内閣の権限を強化する規定も盛り込まれているが、私権の制限をどこまで容認するのかは明確ではない。与野党が討議を重ね、こうした論点も掘り下げなければならない。

 審査会では、インターネットを活用した「オンライン審議」の是非が焦点となっている。緊急時に国会の機能をどう維持するかは、憲法にかかわる問題である。

 憲法は、衆参両院の本会議を開く要件を「総議員の3分の1以上の出席」と定めている。

 立民や国民民主党などは、憲法を改正しなくても「出席」の解釈を見直すことで、オンライン審議は可能だとの考えを表明した。

 自民党は、憲法改正で対応するべきだとしつつ、「定足数を満たせない事態は起こりうる」とし、検討を進める方針を示した。

 憲法をどう解釈するのか、審査会として統一的な見解をまとめることができれば意義は大きい。

 オンラインによる質疑や採決を実現するには、通信環境や手続きの整備など実務的なハードルが少なくない。与野党が協調し、丁寧に制度を設計する必要がある。

 ほかにも、衆参両院の役割分担や「1票の格差」など、論じ合うべきテーマは多い。各党は審査会の場を活用して、国会や選挙制度のあり方についても、 真摯しんし に議論してもらいたい。

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