被災後の生活 個別支援 - 読売新聞

04.32
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被災後の生活 個別支援 - 読売新聞

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 県が策定を進める第5期南海トラフ地震対策行動計画(2022~24年度)に、被災者の生活再建を個別に支援する「災害ケースマネジメント」の仕組みが盛り込まれることになった。既存の支援制度から漏れる被災者を救う狙いがある。県は新年度、東日本大震災(11年)や鳥取県中部地震(16年)での実践例を参考に検討を始める。(古谷禎一)

 被災者の生活再建は、阪神大震災(1995年)で課題となり、98年に被災者生活再建支援法が成立。同支援制度では住宅が全壊した場合、最高300万円が支給される。その後の改正で、中規模半壊(損害割合30%台)以上が対象となったが、一部損壊や店舗の被災などには支給されない。

 被災者の状況は、体調を崩したり仕事を失ったりと一人一人違ってくるため、住宅の被害だけで画一的に判断するのではなく、個々の状況に応じた支援制度の必要性が指摘されてきた。また、被災者が既存の制度を知らないために申請ができず、支援から取り残されるケースもあった。

 災害ケースマネジメントは、2005年にハリケーン「カトリーナ」で大きな被害が出た米国で導入。東日本大震災で仙台市や宮城県石巻市、鳥取県中部地震では鳥取県が取り入れた。

 鳥取県では地震発生から1年半が過ぎても屋根にブルーシートがかかったままの被災者宅を、自治体職員らが訪問。修繕資金の不足や健康面の不安などを聞き取り、関係機関と個別の「生活復興プラン」を作成した。建築士が低料金での修繕方法を提案したり、保健師が健康相談に応じたりと専門家らの支援につなげた。

 県南海トラフ地震対策課では「生活再建を進めるには行政からの働きかけが欠かせない。個々の被災状況や困りごとを把握していく仕組みをまずつくりたい」としている。

 津久井進・前日本弁護士連合会災害復興支援委員会委員長の話「災害後の時間の経過とともに、生活再建の進み具合に差が出てきて一律の支援では難しくなる。個別の困りごと、ニーズを把握する仕組みが必要で、介護保険制度の災害版と言える。南海トラフ地震に備える高知が導入することで、全国への波及効果も大きい」

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