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東京五輪での予選敗退、スノボへの意識変えた…平野歩夢「自分がどこまでいけるのか挑戦」 - 読売新聞

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　史上最高難度の技を決め、悲願の金メダル――。１１日に行われた北京五輪のスノーボード・ハーフパイプ男子決勝で、２０１４年ソチ五輪、１８年 平昌（ピョンチャン） 五輪と２大会連続銀メダルの新潟県村上市出身の平野歩夢選手（２３）（ＴＯＫＩＯインカラミ）が９６・００点をマークし、３度目の五輪で初めて表彰台の真ん中に立った。初出場となった弟の 海祝（かいしゅう） 選手（１９）（日大）も７５・５０点をマークし、９位と健闘した。

　銀メダル以上は確定していた。それでも、決勝３回目、歩夢選手は攻めの姿勢を貫き、１回目から決めてきた縦３回転、横４回転の大技「トリプルコーク１４４０」を含む五つのエア（空中技）を完璧に決めた。「思い切って全て出し切る気持ちで、集中して入れてうまくクリーン（きれい）に決められた」。それまで１位の選手を大きく上回る得点を確認すると、普段はクールな歩夢選手がスノーボードを掲げて胸を張った。

　前回平昌五輪後に、スケートボードで東京五輪を目指す「二刀流」を志した歩夢選手。新型コロナウイルスの影響による東京五輪の延期で、両五輪の間はわずか半年に。無謀とも思えるような挑戦に「どちらかにした方がいいのでは」という声も耳にしたが、歩夢選手は「どうしてもやりたい」と貫いた。

　「ずっとメダルを取ってきた中で、強くなるために挑戦して、負けて強くなるということだろうと。彼を見ていて『一番大変な時だな』と思っていた」。父・英功さん（５０）は、歩夢選手があえて厳しい道を選ぶ真意をそう理解していた。

　実際、東京五輪のスケートボードで、歩夢選手は予選で敗退し、強豪に力の差を見せつけられた。それが、スノーボードへの意識も変えた。「今までは『誰かに勝たないといけない』と感じていたが、『自分がどこまでいけるのかという挑戦』と思うようになった」

　だから、北京五輪への準備期間の短さは関係なかった。時間を惜しむように、来る日も来る日もエアの完成度を高める練習を繰り返し、雪を離れてもトレーニングに取り組んだ。今季一緒に遠征を回ることの多かった弟の海祝選手が言う。「小さいころ兄ちゃんの努力を見てきた。みんなが見ていないところでも、努力していたのが兄ちゃん。（金メダルを）取るべきは兄ちゃんで、最後の最後で勝負強さを見せてくれた」

　東京五輪の挑戦を経て、英功さんも「メンタルの部分が強くなった」と見ていたという。「３回目は緊張や重圧もあったと思う。『よく立った』と伝えたい」と、偉業達成をたたえた。

　歩夢選手の小学校の卒業文集には、「将来の夢」に「スノーボードとスケボーで世界一になる」と記されている。「ようやく小さい頃の夢が一つかなった。やってきたことを出し切れた」と歩夢選手。「世界一」への道のりを着実に歩み続け、夢をかなえた。（大竹弘晃）

　兄の背中を追い続け、初の五輪の舞台に立った平野海祝選手も、堂々の滑りを見せた。「みんなが見てすごいと思うようなエアをしたい」との宣言通り、高さ約６メートルを超えるエアを決めるなどして会場を沸かせた。

　３兄弟で末っ子の海祝選手は、ソチ五輪で歩夢選手が銀メダルを獲得した姿を見て感動し、本格的に競技を始めた。４歳でスノーボードを始めた歩夢選手に対し、海祝選手は当時１２歳。それでも、「兄ちゃんと一緒に五輪に出る」という夢があったから、なかなか結果が出なくても諦めなかった。そして、今回の五輪で頂点に立った兄とともに、夢がかなうことを証明した。

　「兄弟でこの場に立てたのはお互いに良かった」という歩夢選手に対し、「次は兄と一緒にメダルを取ってスノーボード界を盛り上げたい」と誓う海祝選手。２人の挑戦はまだ、始まったばかりだ。（大竹弘晃）

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February 12, 2022 at 03:00AM
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