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エリート主義変わらず？ 官僚養成校廃止で議論―フランス - 時事通信ニュース
2021年04月27日07時20分
フランスのマクロン大統領＝１４日、北部ランス（ＥＰＡ時事）
【パリ時事】フランスのマクロン大統領が今月上旬、自身の母校でもある高級官僚養成校、国立行政学院（ＥＮＡ）を廃止し、「公務学院（ＩＳＰ）」を新設すると改めて表明、議論を巻き起こしている。「エリート主義の実質は変わらない」「マクロン氏の大衆迎合主義にすぎない」などと、反発の声が上がっている。
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ＥＮＡの設立目的は、コネのある超富裕層だけでなく、成績次第で庶民にも高級官僚への門を開くことだった。しかし、現在は入学までに高等な教育を受ける余裕のある裕福な家庭の子女が大半を占め、仏メディアによれば、労働者階級出身の学生は数％にすぎない。「エリートを再生産する学校だ」と長年指摘されてきた。
２０１８年秋に燃料増税への抗議デモを発端に全国に広がった「黄色いベスト運動」では、大企業や富裕層に有利なマクロン氏の政策が批判の的となった。事態を重くみたマクロン氏は１９年４月、ＥＮＡの廃止方針を発表し、沈静化を図った。
「高級官僚の採用方法やキャリア構築方法を根本的に変える必要がある。より幅広い社会層に開かれた選考基準としたい」。マクロン氏は今月８日、ＥＮＡの学生が卒業後に実地経験を経ずに２０代半ばで政府中枢機関の要職に就く現行制度を改めるほか、裕福な家庭出身でなくとも入学の機会を得られる教育機関にすると述べた。大統領選を１年後に控え、国民の支持を回復したい思惑があるとみられる。
マクロン氏の発表を受け、政治学者のルバン氏は仏メディアの取材に「この改革が国家の構造と組織の序列を変えることはない」と指摘。最大野党・共和党のグロペラン上院議員はルモンド紙に寄稿し、「ＥＮＡはマクロン氏のスケープゴートにされている。ポピュリスト（大衆迎合主義者）的な決定だ」と反発。「ＥＮＡ卒業生は国際的にも高い評価を得ている」と主張した。
ＥＮＡは国内だけでなく、世界各地からも学生を受け入れている。日本人では北村滋国家安全保障局長や、自民党の片山さつき参院議員らが学んだ。 
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