紀平梨花、起死回生の北京五輪代表入りへ。崩れた青写真をどう立て直すか - auone.jp

01.15
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紀平梨花、起死回生の北京五輪代表入りへ。崩れた青写真をどう立て直すか - auone.jp

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 悲願の2022年北京五輪出場とメダル獲得を目指す紀平梨花が、12月23日に開幕する全日本選手権(さいたまスーパーアリーナ)の五輪代表最終選考会にエントリーし、一発勝負で初の五輪代表入りに挑む。

 19歳の全日本女王は、今季もここまで1試合も出場ができていない。シーズンオフの7月に痛めた「右足関節骨軟骨損傷」が回復に至らず、予定していたグランプリ(GP)シリーズのスケートカナダとNHK杯の2大会の欠場を余儀なくされたからだ。9月からは練習拠点を希望していたカナダ・トロントに移し、羽生結弦を指導しているブライアン・オーサーコーチに師事。五輪メダリストを輩出している「チーム・オーサー」のもとで懸命な治療とリハビリに専念しているはずだが、紀平がどんな状態まで回復しているかはわかっていない。


全日本選手権で北京五輪代表入りを目指す紀平梨花(写真は4月の国別対抗戦)

 コロナ禍の昨季も、GP大会には1試合も出場せずに、シーズン初戦となったのは昨年12月の全日本選手権。ショートプログラム(SP)で武器のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳び、フリーでは習得に励んでいた4回転サルコウを初めて試合で成功させたうえトリプルアクセルも着氷するなど、高難度のジャンプを連発させる圧巻の演技を見せ、合計234.24点で大会2連覇を飾った。

 今年1月のアイスショーで、全日本選手権の演技についてこう振り返っていた。

「SPはノーミスすることができ、フリーでは決めたいと思っていた4回転サルコウを決めることができて、収穫もありましたし、課題もたくさん見つけたので、そこを修正して次の大会では完璧な演技を目指したいです。ロシア勢の活躍にはすごく刺激を受けている。目標としている得点は(フリー)160点台で、完成度の高い演技を目指していく。課題をしっかり修正すれば、ロシア勢に対抗して戦っていけると思うので、そのレベルにしていきたいです」

 そんな意気込みで出場した世界選手権だったが、SP2位の好発進も、フリーは試合時間に調子を合わせることができなかったという調整ミスが響き、4回転を回避しながらトリプルアクセルで転倒。自滅に近い形で9位と沈み、「申し訳ない演技になってしまった」と合計205.70点の総合7位に終わった。

【満身創痍だった4月の国別対抗戦】

 4月の世界国別対抗戦では、大会直前に腰痛を発症させてジャンプもまともに跳べない状態になったが、試合には強行出場した。SPは腰痛を抱えながらトリプルアクセルに挑んで転倒。腰痛を悪化させてしまったというフリーでは得意のトリプルアクセルを跳ばず、ジャンプ構成も大幅に変更して対応したが、プログラム後半の連続ジャンプで転倒するなど、満身創痍のなかでの演技だった。

 五輪シーズンを控えたオフシーズンは、なかなか腰痛が治らないなかで練習に取り組んできたという。7月に行なわれたドリームオンアイス(DOI)では「まだ治っていないんですけど、国別対抗戦ですごく痛めたので、そこから1回休んでみたり、軽めの練習をしたりして、少しずつよくなってきていました。6月中はできるだけ痛い動きはしないようにして、この2カ月くらいはジャンプ練習もしていない状態。普通に練習すると痛みがまだ出てしまうので、ゆっくり治して行きたいなと思っています」と話していた。

 おそらく「右足関節骨軟骨損傷」というケガを負ったのはこのあとだろう。万全の状態でのシーズンインができなかった焦りもあったのかもしれないが、大技ジャンプの練習により負傷に至った可能性は高い。

 7月の時点では、五輪シーズンをどう戦っていくか、青写真を描いていたに違いない。DOIではこんなコメントも残していた。

「一番大事なシーズンになるので、健康第一で腰痛を治して、オリンピックシーズンをプレッシャーに感じないで楽しめるようにしていきたい。(代表選考会の)全日本選手権が一番大事な試合だと思うので、そこにしっかりと合わせて、オリンピックに出場できるように頑張りたいなと思います」

「4回転を1本にするか、トリプルアクセルを2本入れるか、どちらかにしようかと考えています。オリンピックシーズンは安定感のある、自信を持った演技構成でいこうと思っています」

 自分なりの戦略で北京五輪代表切符を勝ち取るべく、さまざまな自己分析から構想を練っていこうとしていたが、ケガによって計画の大幅な見直しを図ってくるはずだ。

【代表選考レースは坂本花織がリード】

 五輪代表選考レースで出遅れている現在、紀平が起死回生の代表入りを果たすには、全日本で3連覇をするのが一番の近道と考えて戦ったほうがいいだろう。選考段階の救済措置もあるが、2019年世界選手権での総合4位が最高位となる紀平は該当者として見なされないからだ。

 日本女子の五輪切符は3枚だが、今季も安定感抜群の演技を披露して2大会連続出場を目指す坂本花織が選考レースをリード。残り2枚を、トリプルアクセルを習得して試合でも成功させている実績十分の樋口新葉、体調不良から復活して安定した演技とメンタルの強さを発揮している三原舞依らと争うことになる。

 トリプルアクセルや4回転サルコウという武器を持ち、トータルバランスにも優れている。現状ではロシア勢と張り合うことができるジャンプ構成を組むこともできる唯一の選手だけに、どこまで万全の状態で試合に臨むことができるかがカギとなる。いずれにせよ完全復活した紀平の演技をぜひ、見たい。

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