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「26年間の美しき戦いが終わった」 蘋果日報「最終章」要旨 - 産経ニュース
comot.prelol.com休刊が決まった香港の蘋果(ひんか)日報は23日、「26年間の美しき戦いの終わり 読者とともにつくる最終章」と題した記事を電子版に掲載した。要旨は次の通り。
◇
26年間の美しき戦いが終わった。今日はその最終章を書き、香港に別れを告げる。「10年後、30周年特集はまだありますか」。創刊20周年特集号の前書きにこんな問いがあったが、6年後の今日、やっと答えが出た。結果は(休刊と)思わしくなかったが、あきらめずに頑張り、香港人と一緒に歩む決心は26年来変わらない。
「蘋果」を支持する読者の皆さま一人ひとりに、そして新聞の配達を待つ友人にも感謝している。この最終章は読者と私たちが一緒に作ったもの。(休刊は)残念だが、感謝している。
香港返還の2年前、「蘋果日報」は誕生した。第1回社説の冒頭、「私たちがやりたいのは香港人の新聞だ」と書いた。香港人は時に(蘋果日報を)批判し、強権を恐れない姿勢を称賛した。創業者の黎智英は「蘋果は多くの間違いを犯し、読者の期待に沿えないこともあった。ただ過去の四半世紀を恥じることはない」と話している。
私たちの足は香港人の足だった。1997年、中国の五星紅旗がゆっくり揚がったとき、雨の中で夜を徹して取材した。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)や現在の新型コロナウイルスも、マスクをして各地を訪れた。私たちは勇敢ではなかったかもしれないが、民主と自由を追い求める価値を深く信じてきた。
03年には(国家安全条例制定に反対する)市民50万人がデモに出るのを見た。14年には(民主化要求デモの)雨傘運動、19年からは香港人と世界を揺るがせた(逃亡犯条例改正への)抗議運動を目撃した。14年10月には黒い勢力が新聞の発行を阻止しようとしたが、社員の心を一つにして食い止めた。読者は新聞社の外に来て応援してくれた。蘋果人にとって美しい思い出だ。
これまで間違いを犯したこともあるが、蘋果はこの26年間、新しいものを創ってきた。その足跡は世界に広がった。01年の米ニューヨーク同時多発テロ、08年の四川大地震、11年の東日本大震災…。記者が各地の現場を歩き、歳月の明と暗を記録してきた。中国に関するニュースも欠かせない内容だった。
人々がスマートフォンを手にした年代には新聞の売り上げが減少し、19年には予約購読制となり、ネットでの課金を始めた。読者の支持をなくしたりもしたが、ネット英語版を始めるなどして突破を図った。
残念ながら、黎智英は20年8月に逮捕された。「香港国家安全法」の成立により、(天安門事件の犠牲者を悼む)「六四」や(香港返還記念日の)「七一」の集会、デモ行進はなくなった。そして民主と自由を掲げた蘋果に2つの大きな捜査が行われた。
今年6月17日、警察は蘋果のトップ5人を逮捕した。半年間に2度も数百人の警察官がビルの捜索に来るなど、事態は急速に悪化した。3つの関連会社の資産も凍結され、給料支払いも困難になった。
毎年トップページを飾る「六四」デモのロウソクの光や「七一」デモの標題にも別れを告げることになる。蘋果は決して完璧ではないが、「蘋果の香港」を許容できずして、どのような香港ができるといえるのか。
高い山を目の前にして決して楽観はできないが、暗闇が過ぎれば夜明けは来ると信じてほしい。26年間、一緒に歩けたのは素晴らしいことだった。ここで出会った全ての蘋果の読者に感謝する。
これは最終章。皆さまと一緒に作ったもの。もう後悔はない。ともに励ましあおう。
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June 23, 2021 at 09:21PM
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