被災者記録伝える展覧会 作家・吉村昭 - 読売新聞

06.31
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被災者記録伝える展覧会 作家・吉村昭 - 読売新聞

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 2011年3月11日の東日本大震災の発生後、著作が再び脚光を浴びた荒川区出身の作家・吉村昭の取材ノートや震災関連の資料を展示する企画展「吉村昭と東日本大震災」が、同区の「吉村昭記念文学館(ゆいの森あらかわ)」で開催されている。15日まで。

 吉村は「三陸海岸大津波」と「関東大震災」など、過去の大災害について、体験者への 緻密ちみつ な取材に基づく作品を発表しており、東日本大震災の後、広く再読され、増刷を重ねた。

 今回の展示では、証言を書き留めた取材ノートや直筆の講演メモなど、約80点が展示されている。

 被災地ゆかりのものもあり、「多十郎の上着」は、宮城県東松島市の指定有形文化財だ。江戸時代、ロシアに漂着したのを機に、日本人で初めて世界一周を経験したとされる「若宮丸」の乗組員のもので、ロシア皇帝から下賜されたものだ。

 震災前、吉村が資料的価値に着目したことがきっかけで、市内の高台にある史料館で保存されるようになり、震災の津波被害を免れた。上着を見た同区の無職女性(71)は、「所々ほつれているが、貴重なものが残っているとは」と驚いていた。

 吉村昭記念文学館の深見美希学芸員は、「震災から10年を経たタイミングで、改めて災害の実態や防災について考えるきっかけにしてほしい」と話している。

 開館時間は午前9時半~午後8時半。入場無料。3日は休館。

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