「被災者のため」が少し怖い 新人賞に選ばれた震災漫画で感じたこと - 朝日新聞デジタル

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聞き手・狩野浩平

 阪神・淡路大震災から17日で27年。都市部を襲った大地震は人々の価値観をも揺るがし、小説や映画など様々な創作に影響を与えた。当時はまだ娯楽のイメージが強かった漫画も、例外ではない。災害の恐ろしさ、被災者の心の傷、記憶の継承……。震災が投げかけた様々な課題を、時に生々しく、時に柔らかく描き出す。映画化もされた作品「神戸在住」を描いた木村紺さん(48)は、「漫画だから表現できることがある」と話す。

 きむら・こん 1973年生まれ、京都府出身。2002年に「神戸在住」で日本漫画家協会賞新人賞を受賞。ほかに女子高の柔道部を描いた「からん」など。

震災は描きたくなかった

 1998~2006年に「神戸在住」という漫画を連載していました。東京から進学してきた女子大学生の視点で、神戸での暮らしや人々との出会いを描くエッセー風の作品です。作中では阪神大震災についても描き、15年には映画やテレビドラマにもなりました。

 語り継がねば、という志があったわけではありません。本音を言うと、震災は描きたくなかったんです。

 出身は京都で、震災が起きたときは大阪府豊中市でアルバイトをしていました。バイト先の飲食店に出勤したものの、臨時休業に。店のラジオが伝える震災による死者数が、百人単位でどんどん増えていったのが印象に残っています。

 住んでいたアパートも半壊し、1996年に神戸に移り住みました。

 神戸という街は、京都のよう…

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