岡山県被災者支援士業連絡協議会の設立 西日本豪雨の反省から:山陽新聞デジタル|さんデジ - 山陽新聞

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岡山県被災者支援士業連絡協議会の設立式での記念撮影(前列左から5番目が筆者)

岡山県被災者支援士業連絡協議会の設立式での記念撮影(前列左から5番目が筆者)

 先日(令和4年1月14日)、岡山県被災者支援士業連絡協議会が設立されました。

 岡山県被災者支援士業連絡協議会は、岡山県での災害時における被災者・被災地支援活動及び平時における被災者・被災地支援に関する情報共有等を参加団体が相互に協力して行うことを目的に7つの士業団体が立ち上げました。(設立時の報道はこちらでご覧いただけます)私は事務局長になりました。

 岡山県被災者支援士業連絡協議会の参加団体は、岡山弁護士会、岡山県司法書士会,岡山県土地家屋調査士会,公益社団法人岡山県不動産鑑定士協会,公益社団法人岡山県社会福祉士会,公益社団法人日本技術士会中国本部岡山県支部,及び一般社団法人岡山県建築士会です。

 このように参加団体は、法律系、福祉系及び技術系の士業団体が設立時の参加団体となっているので、対応できる専門分野が広くなる点が岡山県被災者支援士業連絡協議会の強みと考えます。

 具体的には、災害時一度に様々な専門家に相談できるワンストップの相談会の迅速かつ継続的な開催が可能になります。また、平時においても防災・減災を目的とする活動でのそれぞれの専門分野を活かした連携が可能となります。

 岡山県被災者支援士業連絡協議会の設立のきっかけは、平成30年7月豪雨災害において士業連携ができなかったことです。そのような状況でも、岡山弁護士会の法律相談に日本技術士会中国本部岡山県支部から相談員を派遣していただいたり、岡山弁護士会と岡山県司法書士会の電話相談の受付時間が重複しないように岡山県司法書士会に配慮いただいたりするなどの連携は見られました。

 しかし、組織的に迅速かつ継続的な士業連携をすることはできていませんでした。私の経験としても、被災地での法律相談で多くの方から、「被災家屋をリフォームすべきか、立て直すべきか」について聞かれましたが、答えることができず建築士会の相談窓口を紹介したり、仲間の大工さんが来てくれる別の日時の相談会にもう一度来てもらったりするなど、被災された方に負担をかけることが多くありました。この経験から、岡山県内の被災者・被災地支援に関する士業連携のための協議会を設立することは悲願でしたのでとても嬉しいです。設立にご尽力いただいた皆さまありがとうございます。

 現時点で災害が起こると自治体などからの相談員などの派遣要請は、弁護士会などそれぞれの団体に入ると思います。将来的には、自治体などが、災害の翌日くらいには岡山県被災者支援士業連絡協議会に連絡をすれば、早期に法律、福祉、技術のそれぞれの専門の相談員を被災地に派遣できる体制を構築したいです。まずは岡山県との災害時協力協定の締結を目指します。

 また、被災された方一人ひとりにオーダーメイドの支援を継続的に行う災害ケースマネジメントを岡山県で実現するためにはさまざまな専門家が支援に関わることは必要不可欠ですので、岡山県被災者支援士業連絡協議会の果たすべき役割も大きいと考えています。
設立時の参加団体にはならなかった士業団体でも、岡山県被災者支援士業連絡協議会の準備会には公式に団体を代表して参加してくれた団体や有志がオブザーバー参加してくれた士業団体が複数あります。参加団体を今後も増やしてさらに広い分野の課題に対応できるようにしていきたいです。

 岡山弁護士会としては、岡山県内の全市町村と災害時協力協定の締結ができ、今回、岡山県被災者支援士業連絡協議会が設立されましたので、被災者支援のための連携・協力体制はできあがりました。今後はこの体制の維持とその中身を充実させ、災害時に一人も取り残さない岡山県を実現するように頑張りますので、皆さまもご協力よろしくお願いします。

      ◇

大山知康(おおやま・ともやす)2006年から弁護士活動を始め、岡山弁護士会副会長など歴任し、17年4月から同会環境保全・災害対策委員長を務める。新見市で唯一の弁護士としても活動。市民の寄付を基にNPOなどの活動を支援する公益財団法人「みんなでつくる財団おかやま」代表理事を令和2年まで4年間務めた(現在は同財団監事)。19年1月からは防災士にも登録。趣味はサッカーで、岡山湯郷ベルやファジアーノ岡山のサポーター。青山学院大国際政治経済学部卒。玉野市出身。1977年生まれ。

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