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高知県でDXの議論白熱、「丸投げしていたら沈没する」 - ITpro
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高知県の企業家の間で今、真剣なDXの議論が始まっている。その熱意たるや、そこらへんの企業のDX推進の比ではない。なにしろ、抱えている問題が大きく、また中長期的に非常に深刻だからである。
高知ニュービジネス協議会(以下、KNBC)という経済団体が、2021年秋にDX委員会を立ち上げたのだが、筆者はその世話人を引き受けた。KNBCは日本ニュービジネス協議会連合会(以下、JNB)の地域団体であり、高知県の新規事業や起業の創出・支援・連携を目的としている。
シュリンクとマイナススパイラルのダブルパンチ
東京で新規事業だ、ベンチャーだと言えば最先端のIT技術を活用し、資金調達の額を競い、早期のIPOを目指すといった華やかなイメージがある。もちろん実際に成功する企業はごくわずかで、ほとんどは消えていくのだが。
一方、高知のような地方の新規事業への取り組みは、泥臭いものとなる。それは、少子高齢化による過疎という現実があるからだ。人、特に若い人がいない。農業や漁業など第1次産業が主要産業でありながら、後継者が不在。人が減ると商圏も縮む。するとますます仕事がなくなり、働き手は地場から出ていく。シュリンクとマイナススパイラルのダブルパンチなのである。
この少子高齢化、デフレスパイラルは本来的には国や自治体など行政の問題であるが、やはり地域の志のある企業家たちは「国や県に丸投げしていたら沈没する」という危機感が強い。「自分たちでもできることはやろう」という思いなのだ。
KNBCにはDX委員会以外にいくつもの分科会がある。ワーケーション観光委員会、起業支援・事業継承委員会、配送集約事業化委員会などだ。この他の委員会の議論を聞くとより地域振興にはDX推進が必要かつ効果的であると強く感じる。
例えば、ワ―ケーション観光委員会では県内の観光に携わる事業者、すなわちホテル、レストラン、観光施設などのホスピタリティーの向上と徹底をさらに強化しようと熱心に取り組んでいる。しかし、受け入れ側のホスピタリティーがいくら向上してもそれだけでワ―ケーションが増えるわけではない。それを増やすには、そこに行く側が何を気にしてワ―ケーションをためらうのかを理解する必要がある。
企業がワ―ケーションの課題として考えるのはセキュリティーと勤怠評価である。そう、企業のテレワークの問題と類似するのだ。ホテルや観光地が「無料でWiFiつながります」とアピールしても安全性が低いものであればワ―ケーションで使われることはない。また、テレワークすら認めたがらない文化の企業にいくら営業を行っても無駄であろう。
そこで、ワ―ケーション受け入れ側の議論の中にネットワークセキュリティー向上とテレワーク推進企業の調査というDX的な要素を少し入れるだけでもだいぶ違ってくるのではないか。他の委員会においても、アナログの取り組みに少しデジタルのエッセンスを加えれば面白そうなものがいくつもあり、それを意見すると、議論ががぜん白熱し、高知の方々からも新たなアイデアがどんどん出てきて本当に面白い。
東京のベンチャーのように優秀な若手が資金を調達して大きな成功を目指すことも、地域の取り組みに小さなDXを少しずつ積み重ねて課題解決をしていくことも、どちらも重要であり、それぞれが自分の使命を果たすことが肝要であろう。
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