北越急行社長の小池さん 公共交通、議論のビジョンを [参院選2022] - 朝日新聞デジタル

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北越急行社長の小池さん 公共交通、議論のビジョンを [参院選2022] - 朝日新聞デジタル

北越急行社長・小池裕明さん(62)

 【新潟】新型コロナウイルスの影響でリモートワークが広がり、密を避ける傾向もあって通勤客が減りました。観光客も激減する一方で燃料費などが高騰し、今年3月期決算の営業損失は9億3706万円でした。北越急行は今年で開業25周年を迎えますが、過去最大の落ち込みです。

 弊社の「ほくほく線」は新潟県南魚沼市の山奥と上越市の日本海沿いの59・5キロを東西につなぎ、それぞれJR線と接続しています。首都圏と金沢方面との移動にかかる時間を短縮するための近道として開通し、JRと共同運行した特急「はくたか」は大勢の乗客でにぎわいました。

 ところが、2015年の北陸新幹線の開業にあわせてはくたかは廃止され、乗客が減って営業収入の9割がすっぽりなくなりました。平均で年間約4億円の営業赤字が見込まれます。そこにコロナ禍です。

 積み上げてきた約130億円の利益を取り崩しながら30年は持ちこたえられる計画を立てていますが、近年の経営状況は計画の想定より悪化していて、さらなる経費削減が必要です。電車の最高速度を現行の110キロから100キロ、95キロと落とすことで部品の摩耗を遅らせられます。観光客など定期券を利用しない乗客が収入の6割を占めており、そこをどう増やすかも課題です。

 JR西日本が今春、1キロあたりの1日平均乗車人数が2千人未満の赤字路線を公表しましたが、一律の線引きで存廃を議論するのは反対です。私が会長を務める「第三セクター鉄道等協議会」加盟の全国40社のうち、8割が2千人未満の路線で、全社とも赤字です。採算だけで議論するのではなく、求められているのは、公共交通全体のビジョンを示すことではないでしょうか。

 新幹線は計画的に整備され、政治も力を入れています。一方で、ローカル線を含む鉄道全体に関する方針はありません。住民を巻き込み、地域の足をどうするか早急に議論を進めるべきです。

 それには、どんな暮らし方が豊かさをもたらすのか、まちづくりとセットで考える必要があります。商業施設が郊外に建設され、モータリゼーションの影響もあって駅前が寂しくなりました。沿線人口が減り、維持費などの負担が重くのしかかっています。鉄道だけでなく、バスやタクシー、自転車といったさまざまな交通手段がつながることで初めて、利便性を実感してもらえるのだと思います。(西村奈緒美)

     ◇

 面積は全国で5番目に大きく、人口密度は34番目の低さ。そんな新潟県内を、上越、北陸の新幹線2路線と、JRの在来線や第三セクター2社の鉄道がつなぎ、30ほどの事業者のバスが走る。「広いエリアに人口が点在しており、効率的にカバーする難しさがある」と県。人口の減少に歯止めがかからず、路線の廃止や減便も相次ぐなか、昨年度には新型コロナの影響による減収分の穴埋めとして、北越急行とえちごトキめき鉄道の三セク2社に、沿線自治体とともに計12億3100万円を支援した。

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