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スノーピーク、白馬と共存の今 地域活性化「点から面」に向けて - 日経クロストレンド
白馬の“玄関口”となるエリアに2020年7月、大型複合施設をオープンさせたアウトドア大手のスノーピーク。施設の運営会社は地元企業として岩岳リゾート(長野県白馬村)の和田寛社長とも連携する。同社や、さらには地元で生活する人たちは、和田社長と歩み始めた「白馬の未来」をどのように描いているのか。
「白馬を助けてほしい」――。2017年、当時スノーピークの社長だった山井太氏(現会長)は、白馬の窮状を訴えるSOSの手紙を地元住民から受け取った。現地を訪れた山井氏は、冬場のスキー場経営に軸足を置く白馬村の観光業が厳しい状況にあることを悟った。
それからしばらくして、白馬の事業者との会合で知り合ったのが、当時、白馬観光開発(長野県白馬村)の社長だった和田寛氏だった。和田社長はスノーピークの白馬進出を機に、積極的に協業を持ちかけた。そこで魅力創出にたけた「外の力」を白馬に取り入れたいという和田社長の思いと、ブランド力の強化を図るスノーピーク側の目的が一致。観光客を迎え入れる白馬の新たな“玄関”となる体験型複合施設「Snow Peak LAND STATION HAKUBA(スノーピークランドステーション白馬、以下ランドステーション白馬)」が、誕生へ向けて動き出した。
19年11月8日にスノーピークの東京拠点で開催されたランドステーション白馬の記者発表会で、山井氏は和田社長と白馬のポテンシャルについてこう語った。
「和田社長は世界中のスキーリゾートのトップをベンチマークして、日本にないものを追加し始めている。そうした索道会社(ゴンドラやリフトの運営会社)はいろいろ考えているので、ホワイトシーズンはすぐに良くなる。併せて僕らがグリーンシーズンを頑張れば、白馬はもっと上がってくる。海外にも素晴らしい山はあるが、ホスピタリティーを考えると、地元の食材や人の温かさなどは日本のほうが優れている」
白馬にはスノーピークが目指すものがある
ランドステーション白馬は、スノーピーク最大規模の直営店に加え、ミシュランの三つ星シェフが監修する白馬の食材を生かしたレストラン、スターバックス、宿泊施設などを兼ね備えた複合施設。設計を建築家の隈研吾氏が手掛けたことでも話題となった。新型コロナウイルス禍の影響で、20年5月23日を長野県内の住民が対象のスモールオープンとし、グランドオープンは同年7月23日にずれこんだ。
こうした集客要素とJR白馬駅から徒歩約10分というアクセスの良さを生かし、白馬を訪れた観光客が情報収集するためのゲートウエイの役割を目指している。実際、施設内には白馬村観光局インフォメーションもある。運営するのはスノーピーク白馬(長野県白馬村)。白馬村における地域連携や事業推進のため、スノーピークと白馬観光開発が共同出資して18年9月に設立した会社だ。
ランドステーション白馬の屋外エリアでは隈氏がデザインした「住箱-JYUBAKO」に宿泊できる他、スノーピーク製品を使ったキャンプ体験もできる。さらに施設の広大な庭ともいえる芝生スペースはイベントエリアになっており、グリーンシーズンの4月末から11月にかけての週末には、地元の農産物や加工食品、工芸品などを販売するマルシェが開催される。
コロナ禍で、想定していたインバウンド向けの展開は中止を余儀なくされた。しかし、この「週末マルシェ」は好評だ。ランドステーション白馬の栗栖望氏は「週末マルシェは観光案内所を別の形で体現したもの。観光客に白馬をPRしていく役割がある」とその意義を強調する。今では長野県民を中心とした地域外からの観光客と地元事業者が集い、ランドステーション白馬と地元の人々をつなぐ絆のようなイベントになりつつある。
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