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静岡の台風15号被害の現状 被災者相談を通じて見えてきたもの:山陽新聞デジタル|さんデジ - 山陽新聞デジタル
taritkar.blogspot.com私が参加した相談会は、静岡県弁護士会、同県内の司法書士会、行政書士会、税理士会や建築士会などの12の士業で構成される静岡県災害対策士業連絡会が静岡市と連携して開催しました。一度に複数の専門家に相談でき、市の被災者生活再建支援金や応急修理などの申請窓口の隣で相談会が開かれており、物理的にも市民がワンストップで相談できる理想的な環境でした。
台風15号の静岡の被害については、断水以外はあまり報道がなかった印象なのですが、静岡県全体で、床上浸水4100件、床下浸水4243件(10月17日午前10時現在。静岡県発表数、以下同じ)の大きな被害がありました。
今回のコラムは、被災された方の相談をお受けしていく中で見えてきた静岡の状況とそれを今後に活かすことはできないかということを書きたいと思います。
まず、静岡市では床上浸水だけで3143件(10月17日午前10時現在)の被害があるのに、避難所は発災の翌日9月25日の朝にはほとんど閉鎖され、発災の3日後の27日朝には全ての避難所が閉鎖されました。これは何を意味するのかというと被災者にとって、避難所がないので、避難する場所を自力で用意できなければ自宅で暮らすしかない在宅避難者となってしまうことになります。
私は3日間で約20名の方の相談を担当しました。全員が被災された自宅で生活をされている在宅避難者の方で、少なくとも3名の方は、ご自宅が平屋なので、湿った床にひいたビニールの上やベッドの上で過ごしているという衛生的に問題があると思われる状況で暮らされていらっしゃいました。
在宅避難者の問題点は衛生面だけでなく、支援情報を知ることが難しい点や、被災者同士や支援者との交流がなく孤立してしまう点も問題と言われています。この状況を受け、既に300件以上の相談を被災者から受けていた静岡県弁護士会が応急仮設住宅の設置など住まいの緊急確保の要望を静岡県と静岡市に申し入れたところ、当日に静岡市での応急仮設住宅の設置が公表されました。
これは私が相談に参加した初日の出来事です。初日は、「仮設住宅ができるかまだ分からないですが、きっとできると思いますので市からの発表をお待ちください」としか言えなかったのが、次の日には、「仮設住宅の設置が決まりましたので自宅の再建が完了するまで仮設住宅で暮らされたらどうですか」と言えるようになりました。避難者のニーズを聞いて、自治体に届けることも弁護士会などの士業の役目なのでそれを果たされた静岡県弁護士会には敬意を表します。
しかし報道されていた自衛隊派遣の要請の遅れ、上記の避難所の早期閉鎖や仮設住宅の設置の公表の遅れなど、静岡県と静岡市の対応には驚いています。この原因の1つとしては自治体が被害の全体像をつかめていなかったことだと考えます。床上浸水だけみても、静岡市だけで3413件と発表されていますが、発災当日(9月24日)の午後6時では878件、発災から1週間後(10月1日)の午前8時の段階でも1184件と発表されていました。発災から13日後(同月7日)の午前10時時点でも1625件と発表されており、現時点と比べて約半分の被害しか発表されていませんでした。なお、上記の件数は静岡県の発表ですが、静岡市の発表では、10月18日時点で静岡市の床上浸水については3750件と発表されています。
このことから被害の全体像を早期に把握することの重要性を実感しました。被害の全体像を早期に把握できていれば、避難所が早期に閉鎖されることもなく、早期に応急仮設住宅の設置が決定されていたと考えます。
被害の全体像の公表が遅れると、公助だけでなく、共助のNPOなどの支援団体の活動にも影響してきます。当初から床上浸水が3000件を超えていると発表されていれば報道も多くなされ、現在より多くの支援が全国から集まったと思われます。
次に私のいる3日間のうちに発表されることを期待したのですが、公費解体の実施がコラム執筆時点(10月19日)でも公表されていません。以前に当コラムでも書いたのですが、公費解体は災害救助法などと紐(ひも)づいていないので、何件家屋の被害があったから公費解体が実施されるというわけではありません。災害廃棄物処理事業の中で自治体が環境省に公費解体の国庫補助を申請して環境省の現地調査などに基づき実施されるものとなっています。ですので、比較的規模の小さい災害でも利用できるので、その意味では使い勝手が良いのですが、今回の静岡の台風15号災害のように明らかに公費解体が必要な場合でも3週間以上経過してもまだ発表されていません。
私が相談を受けた方の中には、2名の方は(自宅が古いのでリフォームが難しく倒してアパートに住むことにしたなどの理由で)自宅を解体したいと言われていました。公費で解体できるなら解体も検討したいと言われる方も数名いらっしゃいました。公費解体実施の公表が遅いのは災害が起きるたびに指摘されているので、過去の災害と比べて明らかに実施の必要性がある災害の場合には早期に実施を公表できる運用にしていただきたいです。
私にとってほぼ3年ぶりの県外出張が、被災された方のご相談を3日間受けるという活動でした。かなり疲れましたが、西日本豪雨の経験をお伝えすることができ、西日本豪雨の際に全国から受けたご恩を少し恩返しすることができました。私以外にも、静岡の被災地に岡山県の支援団体も駆けつけていらっしゃったので支援者仲間として心強かったです。
今回のコラムを読んで静岡を支援したいと思っていただいた方は、静岡市が設置した義援金口座に義援金をお送りいただくことをご検討ください。被災された方の力になりますので是非ご協力お願いします。(令和4年台風第15号による静岡市災害義援金について)
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大山知康(おおやま・ともやす)2006年から弁護士活動を始め、岡山弁護士会副会長など歴任し、17年4月から同会環境保全・災害対策委員長を務める。新見市で唯一の弁護士としても活動。市民の寄付を基にNPOなどの活動を支援する公益財団法人「みんなでつくる財団おかやま」代表理事を令和2年まで4年間務めた(現在は同財団監事)。19年1月からは防災士にも登録。趣味はサッカーで、岡山湯郷ベルやファジアーノ岡山のサポーター。青山学院大国際政治経済学部卒。玉野市出身。1977年生まれ。
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