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社説 第2次補正予算 財政を保つ議論を急げ - 信濃毎日新聞
安倍晋三政権が、総額31兆9千億円余の第2次補正予算案を閣議決定した。民間の支出を含む事業規模は117兆円に上り、新型コロナを受けた緊急経済対策は累計で230兆円を超えた。
首相は「GDP(国内総生産)の4割に上る世界最大の対策で日本経済を守る」と訴える。負担の先送りにすぎない納税猶予や、緊急性の乏しい消費喚起策で事業規模を膨らませてもいる。
求められるのは、困窮している国民や事業者に支援を迅速に行き渡らせることだ。
1次補正を巡り政府は、給付金の対象を絞るか国民一律とするかで方針が揺らいだ。閣議決定した予算案を組み替え、国会での成立が遅れた経緯がある。
まだ10万円の給付開始に至っていない市町村がある。中小企業や個人事業主向けの持続化給付金、労働者を休ませた事業者への雇用調整助成金の支給も滞る。
第2次補正予算案には企業の資金繰り支援、売り上げが急減した事業者への家賃補助を盛った。雇用調整助成金は上限を1万5千円に引き上げた。医療検査体制の強化に2兆円余を、医療や介護の従事者に最大20万円を支給する慰労金も計上している。
1次補正が審議された段階から必要性が指摘されていた項目も目立つ。外出自粛や入国制限の影響をもろに受けた宿泊業、飲食業を中心に、既に42都道府県で176件の倒産が確認されている。緊急事態宣言が解かれても、回復を見込める環境にない。
受給のための手続きをできるだけ簡略化するとともに、用意された分の支援が公正に対象者に行き届くよう、政府と自治体は手を尽くしてほしい。
31兆9千億円は全額、国債で賄う。当初予算と第1次補正を合わせ、本年度の歳出全体の56%を借金が占める事態となる。
コロナ禍の前から、国と地方の借金は1100兆円余に膨らんでおり、単年度収支の均衡を図る目標にさえ遠い状況にあった。弾力的な支出が必須となる非常時に、財政健全化の重要性が改めて浮かび上がっている。
感染拡大の第2波に見舞われれば、再び経済活動を制限せざるを得ない。国民生活のさらなる下支えは不可欠になる。
財源の確保へ、所得税の累進性や資産課税の強化、法人税率の改定にも踏み込み、年末に策定する税制大綱に反映させたい。歳出の見直しにも努めるべきだ。
(5月28日)
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May 28, 2020 at 07:37AM
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