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携帯値下げ混迷 総務省と大手各社、議論が空中戦に - ITmedia
携帯電話料金の値下げを巡る議論が混迷してきた。携帯大手が傘下の格安ブランドで打ち出した低料金プランについて、武田良太総務相は11月27日の閣議後の記者会見で「何の意味もない」と批判した。当初は一定の評価をしてきたが、先週から突如、再び圧力をかける姿勢に転換。「まず、新プラン導入の効果を検証すべきだ」という見解の携帯大手とかみ合わないまま、議論が空中戦になっている感も否めない。
「安いブランドから高い方に誘導し、高いブランドに囲い込むスキームを堅持している」。27日の会見で武田氏は携帯大手への不満を表明した。20日に「羊頭狗肉」「不適切」などと発言したのに続き、強い言葉で批判した。
菅義偉首相肝いりの携帯値下げを巡っては、政府の要請を受け、10月末にKDDIとソフトバンクが格安ブランドでデータ容量20GB、3000〜4000円台の新プランを発表。武田氏は当初「魅力的な選択肢が新たに出てくる」と評価した。
事態が急転したのは20日の会見だ。「多くの方が契約する主力ブランドでは新プランが発表されておらず問題だ」と述べ、関係者を驚かせた。27日には「選択肢に中身がない」とさらにヒートアップした。
「虎の尾を踏んだ」と携帯大手関係者はつぶやく。KDDIの高橋誠社長は25日の産経新聞などの取材で、総務省が格安への乗り換え促進策を推進中なのに主力ブランドを安くすると言えば、乗り換えが進まなくなるので「矛盾している」と指摘。これに対し、武田氏が、大手には囲い込み策があって、乗り換えが阻害されているから、主力ブランドを下げるしかないのだという主張で反論した格好だ。
だが、その手法には強引さも垣間見える。武田氏は乗り換えを阻む要因として3つの手数料が計1万5500円もかかっていることを挙げたが、このうち9500円の契約解除手数料は2019年1000円に下がっており、3000円の乗り換え手数料も来春からネット手続きでは0円になるなど、実際には見直しが進みつつある。武田氏の強硬な姿勢には「当然その上が関わっている」と携帯大手首脳は語る。
政府が携帯会社にさらなる対応を強く迫る中で、今後は12月に公表予定のNTTドコモの値下げが焦点となる。当初はKDDIやソフトバンクのやり方に追随するとの見方もあったが、それだけでは政府に納得してもらえないことが明確になった。ドコモが主力ブランドの大幅な値下げを打ち出せば、他社も対抗プランを出さざるを得なくなる。今後の競争を大きく左右するドコモの出方が注目される。
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