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【ビブリオエッセー】よみがえった苦い思い出 「黒く塗れ 髪結い伊三次捕物余話」宇江佐真理(文春文庫) - 産経ニュース
comot.prelol.comまさか、娯楽時代小説で、何十年も前のわが身を振り返って胸を締め付けられる思いをさせられるとは思ってもみなかった。
髪結い、それも自分の床を持たない「廻り髪結い」でありながら八丁堀同心の下っ引という主人公に、気っぷのいい深川芸者という異色の取り合わせが人気のシリーズの1冊。通しタイトルに「余話」とある通り、本格的な捕物というより、事件をめぐる江戸庶民の哀歓を描くのが持ち味だ。
全編、軽妙洒脱な「宇江佐ワールド」だが、芸者・お文(ぶん)の出産場面は息詰まるシーンだ。初産でしかも逆子。「後生だ。今日だけは傍にいておくれ」とすがるお文に「そういう訳にはいかねェ」と捕物の現場へ飛び出す伊三次。「女房のお産に立ち会うのでお上の御用はできやせん、とは口が裂けても言えない。そんなことは男として末代までの恥だ」と粋がってはみたが、気になって飛んで帰ると、「殺せ、殺せ」と引きつるようなうめき声。「お文、しっかりしろ」。まれにみる難産。医者と産婆に言われて両腕を頭から支える。2人とも汗みどろ。女性作家ならではの迫真の描写は5ページにもわたる。命の誕生がいかにすごいものかが伝わってきて、こっちまで手に汗握る。
半世紀近く前、第1子が誕生したときが思い出された。「お産より仕事」と、立ち会うどころか、実家で生まれたわが子との対面は3日もたってから。第2子も海外出張中で1週間後だった。お文のような厳しい体験をしていたのだろうか、と思うとまさに慙愧に堪えない。が、間もなく金婚式を迎える古女房に、いまだに慰めの言葉一つかけられないでいる。
大阪府高槻市 K・K 78
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May 09, 2020 at 08:03AM
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