電力危機に陥る日本「原発再稼働」の議論が必要だ | 国内政治 - 東洋経済オンライン

07.15
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3月22日の電力供給はぎりぎりだった。写真は節電のため消灯した東京タワー(写真:AFP=時事)

日本の電力供給が危機に瀕している。

3月22日、東京電力ホールディングスの関係者から東日本大震災後よりも電力需給が厳しいという切実な声が聞こえてきた。時を同じくして旧知の資源エネルギー庁幹部からも協力の要請が入る。事態の深刻さを感じ、国会運営に権限を持つ自民党国対の幹部、ネット大手の社長、ツイッターで多数のフォロワーを持つ同僚議員など、あらん限りの人脈や手段を使って節電を呼び掛けた。

結果的に、国民と企業の協力によってブラックアウトや大規模な停電という最悪の事態は回避することができた。しかし、電力需給が綱渡り状態にあることは誰の目にも明らかになった。

10年前には関西がブラックアウトの瀬戸際に

あの日、私が思い起こしていたのは10年前の電力不足だった。東日本大震災の翌年である2012年の5月18日、原発事故収束担当大臣をしていた私は、関西広域連合の会合に出席して大飯原発の再稼働への理解を求めるよう首相官邸から要請され、大臣室で悩んでいた。原発事故の記憶は生々しく国民世論は圧倒的に再稼働反対だった。

危惧したのは、私自身が原発の再稼働を主導することで、福島の皆さんとの信頼関係が崩れることだった。そうなると原発事故後に福島の皆さんとの協議を重ねて何とか動き出した除染や中間貯蔵施設が止まってしまう可能性がある。しかし、東日本大震災の前から原発依存度が高かった関西電力管内ではその夏、ブラックアウトのリスクがあった。

大飯原発では3.11の教訓を受けて津波に耐えうる対策が講じられていた。東電本店で原発事故に対応した経験から、政権の中で現状を説明できるのは私だということも分かっていた。原発事故対応で一度は死んだと思った政治家としての命。失うものはない。再稼働が実現した後、福島の反発が大きくなったら自分の首を差し出せばいい。大臣室に1時間こもった後に関西広域連合の会合への出席を決めた。

6月4日は厳重な警備の中で福井県庁を訪問した。西川一誠県知事の説得も困難を極めたが、最後は野田佳彦総理と直接会談を条件に何とか再稼働に理解を得ることができた。大飯原発3号機の再稼働は7月1日、4号機の再稼働は7月18日。夏のブラックアウトのリスクは回避された。

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