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キャンプの詩 2人の思い出はストレートフラッシュ - 朝日新聞デジタル
comot.prelol.com和歌山市内から車で1時間ほど。新緑がまぶしい紀の川市の山あいを流れる真国(まくに)川沿いに細野渓流キャンプ場がある。
いすに座って、キラキラと光る川面をのんびりと眺める夫婦がいた。関口修さん(64)と松美(まつみ)さん(64)。大阪府和泉市からやってきたのだという。
以前はよくキャンプをしていたそうだ。子どもたちと水遊びをして、カレーをつくってにぎやかな時間を過ごした。でも、子どもたちが大きくなるにつれてしなくなっていた。
3年前、簡単にテントを設営しているユーチューブを見て、キャンプ熱が再燃した。「こんなに便利になったのね」。30年前に買ったのは家族4人で広く使えるロッジ型テント。鉄骨のポールで、重かった。組み立てるのにも時間がかかった。
いま使っているのは、ちょうど2人が寝られるぐらいの軽くて小さめのテント。「鉄骨テント」をインターネット上に出品して、そのお金で買った。LEDランタンなど最新式の道具もそろえた。松美さんは調理用のガスバーナーの扱いやすさにも驚いている。「以前はポンピング動作を繰り返してね。押し込めなくなるくらい硬くなってから火をつけた」とくすっと笑った。
夕暮れ時、修さんがたき火台にまきをくべると、温かなあかりが周辺を照らした。キャンプに来ると、食器洗いなどは修さんの仕事で、松美さんはご飯の支度をしたあとはゆっくりする。それが2人のリズムだ。
今回、このキャンプ場を選んだのはペットと一緒に過ごせるからだった。かたわらにいたのは11歳になる愛犬のレン。たき火の前でこの夜のメニューの一つ、チーズとブロッコリーなどのアヒージョをつつきながら、松美さんがとりとめのない話を始めた。
「自宅でキャンプの準備をするとね、レンがそわそわするの。焼き肉が食べたいのかしら。分からないけどついてきてくれるだけでうれしい」
修さんが応える。「コロナ禍でのキャンプ人気で最近は平日でも予約が取りづらくなったね。レンの鳴き声も迷惑になるから、できるだけ人出の少ないキャンプ場を選ばないとね」
ドイツに住む孫とはLINEで電話をする。「じいちゃんとばあちゃんのところに行くには、僕が電話の画面の中に入ればいいの?」と話す姿がかわいくて、いつか一緒にキャンプをしたいと思っている。
夜9時ごろにはテントに入る。自宅では普段しないのにトランプがしたくなる。理由はわからないけど、2人でポーカーをするのが恒例だそうだ。
このあいだ、滋賀のキャンプ場でストレートフラッシュが出た。「うわー!」とはしゃいだ。
いつかロイヤルストレートフラッシュを出したいと思っている。「またキャンプを始められてよかったね」。そう2人は言葉を重ねた。(高田純一)
◇
〈細野渓流キャンプ場〉 紀の川市桃山町垣内。電話0736・67・0070。真国川でアユ釣りが楽しめ、6月には天然ホタルが舞う。入場料は日帰り400円、1泊2日で800円。ペットは1匹520円。バンガローやオートキャンプ場もある。炊事場や温水シャワーを完備。
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April 26, 2022 at 07:30AM
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