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「ウクライナに平和戻って」 皆野の小学生とカテリーナさんが対話 - 朝日新聞デジタル
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埼玉県皆野町の小学生にとって、17日は世界を実感した一日になった。ウクライナ出身の演奏家、カテリーナ・グジーさん（36）から、平和への思いをじかに聞くことができたからだ。
午前9時半。皆野小6年の中村泰士さんは同級生ら50人と、学校の多目的ホールに集まった。最前列の中村さんの前で、バンドゥーラの演奏が始まった。65本の弦があるウクライナの民族楽器だ。初めて聴く高音の響きに、中村さんは「すごいきれいな演奏」と驚いた。
2006年から日本に住み、演奏活動をしているカテリーナさんがバンドゥーラを始めたのは6歳。1曲目の演奏が終わると、カテリーナさんが言った。「子どものころは、ピアノをやりたかった。でも、ママの友だちが音楽の先生で『だれも弾いていない楽器を選んだ方がいい』と。やめずに続けてよかった」
ウクライナの首都キーウで暮らしていた「ママ」はいま、日本にいる。ロシアの侵攻で3月21日に避難してきた。この日、一緒に来る予定だったが、長雨続きで体調を崩してしまった。
カテリーナさんは続けた。「みなさんの将来のためにも、日本がずっと平和であって欲しい。人生は一回だけ。楽しめる限り人生を楽しんでください」
2曲目の「翼をください」の演奏が終わると、中村さんは「ウクライナで一番好きな所はどこですか」と質問した。この日に向けて「総合的な学習の時間」で3時間かけ、パソコンを使い、ウクライナの歴史や地理を学んできた。ウクライナが「すてきな場所だ」と思ったからだ。
カテリーナさんは祖国を褒められたように感じ、うれしくなった。「西の方にザカルパッチャという街がある。季節によって自然の色が変わる。秋は黄色と赤、冬は真っ白、夏は緑に。この町（皆野町）は初めてだけど、自分の好きな所に戻ってきた感じです」
隣のクラスの南耶真斗（やまと）さんは「これから挑戦したいことはありますか」と尋ねた。カテリーナさんから「夢をあきらめてはいけない。挑戦したいのなら、明日からではなく、今日から始めて」と呼びかけられ、聞いてみたくなったからだ。カテリーナさんは間を置いて少しだけ考え、こう返事をした。
「あります。この年齢になって、ほかの国の言語が話せないのは残念。スペイン語やフランス語を勉強したい。ほかの楽器にも挑みたい。エレキギターとかサックスとか、仕事ではなく、自分のために」
45分ほどが経ち、カテリーナさんは次の学校に向かった。見送った中村さんは言った。「ウクライナに一日でも早く平和が戻って欲しいです」（岡本進）
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May 26, 2022 at 09:00AM
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