鈴木誠也もカブス過激ファンの餌食に?福留に差別まがいの嫌がらせ、ダルはSNSで袋叩きに|カブス鈴木誠也を待ち受ける「シカゴの敵と味方」 - 日刊ゲンダイDIGITAL

05.15
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 まさに超破格の待遇である。

 広島からポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指していた鈴木誠也(27)が日本時間17日、カブスと5年総額8500万ドル(約100億3000万円)で合意。メディカルチェックが済み次第、入団が正式に発表される。

 総額100億円超の契約は2007年オフ、FAで同じカ軍に移籍した福留孝介(現中日)の4年総額4800万ドル(当時のレートで約54億2400万円)を抜いて日本人新人野手の歴代最高額。資金力豊富で多くのスター選手と大型契約してきたカ軍でも、広島への移籍金17億4000万円を含めた総額117億7000万円は球団史上5番目の契約規模になるという。

 複数の米メディアの報道を総合すると、契約にはトレード拒否条項があり、2年目の23年終了後に、自ら契約を破棄できる選択権も盛り込まれているという。過去に渡米した日本人選手同様、球団負担で専属の通訳やトレーナーが付くのはもちろん、日米間の往復航空券が支給されるなど、まさに至れり尽くせりの内容だ。

 14日の入団交渉にはジェド・ホイヤー編成本部長の他、球団会長を兼務する大富豪のトム・リケッツ・オーナーまで同席。日本を代表する「5ツールプレーヤー」への並々ならぬ期待の高さがうかがえるのだが、100億円契約の反動は決して小さくない。

 ナ・リーグ中地区の老舗球団のファンは熱狂的な上に過激なことで知られるからだ。これまでカ軍でプレーした日本人選手も本拠地リグレーフィールドで強烈な洗礼を浴びている。

アジア人差別プラカードを掲げるファンも

 有名なのは福留のケースだ。移籍1年目の開幕戦で挨拶代わりの一発を放つなど、順調なスタートを切りながら、夏場を前に失速。スタンドからは容赦のないブーイングが飛ぶようになった。遠征の際には、シカゴ・オヘア空港の館内放送で「フクドメ・コウスケさま。シンシナティ・レッズへのトレードが決まりました。シンシナティ行きの搭乗口へとお急ぎください」とアナウンスされた。これはカブスファンの空港職員によるいたずらだったが、それだけ不甲斐ない福留の放出を望むファンは少なくなかったのだ。当時の地元メディアの報道では、福留に対してアジア人差別とも取れるプラカードを掲げたファンの姿もあったという。

■ダルには「給料泥棒!」

 18年2月に6年総額約138億6000万円でFA移籍したダルビッシュは陰湿な誹謗中傷にさらされた。この年のダルは右肘を痛めたこともあり、8試合でわずか1勝(3敗)に終わった。不安定な投球が続いたため、SNSにはカブスファンによる「給料泥棒!」といった批判コメントが殺到。ダルと同じ17年オフにカブスからFAになったサイ・ヤング賞右腕アリエッタが移籍先のフィリーズで活躍(10勝11敗)したため「アリエッタと契約すべきだった」といった書き込みも目立った。当時、ダルの女房役だったジメネスが地元紙「シカゴ・サンタイムズ」の取材に「彼は自分へのネガティブな書き込みにかなり動揺している」と明かし、話題になった。

「シカゴのファンやメディアの気質はニューヨークやボストン以上にシビアです」とメジャーに詳しいスポーツライターの友成那智氏がこう続ける。

「リグレーフィールドの外野席に陣取る『ブリーチャーバム』と呼ばれる熱狂的なファンは特に過激なことで有名です。調子が上がらない選手には容赦のない罵詈雑言を浴びせるため、選手とのいさかいも絶えない。01年から11年まで在籍したかつてのエース右腕ザンブラーノはスタンドのヤジに冷静さを失って中指を立て、翌日に謝罪会見に追い込まれた。中には選手のプライベートをヤジのネタにする悪質なファンもいます。カブスファンは日本で熱狂的なことで知られる阪神ファン以上の存在でしょう」

 家族席で観戦する選手の夫人に罵声を浴びせるファンも少なくないという。

 鈴木は「ブリーチャーバム」をもうならせるプレーを披露するしかない。

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