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＜ビジネスコラム ローカル新潮流（６）完＞田中輝美 地域づくり、若者と共に - 河北新報オンライン
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この欄で繰り返し紹介してきたように、若い世代はいま、地方が長い年月をかけて育んできた人と人とのつながりに魅力を感じるようになってきています。もちろん若者全員と言うつもりはありませんが、着実に増えているのを感じます。
私の周囲でも、新型コロナウイルス禍や昨今の気候変動などを意識し「人はもっと地球や生態系の一部と認識すべきだ」と考え、生活の場を都会から地方へと移す人が相次いでいます。
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東京を離れ、家族と一緒に熊本県に移住した友人。東京・新島の古民家を買って都心部との二地域居住を始めた知人。首都圏の大学を卒業後、就職先に地方の企業を選ぶ「新卒Ｕターン就職」の学生…。みな地方に魅力や可能性を感じ、人生のかじを切ったのです。
これらは脱都会という意味だけではありません。地方にいながら地元に残って就職したいという学生もいます。明らかに新しい潮流が生まれ、強まっています。
そこで問われるのは私たち大人の姿勢です。Ｕターンをしたい、地元に残りたいと考える若い世代に、安易に「こんな田舎より、都会で働いた方がいい」と自分たちの世代の価値観を押し付けていないか－。「どうしたらいいか迷っている」と相談に来る若い世代の声に耳を傾けると、周囲の大人に「地方」を否定され、悩んでいるケースが実はかなり多いのです。
善意からの助言だと想像しますが、地方に魅力を感じ、暮らす場所として選択肢に入れている若い世代は傷つき、最悪の場合、自身の感性にふたをしたり、可能性を閉ざしてしまったりすることもあります。
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先進的な地域づくりで知られる島根県の離島海士（あま）町は、飲み会の最後に唱歌「ふるさと」を歌う習わしがありますが、３番の歌詞「志を果たして いつの日にかかえらん」は「志を果たしに いつの日かかえらん」と替えています。
加えて同町で広く共有されている考え方が「大人が変われば子どもは変わる。子どもが変われば未来が変わる」です。子どもや若い世代は大人の背中を見ています。地方暮らしの課題や不便さが皆無とは言いませんが、不都合は共に考え、乗り越えていけばいいと考えます。
地域に暮らす私たち大人の責任は「帰ってこない方がいい」「出て行った方がいい」と、従来の常識を疑わずに思考停止的に口にすることではなく、帰ってこられる、または暮らし続けられる地域をつくるために、若い世代と一緒に行動していくことです。
ローカルに光をともすのは私たち一人一人－。皆さんと決意を新たにして６回の連載を閉じます。ありがとうございました。
（ローカルジャーナリスト＝島根県浜田市在住）
◇
田中さんのコラムは今回で終了します。
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