Judul : 家出した息子を追い、冷戦状態の夫婦が二人旅をするはめに。ついに決別? はたまた関係修復? 本音炸裂の夫婦ロードノベル!『きときと夫婦旅』椰月美智子インタビュー〈第3回〉|インタビュー・対談|COLORFUL - COLORFUL:カラフル
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家出した息子を追い、冷戦状態の夫婦が二人旅をするはめに。ついに決別? はたまた関係修復? 本音炸裂の夫婦ロードノベル!『きときと夫婦旅』椰月美智子インタビュー〈第3回〉|インタビュー・対談|COLORFUL - COLORFUL:カラフル
『きときと夫婦旅』椰月美智子
中3の息子、昴が家出した。行き先は富山県の氷見。慌てて連れ戻しに向かった母親のみゆきと父親の範太郎だが、昴はまだ帰らないという。倦怠期真っ只中、ほぼ口も利かなくなっていた夫婦は、昴が帰ると約束した日まで富山に滞在するはめに……。
東京の狭い我が家で繰り広げられてきた夫婦の冷戦。雄大な北アルプスと豊かな富山湾を擁する北陸の旅先でも、やはり続行なのか?
「これ、ウチのこと!?」と、長年連れ添った夫婦なら身に覚えのあるエピソードが満載!
「家事と子育て、避けて通れると思ってる?」妻
「妻はいつまで不機嫌を通すのか?」夫
主人公である妻・みゆきと同年代の担当編集者S(48歳・二児の母)が、自身も妻であり、二人の息子さんを育てる著者の椰月美智子氏に創作の舞台裏などを伺った。
──ここ数年、椰月さんは『明日の食卓』(16年刊 21年映画化)、『さしすせその女たち』(18年刊)、『ミラーワールド』(21年刊 すべてKADOKAWA刊)など、ジェンダーに関する小説を多く発表しています。『きときと夫婦旅』も夫婦間のジェンダーがテーマになっていますね。
椰月美智子(以下=椰月):ジェンダーについての話はKADOKAWA三部作(勝手にそう呼んでいます)で十分かなと思っていたのですが、『きときと夫婦旅』でもメインテーマになってしまいました。夫婦を描くとなると、どうしても避けて通れないですね。
──舞台は旅先ながら、夫婦間の呼び名のことや、お金の負担、子どもの教育についてなど、家庭生活を営むうえで夫婦が直面しそうな問題が取り上げられていて面白かったです。
椰月:よそのご家庭って、本当に謎です。ママ友同士でもよほど仲良くならないと、自分の家庭の話はしませんよね。夫婦仲、互いの呼び方、お金のこと……。みゆきたち夫婦が一般的だというわけではなく、この小説を読んでくれた読者の方が改めて考える機会になればと思います。
──『きときと夫婦旅』を執筆したことで椰月さん自身の夫婦観に変化はありましたか?
椰月:これといってありませんでしたが、もういい歳なので、夫婦ゲンカすることなく穏やかに過ごしたいものだとつくづく思います。
──『きときと夫婦旅』の装画は、富山の町並みを背景に描かれた親子3人の姿でとても目を引きます。椰月さんたっての希望で、椰月さんと同じく小田原市在住の画家、横井山泰さんにカバーイラストを描いていただきました。
椰月:横井山さんとはかねてから親交があったのですが、動物の絵や、幻想的で不思議な絵を描かれるイメージでしたので、自分の作風からいってもお仕事をご一緒することは難しいだろうなと思っていました。でもある日、アトリエに飾ってある絵を見させてもらったときに、『きときと夫婦旅』の装画が、リアルに頭に浮かんだ瞬間があったんです。
なので、わたしとしてはなんとしても、今回の装画は横井山さんに描いてもらいたく、推しに推させていただきました。イメージ通りの装画になって、とてもうれしいです。
──2002年に『十二歳』で講談社児童文学新人賞を受賞してデビューされた椰月さんですが、作家生活20年を振り返ってみていかがですか?
椰月:20年の間、そのときそのときで、自分なりに誠意を持って執筆してきたつもりですが、生まれたての赤ちゃんが20歳になるまでの成長を思うと、自分はさほどのことをしてこなかったのではないかと情けなくもなります。でも、好きなことを仕事にできてとてもラッキーだし、本当にありがたいなあといつも思っています。
──最後に、読者の方々へのメッセージをお願いします。
椰月:最新作『きときと夫婦旅』。クスっと笑えて、でも夫婦とはなにかを考えさせられる小説になっていればいいなと思います。作家生活20年、今のわたしの精一杯ですので、一人でも多くの方に読んでいただきたいです。
椰月美智子(やづきみちこ)プロフィール
1970年神奈川県生まれ。2002年『十二歳』で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。07年『しずかな日々』で野間児童文芸賞、08年坪田譲治文学賞、17年『明日の食卓』で神奈川本大賞、20年『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』で小学館児童出版文化賞を受賞。その他に『るり姉』『14歳の水平線』『純喫茶パオーン』『ぼくたちの答え』など著書多数。
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