ToDo管理はしない。常時100人以上のユーザーとコミュニケーションを取る、bosyu社石倉秀明さんの仕事術 - ライフハッカー[日本版]

08.43
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ToDo管理はしない。常時100人以上のユーザーとコミュニケーションを取る、bosyu社石倉秀明さんの仕事術 - ライフハッカー[日本版]

敏腕クリエイターやビジネスパーソンに仕事術を学ぶ「HOW I WORK」シリーズ。今回お話を伺ったのは、株式会社bosyuの代表取締役で、株式会社キャスター・取締役COOの石倉秀明さんです。

石倉さんは、2005年、株式会社リクルートHRマーケティング入社。2009年には株式会社リブセンスに転職し、求人サイト「ジョブセンス」の事業責任者に。

その後、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)を経て、現在はかんたん募集サービス「bosyu」を運営するbosyu社の代表取締役と、「リモートワークを当たり前にする」をミッションに、オンラインアシスタントサービスなどを提供するキャスター社の取締役COOを兼任されています。

スタッフ全員がリモートワークだというキャスターとbosyu。その働き方をすすめる理由などについて、石倉さんに伺いました。

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Photo: Kayoko Yamamoto

大学中退後、フリーターに。いまではテレビ番組でコメンテーターも

ーーこれまでのご経歴を教えてください。

早稲田大学を3年で中退後、1年間はフリーターでした。実家があまり裕福ではなかったので、大学に通いながらアルバイトをして学費を稼いでいたのですが、働きすぎて体調を崩し、学費が払えなくなって中退したんです。

フリーターになってからは時給の高いテレアポの仕事をしていたのですが、ある日、フロムエーで「3年働いたら200万円(もらえる)」という求人広告を見て、「まじか!すげーな!」と思って応募しました

それが2005年に入社したリクルートHRマーケティング(現リクルートジョブズ)の3年限定の契約社員の募集で。とりあえず面接に行って、内定をもらって、その翌月には働き始めました。

結局、リクルートに4年間いて、営業を1年半くらいと、あとはチームのマネジメントをしたり、事業企画や営業企画に異動したり。途中で正社員になったので、結局200万円はもらってないんですけどね(笑)

2009年にリブセンスに転職して、「ジョブセンス」の事業責任者になり、そこを辞めたあとはDeNAで「ビッダーズ」の営業責任者をしたり、新規事業をしたり…最後は人事でした。

フリーランスとして独立したのが、2015年です。その頃は、採用のお手伝い、新規事業の立ち上げ、営業組織の構築など、僕の過去の経歴を見てオファーが来た中からできそうなことをやらせてもらっていました。

その後、2016年にキャスターの取締役COOになりました。

ーー現在のメインのお仕事は?

2019年からキャスターの子会社であるbosyuの代表取締役も兼任していて、今はbosyuの仕事が中心です。

bosyuは2018年8月に、ある個人の方が立ち上げたものを譲り受け、2019年7月に分社化しました。

自分ができること、依頼したいこと、やりたいことに価格を設定して募集を作り、個人間で売り買いできるサービスです。最近では、「仕事版のメルカリ」という言い方もされていますね。

それ以外では、たまにテレビに出ています(フジテレビ系列で放送中のニュース番組「Live News α」の火曜コメンテーター)。

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Photo: Kayoko Yamamoto

ミーティングがない時間は、常時100人以上のユーザーとDMやSNS上でやりとり

ーー1日の働き方について教えてください。

平日はだいたい7時ごろに起きて、家族で朝ごはんを食べ、子供を保育園に送るために8時半前くらいには家を出ます。それが終わると、9時前くらいになるので家に帰るか、渋谷、品川、六本木など、気分とその日の予定に合わせた場所で仕事をします。

ミーティングがなければカフェか、コワーキングスペースで仕事をすることが多いです。

夜は会食がなければ、19時くらいには帰宅して家族と夕飯を食べて、子供とお風呂に入り、21時くらいには子供を寝かしつけます。そのまま自分も寝てしまうこともありますし、仕事をすることもありますね。

寝るのはだいたい0時〜1時くらいです。

ーー1週間のうち、ミーティングがある日はどのくらいありますか?

定例ミーティングは1日だいたい2〜3本ですが全くない日もありますし、1日ミーティングで埋まっている日もあります。

ミーティングをしていない時間は、ユーザーさんとコミュニケーションを取っていますね。

この1月からbosyuがリニューアルしたこともあって、今はユーザーさんと直接会う機会も多く、ユーザーさんとのランチの予定が入っていることも多いです。

ーー何名くらいのユーザーさんとコミュニケーションを取っているのですか?

世界一、ユーザーさんと1対1で話す社長になろうと思っていて、常時100人くらいとTwitterのDMやSNS上でやりとりしています。なぜ使ってくれているのか聞いたり、使い方などの相談を受けたり。

bosyuでは、「献立を考える」「渋谷駅で迷いそうなときに目的地までの地図を作ってあげる」「早起きが得意な人は早起きの仕方を教えてあげる」など、様々なことに価格がついて仕事として成立しているんです。

それを見たユーザーさんから「私は何ができますか?」とDMに問い合わせが来るので、得意なことを聞いて「じゃあ、これで募集したらいいんじゃないですか?」というやり取りを100人以上と毎日ずっとやっています。

1月に始まったばかりのサービスなので、今、ユーザーさんと話すことは大事だというのもありますが、単純にこれだけSNSで直接繋がれる時代だからこそ、ユーザーさんと運営者の距離を置く必要はないかなと思っています

ーー仕事をうまく進行するために使っている仕事道具、アプリ、ツールはありますか?

キャスターもbosyuもスタッフ全員がリモートワークなので、必然的に会社のコミュニケーションはチャットです。ほとんどが「Slack」で、オンラインミーティングでは「Zoomミーティング」を使ってます。

議事録を取るときは「esa」、 ホワイトボードツール「Miro」も使っています。「Miro」は付箋を作って画面上に貼っていけるので、ディスカッションしているときに活用しています。

僕らは対面のことを「オフライン」と呼んでいるんですが、こういったツールを使ってオフラインのオフィスでやるようなことを実現しています。ちなみに、うちの会社は全社総会もVR空間で行うんです。

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Photo: Kayoko Yamamoto

姿が見えているからって、コミュニケーションが円滑に進んでいるとは限らない

ーーリモートワークを円滑に進める秘訣はありますか?

リモートワークを特別なものだと思わないことですね。

今って、友達でも、家族でも、グループでもLINEで連絡を取るのが主ですよね。毎日会わなくてもLINEでコミュニケーションが取れているはずなので、プライベートでできていることが、仕事でできなくなるはずはない、というのが僕の考え方です。

対面でのコミュニケーションだって齟齬(そご)が全くないかというと必ずしもそうではないのに、リモートワークになると急に齟齬が起きるんじゃないかって心配されるんですけど、「大丈夫、今も(対面でも)齟齬が起きてるから」って(笑)。何か食い違うことがあったら、「じゃあもう一回話そうか」って解決すればいいんです。

例えば、上司が忙しくて1日中会議をしていたら、その間、部下が何をしてたかわからないですよね。それって見えてないのと一緒。

「姿が見えている=仕事が見えている」と勘違いしているだけだと思うんです。それなのに、オンラインになると急に管理したがる。急に束縛してくる恋人か、みたいな(笑)。

リモートワークをしていると、僕がいなくてもその間に会社でスタッフが何を話したかが見えるので、逆にオフィスで働いていたときより会社で何が起きているかが分かります。マネージメントをするという点では、リモートワークの方がしやすいとすら感じます。

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Photo: Kayoko Yamamoto

今、スタッフは45都道府県15か国に700人くらいいますが、この規模で現場で何が起きてるかわかりますから。

デザイン会社「Goodpatch」さんがリモートワークのデザイン組織を立ち上げる際に協力させていただいたのですが、その立ち上げに協力しました。他にも何社か現在もアドバイザーとして関わらせていただいています。

ーーToDoやスケジュールは、どのように管理していますか?

よく僕が5人いるんじゃないかと言われるくらい、レスポンスがめちゃくちゃ早いらしいんですけど、基本的にはToDo管理はしません

電話やメールが主だった時代の働き方と違って、今はメッセンジャー、Slack、TwitterのDMなど、連絡を取るツールの種類が多いですし、連絡の頻度が昔と比べて何十倍も多く、早くなっています。

その時代に仕事の優先順位を整理している間にどんどん溜まっていってしまうので、いかに自分が持っているタスクを減らすか、溜めないで早く返すかが仕事をする上でポイントになってきているのだと思います。だから、仕事のToDo管理をしないのがベストだと思っているんです。

それでも優先順位をつけないといけないくらい重いタスクや、考えなくてはいけないことは忘れないように自分用のslackのチャンネルに書いて終わったら消す、といったシンプルな管理にとどめています。

コミュニケーションの取り方が変わったので、管理の仕方、仕事の仕方は変わるはず。でも、それを変えられていない人が多いのでは、と僕は思います。

スケジュール管理はGoogleカレンダーを使っていますが十分ですし。

ーー仕事をしていてテンションが上がる瞬間を教えてください。

bosyuのユーザーさんがポジティブな感想をTwitterに投稿してくださるのを見ることですね。

ユーザーさんが誰かと会ってお茶などをしている時にbosyuの話題になったと聞くと、「お!」と思います。僕たちはいつもオンラインにいるのですが、僕らがいないオフラインの場でも話題になるって、すごいなって思うんです。

心も身体も安定した状態で、いかに働き続けるかが大事

ーー仕事において役に立った本を教えてください。

嫌われる勇気』(岸見 一郎、古賀 史健著/ダイヤモンド社、2013年)

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

買ってからもう数年は経ちますが、今でもたまに読み返すのが『嫌われる勇気』です。

リクルート時代も、ベンチャー時代も、「自責」とよく言われましたが、全てを自分の責任にするって、正しいように見えてめちゃくちゃ負荷が高いし、疲弊していくと思うんです。

この本は、自分の問題と他人の問題を分けて考えましょうというのが前提にあります。問題を切り分けて考えて、コントロールできるところをコントロールするという心の持ちようは大事だと思います。

bosyuのサービスをやっていると、「うまくいかないんじゃないか」と言う人がいたり、僕らのサービスを嫌だと感じる事業者がいたりします。それを全部背負っていくのは、人間として相当強くても無理だと思うんです。

アメリカでも起業家の鬱は一般人の6倍くらい多いと言われていますよね。自分で会社をやっていると、それはちょっとわかるなぁと思うんです。経営は長期戦なので、自分の問題と他人の問題を切り分けて考えることは、すごく大事だと思います。

insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力』(ターシャ・ユーリック/英治出版、2019年)

insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力

最近読んだ中でいいなと思った本です。

人は内省をしたほうがいいと言われますが、それは違うのではないか、ということが書かれています。何かミスをしたときに、なぜこうなったんだろうと考える続けると、実はあまりいい結果にはならない。それよりも、次に何をすればいいかを考えた方が良い方向にまわっていくということが書いてあります

まさにそうだなと思いました。

僕は健康かつ、精神的に安定した状態でいかに働き続けるかが大事だと思っています。それを実現するための生活をしたいので、参考になりそうな本は手にするようにしています。

本を読む以外では、毎日飲みに行かないことですね。飲みに行く頻度が多いと体調が悪くなって仕事のパフォーマンスが落ちますし、精神的にも疲れてくるので。そろそろお酒も止めようと思ってるんです。

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Photo: Kayoko Yamamoto

ーーこれまでにもらったアドバイスの中で、特に印象深いものはありますか?

めちゃくちゃインパクトがあったのは過去に言われた部下からの言葉です。

「うちのチームって、チームというよりマンションの組合くらいの感じですよね。知り合いだから一応挨拶しますけど」

これまでマネジメント的な立場で仕事をすることが多かったんですけど、失敗の経験が多くて何度もチームを崩壊させてるんです。その当時も、うまくいっていない自覚があったので、その部下の言葉に「どうしたもんかね」みたいなことを答えました。

間違いなく僕の振る舞いで崩壊させているケースや人の組み合わせや状況によって崩壊しているケースもあるのですが、これまで経験した多くの失敗が、今マネジメントする上での引き出しが増えることにつながっていると思います。

ありがたいことに今は700人いる会社の取締役をやらせてもらっていますし、bosyu社は業務委託を入れるとスタッフが10人弱ですが、すごくいいチームができていると感じています。

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February 26, 2020 at 06:30AM
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