Judul : 「好きなブランドと相思相愛で働く」 お客から販売員、出産・引っ越しを経て復帰 アクシーズファム森本夏季 - WWD JAPAN.com
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「好きなブランドと相思相愛で働く」 お客から販売員、出産・引っ越しを経て復帰 アクシーズファム森本夏季 - WWD JAPAN.com
郊外の大型ショッピングモールの中で、異彩を放つショップがある。福井発のアイジーエーの運営する「アクシーズファム(AXES FEMME)」だ。最近の傾向としてシンプルだったり、自然を意識した内装の店が立ち並ぶところに、パッと華やぐクラシカルでヨーロピアンビンテージ風の世界観の店装が目を引く。「アクシーズファム」は2002年にスタートしたブランド。フリルやリボンが好きな大人に向け、ロマンチックなアイテムを提案してきた。ブランドは今年で18年目となり、お客もショップスタッフも成長し、子どもを持つようになってからはキッズの展開もスタート。神戸ハーバーランドumie店の森本夏季サブのように、子育てをしながら店頭で活躍するスタッフも増えてきているという。そこで、ファンに支持されるブランドでの接客やママ販売員としての働き方について話を聞いた。
―「アクシーズファム」で働くことになったきっかけは?
森本夏季(以下、森本): もともと「アクシーズファム」が好きで島根県のゆめタウン出雲店のお客でした。それ以前は携帯電話販売の代理店に勤めていて、そこでも接客の仕事は楽しいと感じていたのですが、キャリアが長くなると現場を離れてマネジメント業務が増えてきます。それで転職をしようと探していたときに、当時の出雲店店長に相談したら「それなら、この店で働いたら?」とスカウトしていただいたのです。
―そうなんですね!「アクシーズファム」のどんなところが好きですか?
森本:もちろんかわいいお洋服を扱っていることではありますが、ショップスタッフとお客さまが接客を通じて信頼関係があるんです。とても近い関係作りができているといいますか……。
さらに、お客さまがお客さまを呼んでくる感じがあります。そんな連鎖があるのは、このブランド、この店だからだなという感覚があります。今考えると、私自身もお客時代は友人に「かわいいいから見てみて」と紹介していましたね。商品だけでなく、ショップスタッフもウエルカム精神があって、楽しい雰囲気がありました。働きはじめてからも、ショップスタッフの活気やお客さまに対してのウエルカム精神、スタッフ一人ひとりがかわいい商品を扱っていることへのプライドなどを見て、さらに好きになりました。
―ブランドの世界観だけでなく、それを届けるショップやスタッフなどの環境も含めて好きなんですね。
森本:そうなんです!ほかにも好きなところはたくさんあって。会社が前のめりになってスタッフに向き合ってくれます。今までいろんな業界で働いてきましたが、“企業に付き従うのがスタッフであり会社員である”という印象の企業が多かったので、驚きました。17年に結婚、出産し、夫の仕事で引っ越しもしたのですが、違う土地でもこの仕事をしたいと思っていたところ、会社は復帰までたくさん相談に乗ってくれて、新天地で安心して復帰することができました。
―現在はどういう働き方をされているのですか?
森本:私の場合は6時間の時短勤務で、土日は出られるときだけフルタイムで入ることもあります。この勤務体系も、会社とのいろいろな相談を経た結果です。最近は別店舗に勤務するショップスタッフから「これから結婚をしようと思っているのですが、働き方はどうされていますか?」と相談を受けることもあります。こればかりはケースバイケースなので、店長やマネジャーとよく相談するように伝えていますが、それまで築いてきたスキルを手放さないために会社もいろいろ考えてくれていることを自分も経験したので、安心して上長に相談するようにアドバイスしています。
―ブランドが好きなだから、続けたい方も多いのでしょうか?
森本:これは私の個人的な感覚ですが、ショップスタッフのほとんどが元お客さまやファンで、スカウトがきっかけで働き始めているのではないでしょうか。
―それはすごい!
森本:ほとんどのショップスタッフが「『アクシーズファム』以外のアパレルでは働けない」と思っているんじゃないかと思います。それくらい、根底に“このブランドが好き”という人が多いです。
―そうなると接客にはどんな影響がありますか?
森本:お客さまとスタッフ、店と会社の距離感はとても近いと思います。ただしお客さまも、年齢を重ねたり環境が変わることで“好み”が変化していきます。実際、お客さまから「もうそろそろ卒業かな」と言われたことがあります。そうなると、お客さまと親密になり過ぎて、新しいお客さまを開拓しているか?新規客を大切にお迎えできているか?と、目を向けるようになったのが4~5年前です。全てのお客さまに平等なのに、ファンばかりが優遇されるのは不平等ですし、誰にも気持ちよく買い物していただく、その時は買わなくとも再来店してもらえる店にするために、社内では「接客プロジェクト」というプロジェクトが立ち上がりました。参加スタッフは社内公募するということで、手を挙げました。
―そのプロジェクトはどういうものですか?
森本:私を含め、全国から店長やサブ、スタッフなど5名が参加しました。当時は接客に対する明確なマニュアルがなく、そのショップの店長から“口伝”のように接客を教えていたようなものでした。これを明確化して、「アクシーズファムの接客とはこういうもの」とハッキリした指針のようなものを作りたいと始まったプロジェクトでした。店長からスタッフに口伝するだけだと、必要なことが人によっては伝わっていなかったり、内容が変わっていったりして、正確な情報が先細りしてしまいます。それをなくして「お客さまに寄り添ったアクシーズファムらしい接客とはなにか」を考えたのです。現在はマニュアルもできて、それを浸透させていく手段の一つとしてロールプレーイングコンテストを開催しています。
―ロープレコンテストは練習にはなるけど、型にはまって個性が出せなくなるなど、賛否ありますが…
森本:確かに、ロープレで自分の良いところ、悪いところを気付けることもあれば、やり過ぎて自分らしさが分からなくなる場合もあります。だからロープレと仲良くなれたらいいと思っています。
―というと?
森本:接客は個性なので、そのスタッフの良いところをつぶしてまで、型にはめる必要なないと思うのです。一方で、改善した方が良い点もある。個人的には、個性は伸ばした方が良いと考えています。お蔭様でumie店はスタッフの個性が強いお店になりました(笑)。
―では、森本さんが接客で心がけていることは?
森本:お客さま軸で考えること。そして、また来たいなと思っていただける一言を残すことです。年代や性別に関係なく、その方に合った接客、その方のニーズに応えられるような接客をしています。「かわいい」という言葉一つとっても、どの程度「かわいい」のかは、表情やしぐさなどが入ることで全く違う印象に見えます。そういうところまでよく観察して、お客さまの気持ちを拾って、心に残る一言を伝えられたらと思っています。
―この仕事の醍醐味はなんでしょう?
森本:この仕事は、数ある職業の中でも花形だと思うのです。自分の望む着こなしで自分を演出してみせる仕事ってほかにはありません。さらに、商品はデザイナーや企画生産に携わる人たちが考え、縫製する人、運ぶ人など、いろんな方たちが携わって、最終地点である店舗に届きます。会社の色んな人の思いをのせて作られた商品を、最後にお客さまに届けることができるのはショップスタッフの特権だと思っています。洋服を買いに行くときって、怒っていないですよね?
―確かに。
森本:ほとんどのお客さまがワクワクした気持ちで買い物に来られます。そういう人たちをお迎えできる仕事って楽しいと思うのです。
―では最後に、これからの目標を教えてください。
森本:私にしかできないことをしたいです。自店のサブとしての仕事も大切ですが、これから結婚をする、子どもができた、といった人生の節目を迎えるスタッフの力になれればいいなと思っています。若いスタッフが多いので、積み上げてきたスキルをライフステージが変わることで捨てるのは忍びないことです。そういうことをなくしていければと思います。
苫米地香織:服が作れて、グラフィックデザインができて、写真が撮れるファッションビジネスライター。高校でインテリア、専門学校で服飾を学び、販売員として働き始める。その後、アパレル企画会社へ転職し、商品企画、デザイン、マーケティング、業界誌への執筆などに携わる。自他ともに認める“日本で一番アパレル販売員を取材しているライター”
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April 14, 2020 at 08:04AM
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