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社説 被災と感染 できる備えを今からでも - 信濃毎日新聞
今、大きな地震や水害に見舞われたらどうなるのだろう。新型コロナウイルスとの闘いが長期化の様相を呈する中、そう心配し始めた人も少なくないのではないか。
昨年10月の台風19号災害で、住宅が水に漬かり、多くの人が不自由な避難所暮らしを強いられた光景は記憶に新しい。
感染拡大の防止には、密閉、密集、密接の「3密」の回避が求められる。だが集団生活となる避難所では、そんな条件を十分に確保するのは容易でない。
重症化しやすい高齢者や基礎疾患を持つ人が、避難生活の中でさらに免疫力を失っていくかもしれない。避難所で大規模なクラスター(感染者集団)が発生すれば、医療崩壊を招く恐れが強い。
近年、梅雨から秋にかけて豪雨に襲われる地域が出るのは珍しくない。地震も多発している。それに未知のウイルスとの闘いが重なる複合災害を、視野に入れておかねばならない。
多くの自治体は、拡大中の感染を食い止めるのに忙しく、災害時の感染対策にまで手が回っていないのではないか。だがこのまま放置はできない。できる備えを検討し、早急に着手してほしい。
3月に震度5強の地震が起きた石川県では7カ所に避難所が設置された。幸い混み合うことはなかったが、自治体の担当者からは、被災規模が大きくなれば「濃厚接触にならないよう運営するのは難しい」との声が漏れた。
2016年に内閣府が策定した避難所運営ガイドラインは、感染症対策について、換気や患者用の部屋の確保などを求めている。
これはインフルエンザやノロウイルスの想定にとどまる。新型コロナのように治療薬やワクチンが開発されていないケースも含め見直していく必要がある。
国は今月、被災者の密集を避けるため、災害時に通常より多くの避難所を開設するよう自治体に通知した。長野県はホテルや旅館の活用も市町村に求めている。迅速に対応できるよう、新型コロナの軽症者向け療養場所の確保などと並行して準備を進めたい。
これまで災害になると、避難所で人々が毛布にくるまって雑魚寝する光景が繰り返された。そもそも、災害大国の日本でそんなことで良いのかを問うべきだろう。
被災者は「緊急時だから仕方ない」と我慢しがちだ。それを看過せず、ストレスの少ない環境を整えていく取り組みが、災害時の感染拡大防止にもつながる。
(4月14日)
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April 14, 2020 at 07:27AM
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